ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

03 読書ときどき映画あるいは美術

映画『斬、』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) これも一つの幕末描く 塚本晋也の監督・脚本・撮影・編集・製作作品。出演は池松壮亮、蒼井優そして塚本晋也自身も。 江戸末期、250年も続いた太平の世が揺らぎ始めた時代。疲弊する農村、困窮し浪人…

奇想の系譜展

(写真1 会場で配布されていたパンフレトから引用) 江戸絵画ミラクルワールド 若冲から蕭白、芦雪ら8人の奇才の作品が一堂に並んでいてまことに圧巻。 その8人がすごい。伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、狩野山雪、岩佐又兵衛、鈴木其一、白隠慧鶴、歌川…

アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件(上・下)」

稀にみる傑作ミステリ これは稀にみるミステリの傑作だ。文庫本で上下2冊。謎解きの面白さが詰まっていて、じっくり読み進むとミステリ好きにとっては至福の時を過ごすことができる。 イギリスミステリらしく構成がよくよく凝っている。文庫上下2冊という…

町屋良平『1R1分34秒』

芥川賞受賞作 二十一歳のC級プロボクサーが主人公。最下級のプロライセンスで、いわゆる四回戦ボーイと呼ばれるクラスか。デビュー戦を初回KOで華々しく飾ったものの、その後二敗一分けと負けが込んできている。 ディテールがすごい。パチンコ店員として…

神奈川県立近代美術館 葉山

(写真1 神奈川県立近代美術館葉山正面外観) ミュージアムカフェを訪ねて 神奈川県立美術館葉山は、JR横須賀線逗子駅あるいは京浜急行新逗子駅からバスで約20分。 相模湾に面し、一色海岸を眼下に望む高台にありはなはだ風光明媚。葉山御用邸にも近い…

日本交通公社「旅の図書館」

(写真1 「旅の図書館」外観) 揃う時刻表のバックナンバー 公益財団法人日本交通公社が運営する専門図書館。東京都港区南青山二丁目所在。地下鉄青山一丁目駅から徒歩3分。かつては東京駅八重洲口のビル内に開設されていた「観光文化資料館」が2年前に移…

なないろ作『ちくちくとふわふわ』

バイリンガル絵本 ふわふわFLUFFY(フラッフィー)と、ちくちくSPIKY(スパイキー)が登場する。 FLUFFYは、ふわふわ言葉で誰かをハッピーにしてはなまるをもらったときのような気持ちにしてくれるし、SPIKYは誰かをアンラッキーにして何かをぐちゃぐちゃにして…

映画『バーニング』劇場版

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) 村上春樹原作の韓国映画 2018年製作。監督イ・チャンドン。原作は村上春樹の『納屋を焼く』。 ソウル最大の繁華街南大門とおぼしき街頭でイ・ジョンスは、幼なじみのヘミから声をかけられる。 ジョ…

入場料1500円の書店「文喫」

(写真1 店内の書棚の様子。通路が狭い) 従来のコンセプトが合致しない書店 入場料が1500円もする書店ができたというのでのこのこ出掛けてみた。場所は地下鉄六本木駅のすぐそば。昔、青山ブックセンターだったところ。 店内に入ると、左に雑誌の棚。…

展覧会『顔真卿』

(写真1 「祭姪文稿」の書き出しの部分=会場で販売されていたカタログから引用) 王羲之を超えた名筆 東京国立博物館で開催されている話題の展覧会。書に関する展覧会としては破格の規模と内容ではなかったか。入場者数も驚異的で、入場に40分、注目の「…

映画『蜘蛛の巣を払う女』

(写真1 映画館に掲示されていた案内板から引用) ミレニアム4の映画化 ややくどくなるが、原作と映画化双方の歩みを簡単におさらいしておこう。 スウェーデンミステリーの傑作スティーグ・ラーソン作ミレニアムシリーズは、2011年(日本語版刊行)の…

長島美術館(鹿児島市)

(写真1 素晴らしい眺望の喫茶室) ミュージアムカフェを訪ねて 長島美術館は、鹿児島中央駅西口から車で約5分。100メートルほどの丘の上にありきつい坂道を登らなくてはならないから歩くにはつらい。 しかし、その分眺望は断然いい。2階の喫茶室から…

「フジタとイタクラ」展

(写真1 会場の様子) 松戸市の聖徳大学で エコール・ド・パリの画家 藤田嗣治と板倉鼎・須美子に焦点をあてた展覧会が、千葉県松戸市の聖徳大学博物館で開かれている。 藤田は、独自の画風でエコール・ド・パリの中心的画家であり、乳白色を多用した作品で人気…

角川 俳句歳時記 第五版

全5冊が完結 角川書店編になる俳句歳時記の改訂第五版がこのたび発行の新年編をもって全5冊が完結した。 俳句歳時記で角川編は歳時記の先駆として最も親しまれているもののうちの一つであろうか。 1955年の刊行から半世紀余を経て第五版の改訂が行われ…

フェルメール遍歴

(写真1 オランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館の外壁に掲示されている「真珠の耳飾りの少女」の垂れ幕。手前に佇んでいるのは家内) 魅せられて世界各地へ フェルメール好きだから、随分と世界中の美術館でフェルメール作品を見てきたが、オランダのハ…

