ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

03 読書ときどき映画あるいは美術

ジェフリー・アーチャー『永遠に残るは』

クリフトン年代記第7部完結 クリフトン年代記が第7部をもってついに完結した。2013年にスタートした物語は、足かけ5年、各部文庫上下、合計14冊という長大なスケールとなった。 イギリス南西部の港湾都市ブリストルとロンドンを主要舞台に、ハリー…

フリーマガジン『灯台どうだい?』

(写真1 『灯台どうだい?』直近6号分)灯台マニアの崖っぷちマガジン フリーマガジンである。フリーマガジンといえば、フリーペーパーも含め広告料収入でまかない無料配布しているものが大半だが、このマガジンの特徴は広告を一切取らず無料配布を貫いて…

ミカ・タジマの個展

(写真1 ギャラリーの様子。ガラス越しに撮影した)「TOUCHLESS」 ミカ・タジマの個展「TOUCHLESS」が東神田のTARO NASUというギャラリーで開かれている。 ミカ・タジマ(田島美加)は、1975年ロサンゼルス生まれ、ニューヨーク在住のアーティスト。 会場…

石川啄木『一握の砂』

近藤典彦編による定本 久しぶりに『一握の砂』を手に取った。かつては繰り返し読んでそらんじている歌も少なくなかった。 『一握の砂』は、啄木24歳の折に編んだ歌集で、啄木にとって初めての歌集だった。以来、どれほどの出版社から刊行され版を重ねてき…

森知英ピアノリサイタルで熱演

(写真1 演奏を終えてロビーに出てきた森知英さん)Russian Romance 11月18日東京オペラシティリサイタルホールで開催された。 森知英はそろそろベテランの域に入ってきた人気のピアニスト。この頃では室内楽なども手がけるほか、音楽コンクールの審査…

展覧会「1968年」無数の問いの噴出の時代

(写真1 会場入口の看板。何やら大学で見かけるタテカンに似ている)歴史になったか学生運動 千葉県佐倉市の国立歴史博物館で開催されている。 1968年に象徴的に集約されるように1960年代後半のベトナム反戦運動や全共闘運動に焦点を当て歴史として…

カズオ・イシグロ『日の名残り』

ノーベル賞受賞作家の出世作 今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの出世作である。イシグロの作品はこれまでも好んで読んできたが、ノーベル賞を受賞したというので再び書棚から引っ張り出してきた。土屋政雄訳のハヤカワ文庫版で、およそ15年…

グループ窓の展覧会

(写真1 会場で呉炳学氏の作品を前に左から成川雄一、呉炳学、三浦千波の皆さん)情熱がぶつかり合う グループ窓の展覧会が神田神保町の檜画廊で開かれている。 構成メンバーは、戸田忠祐、呉炳学、西條紀子、成川雄一、三浦千波の5氏。 私は、かねて知己…

京都五重塔巡り④東寺

(写真1 美しい姿を見せる東寺五重塔)日本一の高さの五重塔 四つある京都の五重塔巡り。四つ目の最後はいよいよ東寺。京都を、というよりも日本を代表する五重塔であり、京都のシンボルでもある。 東寺(とうじ、教王護国寺とも呼ばれる)は真言宗全体の総…

京都五重塔巡り③法観寺

(写真1 街の賑わいの中に佇む五重塔)通称〝八坂の塔〟 四つある京都の五重塔巡り。三つ目は、いわゆる八坂界隈にあるところから通称八坂の塔と呼ばれ親しまれている法観寺の五重塔(重文)である。東山区所在。清水寺から東山の西麓沿いに北へ坂を下って…

京都五重塔巡り②仁和寺

(写真1 美しい佇まいを見せる仁和寺五重塔)名刹の美しい五重塔 四つある京都の五重塔巡り。二つ目は仁和寺。右京区所在。京都の北西に位置し、嵐電北野線の御室仁和寺駅で下車すると、正面にいかにも立派なお寺が見える。徒歩数分。 仁和寺は、真言宗御室…

京都五重塔巡り①醍醐寺

(写真1 歴史を感じさせる佇まいの国宝醍醐寺五重塔全景)京都最古の五重塔 このたびの京都旅行では、京都にある四つの五重塔のすべてを巡った。これらの五重塔はこれまでにも一再ならず訪れたところが多いのだが、滞在中に四箇所すべてを回ったのは初めて…

妹島和世 SANAA×北斎

(写真1 展覧会の様子)すみだ北斎美術館の企画展 ちょっと変わった展覧会だった。 すみだ北斎美術館は墨田区亀沢にあり、ここは葛飾北斎生誕の地でもある。美術館は昨年開館しており、設計が妹島和世だった。SANAAは、妹島が西沢立衛と組んでいる建築設計…

三浦千波展

(写真1 作品を前に三浦千波さんと展覧会の様子)明るくなった画風 三浦千波は、ベテランの域に入ってきた実力派の洋画家。力強いタッチに豊かな色彩で知られ人気が高い。 この三浦千波の個展が銀座の兜屋画廊で昨日1日から開かれている。 会場に足を踏み…

特別展覧会「国宝」

(写真1 国宝展が開催されていた京都国立博物館平成知新館)京都国立博物館開館120周年記念 先週は京都に旅行したが、この国宝展を見るのも大きな楽しみだった。 実に200件を超す国宝が展示されていていかにも豪華。美術工芸品で国宝に指定されている…

