ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

03 読書ときどき映画あるいは美術

栗原小巻の「愛の讃歌―ピアフ」

(写真1 開催案内のパンフレットから引用) ピアフの半生を一人芝居 舞台はとても簡素である。右にベッド、中央にティーテーブルと2脚の椅子。左にマイクスタンド。そしてその左に隠れるようにピアノとドラム。 芝居は、ベッドに座って自らの人生を回想す…

時刻表完全復刻版

(写真1 時刻表完全復刻版。左が1964年10月号で右が9月号=カバーは復刻版のためのもの) 1964年9月号/10月号 東海道新幹線開業当時の時刻表が刊行された。いわゆる「交通公社の時刻表」が復刻されたもので、開業時の東海道新幹線の時刻表が載…

映画『パラサイト 半地下の家族』

(写真1 映画館に掲示してあったポスターから引用) 臭いが狂気を生む 半地下の部屋に住む4人家族が主人公。部屋の窓からは通りの地面が目の高さに見えていて、時々、窓のすぐそばで酔っ払って立ち小便をする者がいる。部屋の中はゴキブリが走り回っており…

小さな音楽会「はく・あ・ぽこ」

(写真1 音楽会 の様子) ソプラノ大津佐知子&ピアノ森知英 大津佐知子さんのソプラノと森知英さんのピアノによるコンサート。昨年に続いての開催で今年はこのたび恵比寿のサウンドゾーン・イーフラットで開催された。 お二人は高校時代の同期で、しかも1…

ダヴィド・ラーゲルクランツ『ミレニアム5』

復讐の炎を吐く女 世界的なベストセラーとなったスティーグ・ラーソン作『ミレニアム』シリーズは、第3部まで進んだところで著者ラーソンの死によって終了していた。衣鉢を継いだのが同じスウェーデン人の作家ダヴィッド・ラーゲルクランツで、主人公や主な登…

大沢在昌『新宿鮫Ⅺ 暗約領域』

8年ぶりの新宿鮫 新宿鮫とは、警視庁新宿警察署生活安全課刑事鮫島警部の異名。本来キャリア組だったのだが、警察内部の抗争により所轄に飛ばされてきてそのまま塩漬けにされている。何事にも妥協せず暴力団とも渡り合い、一度食らいついたらはなさいところ…

ピエール・ルメートル『わが母なるロージー』

カミーユ警部再び 『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』『傷だらけのカミーユ』と続いたフランスのミステリ作家ピエール・ルメートルのカミーユ警部三部作。日本では三部作いずれも年間ミステリー投票の上位に入る人気シリーズだった。シリーズは201…

映画『マザーレス・ブルックリン』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) ああニューヨーク 1950年代のニューヨークが舞台。ある種フィルムノワールのような色彩があってとても印象深い。 チック症の青年ライオネルが主人公。私立探偵事務所で働いている。孤児院で育ってい…

アーティゾン美術館オープン

(写真1 展示室の様子) ブリヂストン美術館がリニューアル 近代西洋絵画のコレクションで知られる京橋のブリヂストン美術館が、全面的に建て替えられて館名も新たにアーティゾン美術館としてこのたびリニューアルオープンした。 建築地は以前の通りで、東…

展覧会「ハマスホイとデンマーク絵画」

(写真1 ヴィルヘルム・ハマスホイ「背を向けた若い女性のいる室内」=会場で販売されていた絵はがきから引用) 静謐な世界 上野公園の東京都美術館で21日から開かれている。その開幕初日に出かけたが、夕方にもかかわらずまずまずの人気ぶりだった。東京の…

三浦千波展

(写真1 個展会場の様子) 力強く大胆な画風 三浦千波の個展が銀座の兜屋画廊で開催されている。 会場に入ると明るい色彩の絵がいっぱいに目に飛び込んでくる。風景画が多いのだが、力強い画風が特徴で、あるいは画家のことを知らなかったら男性が描いたの…

44年ぶりの「築地明石町」

(写真1 鏑木清方「築地明石町」=会場で販売されていた絵はがきから引用) 近美の鏑木清方コレクション 東京国立近代美術館で開かれている所蔵作品展の一環として特別公開されていた。 美しい。日頃日本画を見る機会は少なくて、そもそも私の絵画鑑賞は美し…

及川昭伍作『マグカップ』

(写真1 及川昭伍作『マグカップ』) 端正で上品な作品 及川昭伍作の染付である。鳥獣戯画が絵付けされている。 及川さんは、経済企画庁総合計画局長から国民生活センター理事長などを歴任された。早くから陶芸にいそしんでいたようで、日本陶芸倶楽部正会…

12回目の白堊芸術祭

(写真1 会場の様子) 多彩な出品分野とイベント 12回目を迎えた白堊芸術祭(主催在京白堊会)が2日から7日まで6日間にわたり神田神保町の文房堂ギャラリーで開催された。 主催の在京白堊会は、高校時代の同窓会の在京組織。毎年師走のこの時期に開催…

金子三勇士ピアノコンサート

(写真1 開演前の会場の様子) 新しい時代をつくるクラシック 12月2日新宿文化センター大ホールで開催された。 金子三勇士(かねこみゆじ)は、人気の若手ピアニスト。群馬県高崎市生まれ30歳。父日本人、母ハンガリー人。バルトーク国際ピアノコンクー…

ブレディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

現代英国社会を活写 著者は、福岡県出身で英国在住。アイルランド人の配偶者と息子と三人で英国南端のブライトンという地方都市に住んでいる。 息子は、小学校は、カトリックの名門校に通った。裕福な家庭の子が多く通っている学校だったが、中学校は、大半…

展覧会『ゴッホ展』

(写真1 会場の上野の森美術館外壁に掲げられた巨大な看板) ゴッホの画業を辿る ゴッホの画業の全体像がわかるような展覧会だった。 リアリズムの色彩が強いようなハーグ時代から、弟テオを頼ってパリに出てきて印象派と出会ったパリ時代、明るい陽光を求…

映画『永遠の門』

(写真1 映画館で配布されていたチラシから引用) ゴッホの見た未来 ゴッホの半生を描いている。 弟テオを頼ってパリに出てきたゴッホ。まったく絵の売れない日々が続き、カフェで行った個展では店主に「客が来なくなる。すべての絵を運び出せ」とまで言わ…

映画『少女は夜明けに夢をみる』

(写真1 劇場で配布されていたチラシから引用) イラン映画 ドキュメンタリー映画。 カメラは犯罪更生施設に入り込んでいる。高い塀に囲まれ、中央の高い監視塔には銃を持った男。まるで刑務所といった様相だ。 入所してきた少女は、両手の指に黒墨をべった…

髙村薫『我らが少女A』

ダイヤグラム上で誰が交差するのか 池袋で風俗の若い女が同棲相手の男に殴打され殺された。この事件そのものは男が自首しており何の謎めいたところもないのだが、男は取り調べで、女がいつだったか使い古しの絵の具のチューブを男に見せて、何年か前に武蔵野…

三浦望愛画「灯台」

グループ展で発掘 グループSUNという展覧会で見つけた。 このグループ展は、かねて昵懇にさせていただいている画家の三浦千波さんを中心に、妹で書家の三浦千江美さんや、千波さん千江美さんの高校時代の同窓だという伊東明子、池上敦子、武田夏実お三方…

映画『パリに見出されたピアニスト 』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) ご自由に演奏を! パリ北駅。多くの利用者が行き交う雑踏に置かれた駅ピアノ。ご自由に演奏を!と表示されており、一人の青年が力強い演奏を行っている。ほとんど毎日のように弾いているようで、その様子…

映画『レディ・マエストロ』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) 女性指揮者のパイオニア描く 女性指揮者のパイオニアとされるアントニア・ブリコの半生を描いている。 ここのところ、女性指揮者西本智実さんが指揮する演奏会に出掛けたり、ブザンソン国際指揮者コン…

ウィリアム・トーブマン『ゴルバチョフ』

その人生と時代(上・下) ソ連の最高指導者だったミハイル・ゴルバチョフの評伝である。ただし、ソ連という政体においては最後の書記長であり大統領であった。1922年生まれ、現在も生存中と伝えられている。私としてはペレストロイカを推進した人物として…

映画『第三夫人と髪飾り』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) ベトナム映画 ベトナム映画とはどういうものか関心があって観た。 19世紀のベトナムが舞台。深い谷間の川を2艘の船が滑るようにやってくる。船には花飾りが施されている。乗っているのは少女。豪農の…

池澤夏樹『科学する心』

文学的科学エッセイ 大学で理系に身を置いたこともある著者によるこれは科学を話題に据えたエッセイ集。とにかく著者の該博な知識には驚嘆するばかりだが、そこは一流の文学者によるものだから、一つひとつのテーマはとても難しいものばかりなものの、理系に…

『刑事の矜持』

ミステリーのアンソロジー 日本推理作家協会賞受賞作家たちによる傑作短編集第7弾。 大沢在昌、黒川博行、佐野洋、島田一男、土屋隆夫、角田喜久雄の6人が名を連ねている。ただ、佐野、島田、土屋、角田の4人はすでに物故者。初出時も、60年70年前の…

ミロスラフ・クルティシェフピアノリサイタル

(写真1 演奏会場の様子) ロシア気鋭のピアニスト 8日築地の浜離宮朝日ホールで開催された。 ミロスラフ・クルティシェフは、ロシア気鋭のピアニスト。レニングラード(現サンクトペテルブルク)生まれ34歳。第13回国際チャイコフスキーコンクール(4…

西本智実+イルミナートフィル演奏会

(写真1 演奏開始前の会場の様子) ゲストに岩崎宏美 10月5日蒲田の片柳アリーナで開催された。日本工科大学を運営する片柳学園の主催で、創立記念感謝の調べと題し行われた。会場は4千人収容という巨大な多目的施設で、これが驚くことに満員の盛況ぶり…

展覧会『ゼロ・ヒガシダ展』

(写真1 「最後の晩餐」と名付けられた巨大なレリーフ) 大作「最後の晩餐」 北上野のいりや画廊で開かれていた。 ゼロ・ヒガシダは彫刻家。1958年広島生まれ、1984年日大芸術学部、1986年芸大大学院卒業。ニューヨークでの活動が長い。 鉄を溶…