フェルメール全点踏破へ

(写真1 アムステルダム国立美術館でも「牛乳を注ぐ女」は人気) 残るは1点 お前もかと言われそうだが、フェルメールが好き。 そのことだけが目的ではないが、海外旅行などで美術館があればたいがいはいる。それも、フェルメールを展示しているとなればな…

フェルメール展

(写真1 「牛乳を注ぐ女」の写真を手にかざしてみたところ) 35分の9ということ 会期一か月を切ったところでやっと見た。昨年の10月から上野の森美術館で開催されていて、フェルメール好きとしては早く見たいとはやる気持ちがなかったわけではないがこ…

小さな音楽会は・く・あ・ぽこ

(写真1 演奏開始直前の様子) ソプラノ大津佐知子&ピアノ森知英 「は・く・あ・ぽこ」というちょっと変わった題名のコンサートが11日、新宿のマエストローラ音楽院で行われた。 出演したのは、ソプラノ大津佐知子、ピアノ森知英。ともに著名な音楽家だが、…

今野敏『去就』

隠蔽捜査6 警視庁大森警察署署長竜崎伸也を主人公とする人気シリーズの最新刊。 竜崎は東大法卒のキャリア組で、警察庁官房総務課長まで歴任したエリートだったが、つまらぬ責任を取らされて大森署に飛ばされていた。階級は警視長で、警視正程度が任命され…

フリン・ベリー『レイチェルが死んでから』

入り組んだ心理劇 ノーラは、週末を利用してロンドンから姉のレイチェルが住むコーンウォールを訪ねた。 家が近づくと何かがおかしい。家に入ると最初に目にはいったのは犬で、階段の一番上からリードで吊り下げられていた。階段を登ると、腰板に血痕があり…

ムンク展

(写真1 会場で配布されていたパンフレットから引用。中央の絵が「叫び」) 共鳴する魂の叫び 上野公園の東京都美術館で開催されている。大変混んでいるというので、会期の半ばが過ぎるまで待って昨年末に訪れた。これが正解で、土曜日だったのだがたいした混…

2018年回顧 小説・映画・美術・音楽

(写真1 私が選んだ今年の3冊) 今年のABABA'sノートから② 本好きだし、映画も観るし、美術館にもよく足を運ぶ。音楽会にも時折顔を出す。 ただ、私はどれ一つ取っても好事家というほどはないし、格別の造詣があるわけでもない。 しかも、私は、本にしろ、…

村松拓『海の見える駅』

旅情がかき立てられる 全国各地の海の見える駅が北から南まで70カ所取り上げられている。 海の見える駅はつまり海が映える駅でもあるわけで、美しいカラー写真で構成されている。それも、一つの駅に1枚や2枚の写真ではなくて数枚は載せられているからと…

金井一郎『銀河鉄道の夜』

(写真1 開催案内のはがきから引用) 翳り絵による光の劇場 展覧会場に一歩足を踏み入れると、薄暗い中に影絵のボックスが展示されてある。淡い光が絵を浮かび上がらせている。 影絵のボックスは20ほども並んでいるか。順に見ていくと、午后の授業、活版…

白堊芸術祭今年も盛大に

(写真1 同窓生が次々と訪れてにぎやかな会場の様子) 54人80作品一堂に 第11回白堊芸術祭(主催在京白堊会)が10日開幕した。神田神保町の文房堂ギャラリーを会場に会期は15日までの6日間。 主催の在京白堊会は、高校時代の同窓会の在京組織。…

キネマ旬報シアター

(写真1 キネマ旬報シアター館内にある図書室) 千葉県柏市でキネ旬直営 キネマ旬報シアターは、千葉県柏市でキネマ旬報社が直営する映画館。JR常磐線/東武アーバンパークライン柏駅西口徒歩1分。柏高島屋S館隣接。 キネマ旬報社は、映画雑誌『キネマ旬…

映画『銃』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 現代の狂気を描く 主人公は大学生西川。雨の荒川河川敷で、男の死体の傍に落ちていた拳銃を拾う。アパートに持ち帰って、ためつすがめつしながら拳銃を持っていると喜びを感じるようになっていく。誰かを…

越 信行『絶景駅100選』

最も輝いている季節を選んで 生涯一度は行きたい春夏秋冬の絶景駅-とある。 著者は、駅旅写真家と名乗っているが、鉄道あるいは鉄道写真の世界にもいろいろなカテゴリーがあるものだ。 その著者が、何と全国4500もの駅を旅して、美しいカラー写真で紹介…

植本一子『フェルメール』

独特の写真紀行 ずばりとした書名だが、内容はフェルメールに関するガイド本でも画集でもないのでまずは念のため。 著者は写真家。傍ら執筆も手がけるという様子。34歳。出版社の依頼でフェルメールの全作品を写真に撮ることになり、世界各地に散らばって…

展覧会『ガンダーラ』

(写真1 展示されていた「菩薩半跏像」) 仏教美術のふるさと 千葉県松戸市の松戸市立博物館で開催されている。市制施行75周年、開館25周年記念特別展とある。博物館へは新京成電鉄八柱駅・JR武蔵野線新八柱駅から徒歩約15分。美しい桜並木の通りを…