ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

03 読書ときどき映画あるいは美術

映画『野いちご』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) ベルイマン生誕100年映画祭 ベルイマン生誕100年映画祭というのが千葉県柏市のキネマ旬報シアターで開かれている。1ヶ月の期間中4本の作品が上映されるようで、そのトップが『野いちご』だった。…

韓国映画『タクシー運転手』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 光州事件を描く 2017年の韓国映画である。監督チャン・フン。 日本で光州事件として知られる、1980年のいわゆる韓国の「5.18民主化運動」が正面から取り上げられている。 パク・チョンヒ(朴正…

戸田泰生画「往来」

(写真1 自身の作品「往来」と並んで戸田泰生さん) 遊び心も加わって 上野の東京都美術館で開催された絵画の公募展第48回純展に出品されていた。100号の大作である。 戸田さんとは仕事上の関わりがあってもう40数年来も昵懇にさせていただいている…

内田洋子『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』

「本が本を連れてくる」 モンテレッジォは、イタリア北部、トスカーナ州の山深い寒村。ここの村人たちは、かつて、貧しさから逃れ現金収入を得るために村を出て本を担いで行商して歩いたという。それはどういうことだったのか、非常なる興味を抱いて本書の物語…

映画『キートンの探偵学入門』

(写真1 映画館に掲示されていたポスター) 活弁士付き無声映画 活弁士による無声映画の上映である。柏のキネマ旬報シアターで開催された。140席ほどの小規模のスクリーンだったが、それにしても満員の盛況ぶりだった。 活弁士(活動弁士)が2名。舞台…

68年前の『サンデー毎日』

(写真1 『サンデー毎日』昭和25年2月12日号の表紙) 表紙絵は小磯良平画 昭和25年2月12日発行の『サンデー毎日』である。68年前の発行ということになる。 ある探したい本があって書棚を漁っていたところ思わぬことで見つけた。 記憶をたどって…

高橋弘希『送り火』

芥川賞受賞作 後味の悪い小説だ。面白くないとは言わないが、読んで楽しくもない。芥川賞受賞作だから読んだけれども、そうでなかったら手に取らなかっただろう。 ただ、文章はうまい。濃密な描写できちんとしている。ただし、やや硬質だ。とても三十代の作…

池澤夏樹『終わりと始まり2.0』

率直な時評で人気のコラム 朝日新聞に連載されてきた時評を中心としたコラム集の第二集。2017年末までの4年分が収録されている。 連載が一か月に1度という頻度がいいようで、世の動きを一か月ごとに区切り、その中からテーマを選び、それに関わる情報…

「新釈漢文体系」全120巻完結

(写真1 新釈漢文体系第7巻『老子・荘子(上)』) 明治書院が58年かけ偉業 「新釈漢文大系」は、明治書院が出版している漢文の大系で、思想や歴史から文芸まで中国古典を網羅している。1960年(昭和35年)の第1巻『論語』から刊行が開始され、今年…

池内紀・松本典久編『読鉄全書』

鉄道ものアンソロジー タイトルが断然いい。読鉄(よみてつ)とはふるっている。鉄道趣味世界も幅は広くて、鉄道の写真撮影を趣味とする撮鉄(撮り鉄)、鉄道に乗っていることが楽しい乗鉄(乗り鉄)から車両派や廃線派などとあってそれぞれに一派一家を構え…

スティーヴン・キング『刑務所のリタ・ヘイワース』

(写真1 『刑務所のリタ・ヘイワース』所収の「ゴールデンボーイ」) 映画『ショーシャンクの空』原作 アメリカ映画『ショーシャンクの空』をテレビで見たところとてもいい映画で味わい深かったので原作を手に取った。すでに原作を読んでいた映画を観ることは…

ベルンハルト・シュリンク『階段を下りる女』

不思議な味わい深い魅力 傑作『朗読者』の著者による近作。またまた魅力的な作品を手に取ることができた。 フランクフルトの弁護士である語り部の「ぼく」は出張先のシドニーで、業務を終えてふと入ったアートギャラリーで1枚の絵と出会う。 絵には「階段を下…

ジョン・ハート『終わりなき道』

評価が分かれる大作 誤解を恐れずに書けば、これは心温まる物語である。ただし、誤解されないために書き加えれば、暴力シーンの連続で、殺された人間が20人近くにもなる。 1ページ2段組のポケミスで600ページ近い長編で、大作ではあるがこれを途中で…

『没後50年 藤田嗣治展』

(写真1 展覧会案内のチラシ。中央の絵は藤田嗣治「カフェ」) 過去最大級の回顧展 上野公園の東京都美術館で開催されている『没後50年 藤田嗣治展』を見た。史上最大級の大回顧展と宣伝されているように、藤田の画業の全体像がわかるような内容だった。 …

東御市梅野記念絵画館を訪ねて

(写真1 カフェから眺望した風景。奥は浅間山) 開館記念20周年記念展開催中 別所温泉に泊まった翌日は、東御市(とうみし)梅野記念絵画館を訪ねた。この美術館を見学することは、当初からこのたびの旅行の大きな目的の一つだった。 美術館は、上田から…