不動まゆう『灯台はそそる』

灯台に寄せるほとばしる愛情 著者は灯台女子であり灯台マニアだと自ら名乗っているが、いやはや灯台に寄せるほとばしるほどの愛情が素晴らしい。灯台に関する知識も深くて、ちょっと古い表現になるがまるで灯台博士だ。 内容的には、灯台マニア養成講座であ…

特別展「運慶」

(写真1 特別展「運慶」の会場入口の様子)傑作が揃い圧巻 興福寺中金堂再建記念特別展として東京国立博物館で開催されている。 東大寺南大門の入口で睨みを利かせている金剛力士立像吽形・阿形2躯で親しまれ日本でもっとも著名な仏師であろう運慶の傑作が…

映画『ドリーム』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)感動的な映画 実に感動的な映画だった。いい映画を観たという満足感が強かった。 人種差別が取り上げられているのだが、今さらというところが微塵もないし、エピソードが巧みでまったく陳腐化されていない…

日本橋BOOKCON

(写真1 会場の様子)本の新しいコンベンション 日本橋の丸善で、日本橋BOOKCON(ブックコン)というイベントが先週行われていた。 約80の出版社が出展していて、それぞれがブースを構えて新刊の案内などを行っていた。 ブックフェアの小型版のようだが、…

足立美術館

(写真1 足立美術館の庭園)庭園が評判 足立美術館は、島根県安来市にある地元出身の実業家足立全康が創設した私立の美術館で、現在は公益財団法人足立美術館が運営している。山陰本線の安来駅から無料のシャトルバスが運行されており所要約20分。美術館…

島根県立美術館

(写真1 宍道湖に向け大きく開口したロビー) 三拍子揃った魅力 魅力は三つ。一つ目はもとよりコレクションで、ロケーションが二つ目、三つ目は運営内容。全国の公設美でこの三つが揃ったところも珍しいのではないか。全国の県立美術館の大半を見たことがあ…

池田学展

(写真1 「誕生」を前に会場の様子)超緻密なThe Pen 超緻密な画風で知られる池田学の展覧会。The Pen-凝縮の宇宙との副題が付いているが、まさしく壮大なスケールで描かれた圧倒的宇宙観だ。 「けもの隠れ」「ブッダ」「領域」「興亡史」「予兆」などと順…

中村元『水族館哲学』

独自視点で水族館の魅力掘り起こす 著者は水族館プロデューサー。サンシャイン水族館などを手がけたらしい。 その水族館を知り尽くした著者が、全国の主だった水族館を紹介しているのだが、その視点が極めて独特。それは、水族館は単に子どもの教育や魚マニ…

画期的なクローン文化財

(写真1 クローン文化財として再現された法隆寺釈迦三尊像)藝大が失われた刻の再生 上野の藝大美術館で、シルクロード特別企画展「素心伝心-クローン文化財 失われた刻の再生」と題する一風変わった展覧会が開催されている。 会場に入ると思わずびっくり…

R・D・ウィングフィールド『フロスト始末』

愛すべきフロストはどこへ? ロンドンから70マイル、イギリス北西部の地方都市デントン署のフロスト警部を主人公とする人気シリーズ。相変わらず次から次へと難事件が持ち上がりフロストが右往左往する抱腹絶倒の物語である。 常連のデントン署の面々が個…

青森県立美術館

(写真1 三内丸山遺跡に隣接してある青森県立美術館外観)「あおもり犬」がいい このたびの津軽海峡旅行では旅の最後に青森県立美術館に立ち寄った。時間に余裕があるようであれば、街をぶらぶら散策するのも楽しみだが、正味1時間程度しか時間がないよう…

三度目の十和田市現代美術館

(写真1 十和田市現代美術館外観)スタンディング・ウーマンに会いに行く 津軽海峡に向かう途中、東北新幹線を七戸十和田駅で下車し、十和田市現代美術館を訪ねた。 この駅で降り立ったのがこれが初めてで、新幹線らしくまだ新しい立派な駅舎だった。駅前も…

福島県立美術館を訪ねて

(写真1 福島県立美術館図書館全景。左が美術館)ワイエスの傑作と出会う 飯坂温泉への帰途福島県立美術館へ立ち寄った。美術館は、福島交通で福島駅から二つ目、美術館図書館前駅が最寄り駅で、駅からは徒歩数分のところ、住宅街の中にあった。 二つの施設…

映画『静かなる情熱』

(写真1 映画館に掲示してあった看板から引用)エミリ・ディキンスンの生涯 アメリカの詩人エミリ・ディキンスンの生涯が描かれている。 マサチューセッツ州のアマストが舞台。南北戦争のころだから19世紀なかば。ラヴィニアが膨大な詩篇を発見する。姉のエ…

戸田泰生画「街・実・虚」

(写真1 自身の作品「街・実・虚」と並んで戸田泰生さん)七十の手習い 趣味が高じて 上野の東京都美術館で開催されていた純展に出品されていた。 純展とは絵画の公募展。半世紀近い歴史を数え大変伝統のある展覧会で、今年も200人を超す出品があり大規模…