ひっそりとたたずむ「無言館」

(写真1 林の中にひっそりとたたずむ無言館) 戦没画学生慰霊美術館 美術館へは、上田電鉄別所線の塩田町駅から〝信州の鎌倉シャトルバス〟が出ていた。バスなら10分もかからないが、丘の上にあり、道もわかりにくそうで歩いては難儀そうだった。しかし、…

東洋文庫のオリエント・カフェ

(写真1 ミュージアムからカフェへと誘う通路) シリーズ:ミュージアムカフェ オリエント・カフェは、文京区本駒込にある東洋文庫のカフェ。 東洋文庫は、蔵書数約100万冊を誇る東洋学に関する専門図書館。研究機能も有し、アジア最大の東洋学センターで…

演奏会「N響 夏2018」

(写真1 演奏者が舞台に集まり始めたころの様子) コンサートつづき 二日続けてのコンサート。先週木曜日19日にしずくいし夏の音楽祭2018東京公演を代々木上原のこぢんまりとしたホールで楽しみ、翌20日金曜日にはやはり代々木のNHKホールでNH…

林智之メモリアルコンサートVol.2

(写真1 ミュージックキャンプ受講生も加わった演奏直前の様子) しずくいし夏の音楽祭東京公演2018 すっかり定着したしずくいし夏の音楽祭東京公演。今年も7月19日代々木上原のムジカーザで行われた。昨年に引き続き、2016年に逝去された林智之…

特別展『縄文』

(写真1 会場の外壁に掲示されていた展覧会の看板) 1万年の美の鼓動 東京国立博物館で開催されている。 土偶が好きで機会があれば見ている。特に今回は国宝に指定されている5件の土偶がすべて出展されているというので期待していた。 (写真2 国宝「縄…

コンテンポラリー・アートのワタリウム美術館

(写真1 ワタリウム美術館のカフェ) シリーズ:ミュージアムカフェ ワタリウム美術館は、コンテンポラリー・アートを専門とする私設の美術館で、渋谷区神宮前所在。地下鉄銀座線外苑前駅から外苑西通りを千駄ヶ谷方向に徒歩5分ほど。通りを進むと左側にマ…

展覧会『理由なき反抗展』

(写真1 アンディ・ウォーホル「理由なき反抗」I LOVE ART 14 神宮前のワタリウム美術館で開催されている。 映画『理由なき反抗』は、主役のジェームズ・ディーンにばかり目がいきがちだったが、危うい青年の姿と一つの時代を描いていた。 そして私は、アンデ…

映画『フジコ・ヘミングの時間』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)魂のピアニストの軌跡 フジコ・ヘミングを描いたドキュメンタリーである。80代になった今なお世界各地で演奏活動を続けるフジコを追い、2年間の生活に密着した記録である。 冒頭からいきなり「ラ・カンパ…

『行ってみたい世界の灯台』

世界の絶景灯台65基 美しいカラー写真で世界65基の灯台が紹介されている。これまで目にすることもなかった灯台が多くてうっとりする。写真には簡単なものだが解説も添えられているから、なるほど行ってみたくなる魅力があった。 それにしても世界にはい…

佐々木譲『警官の掟』

禁忌に踏み込む 指名手配中の殺人犯を追う大井署地域課の波田野涼巡査と門司孝夫巡査長。湾岸エリア、城南島の巨大倉庫に追い詰める。遅れて第一自動車警ら隊の松本章吾巡査と能条克巳車長が駆けつける。波田野と松本は警察学校の同期である。犯人は銃を所持…

マイクル・コナリー『死角 オーバールック』

ハリー・ボッシュ・シリーズ 亡くなった友人の遺品が送られてきた。段ボール箱には文庫本がいっぱいに詰まっていてマイクル・コナリーの著作が数十冊も含まれていた。私がミステリー好きと知ってのことらしい。 確かにミステリー好きではあるが、このアメリカの…

マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー『消えた消防車』

マルティン・ベックシリーズ スウェーデン語からの直接の訳出で改めて注目されているマルティン・ベックシリーズの5作目。 張り込みをしていたグンヴァルト・ラーソンの目の前でアパートは爆発炎上した。張り込み対象の1階右のマルムの部屋が火元と見られたが…

いわき市立美術館

(写真1 いわき市立美術館外観)シリーズ:ミュージアムカフェ いわき市立美術館(福島県)は、常磐線・磐越東線いわき駅から徒歩12分ほど。市役所にも近く市街中心にあり、いかにも美術館らしい特徴ある外観が目を引く。 建物は3階建てで、1階が常設展…

追悼特別展「高倉健」

(写真1 展覧会のチラシ)いわき市立美術館で いわき市立美術館で開催されている。2年がかりで全国を巡回してきた。大変な人気だったのであろう、ここが全国9館目だった。 会場には、ポスターやスチール写真から映画の脚本などが展示されていた。代表作で…

小川クニ『ゆりかご ごっこ』

心温まるエッセイ集 80台を前に来し方を振り返りつつ綴ったエッセイ集である。著者は岩手県在住。地元新聞岩手日報の随筆欄に投稿して掲載された作品が多く、29編が収録されている。80歳前後から折々に書かれているのだが、通して読めば、エッセイで綴…