ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

03 読書ときどき映画あるいは美術

素晴らしい東洋文庫ミュージアム

(写真1 圧巻のモリソン書庫)東洋学の世界的一大研究図書館 静雅堂文庫を見学したことから触発されて久しぶりに東洋文庫を訪ねた。 東洋文庫は、文京区本駒込所在。駒込駅に近く、不忍通りに面している。 静雅堂文庫も東洋文庫もその生い立ちからするとい…

岩波ホールが創立50周年

(写真1 ロビーに掲示されている上映した映画のパンフレット)独自のコンセプト貫く 岩波ホールが創立50周年を迎えたという。ミニシアターの先駆け的存在で、1968年2月9日の開館である。 白山通りと靖国通りがクロスする神保町交差点の角、岩波神保…

映画『花咲くころ』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)ジョージア映画 ジョージア映画である。どういう映画を作るのか非常なる興味があって初めて見た。 ジョージアは、黒海東岸に位置し、北にロシア、南にトルコと接する。旧ソビエト連邦の構成国だったが…

若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』

(写真1 芥川賞決定前の発売だったので帯が芥川賞候補作となっている)芥川賞受賞作 表題の、おらおらでひとりいぐもは、私は私なりに一人で生きていくよ、というほどの意味か。訛りのかなり強い東北弁だが、この東北弁で語られる一人称に標準語の三人称が…

歌川国貞展

(写真1 静雅堂文庫美術館。図書館はこの右手に別棟である)静雅堂文庫美術館で 歌川国貞展が静雅堂文庫美術館で開催されている。世田谷区所在。会場へは東急田園都市線二子玉川駅からバスで約10分。 静嘉堂文庫は、三菱二代目岩崎彌之助、四代目小彌太父…

伊東潤『幕末雄藩列伝』

講談のごとき面白さ 講談のごとき面白さである。かといって、著者は講釈師ではないし小説家であって、史実を調べ裏付けを取っているようで、読んでリアリティは十分だ。それも、藩に焦点をあてて書いているのが特徴で、藩としての動向に力点が置かれている。…

映画『女の一生』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)映像が紡ぐ物語 モーパッサン原作。日本でも映画化されたように何度も映画になったロングセラーの再びの映画化。今さらという気がしないわけでもないがそれでもまた観に行く。原作は1883年の刊行…

展覧会「コレクションのドア、ひらきます」

(写真1 東京駅丸の内駅舎の建設時の壁面をそのままむき出して見せるレンガ造りの展示室)鉄道絵画発→ピカソ行 東京駅丸の内駅舎内にある東京ステーションギャラリーで開かれている。 同館のコレクションを初めてまとめて公開するもので、テーマの展開を列…

赤塚隆二『清張鉄道1万3500キロ』

清張世界を読む乗り鉄 労作である。 松本清張の作品から鉄道の記述を抜き出し、乗車記録をリストしていく。それも、初乗りを丹念に拾っていく。第1作から読み進み、初乗りで乗った路線を鉄道地図に載せていくと、やがて清張鉄道1万3500キロが完成する…

正木香子『文字と楽園』

精興社書体で味わう現代文学 面白い。しかし、書体について探求したものでありかなり専門的ではある。 それも、楷書とか草書とか毛筆の書体のことではなく、また、明朝体やゴシック体といった一般の活字書体について書かれたものでもなく、ただただ「精興社…

近美から県美へ富山県立美術館

(写真1 富山県立美術館の外観)通称TADはアートとデザイン このたびの北陸旅行では当初から富山県立美術館に寄るのも計画の一つに入れていた。私は往き先々で美術館を見学することを楽しみにしているのである。 美術館は、かつての富山県立近代美術館を…

第10回白堊芸術祭盛大に

(写真1 盛況の展覧会場の模様) 同窓会の展覧会 神田神保町の文房堂ギャラリーで開かれている。 白堊芸術祭とは、高校時代の在京同窓会が主催する展覧会で、今年が10回目。 今回は75人の出展者から100点を超す出品があって大変な盛会となった。 出…

ジェフリー・アーチャー『永遠に残るは』

クリフトン年代記第7部完結 クリフトン年代記が第7部をもってついに完結した。2013年にスタートした物語は、足かけ5年、各部文庫上下、合計14冊という長大なスケールとなった。 イギリス南西部の港湾都市ブリストルとロンドンを主要舞台に、ハリー…

フリーマガジン『灯台どうだい?』

(写真1 『灯台どうだい?』直近6号分)灯台マニアの崖っぷちマガジン フリーマガジンである。フリーマガジンといえば、フリーペーパーも含め広告料収入でまかない無料配布しているものが大半だが、このマガジンの特徴は広告を一切取らず無料配布を貫いて…

ミカ・タジマの個展

(写真1 ギャラリーの様子。ガラス越しに撮影した)「TOUCHLESS」 ミカ・タジマの個展「TOUCHLESS」が東神田のTARO NASUというギャラリーで開かれている。 ミカ・タジマ(田島美加)は、1975年ロサンゼルス生まれ、ニューヨーク在住のアーティスト。 会場…

石川啄木『一握の砂』

近藤典彦編による定本 久しぶりに『一握の砂』を手に取った。かつては繰り返し読んでそらんじている歌も少なくなかった。 『一握の砂』は、啄木24歳の折に編んだ歌集で、啄木にとって初めての歌集だった。以来、どれほどの出版社から刊行され版を重ねてき…

森知英ピアノリサイタルで熱演

(写真1 演奏を終えてロビーに出てきた森知英さん)Russian Romance 11月18日東京オペラシティリサイタルホールで開催された。 森知英はそろそろベテランの域に入ってきた人気のピアニスト。この頃では室内楽なども手がけるほか、音楽コンクールの審査…

展覧会「1968年」無数の問いの噴出の時代

(写真1 会場入口の看板。何やら大学で見かけるタテカンに似ている)歴史になったか学生運動 千葉県佐倉市の国立歴史博物館で開催されている。 1968年に象徴的に集約されるように1960年代後半のベトナム反戦運動や全共闘運動に焦点を当て歴史として…

カズオ・イシグロ『日の名残り』

ノーベル賞受賞作家の出世作 今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの出世作である。イシグロの作品はこれまでも好んで読んできたが、ノーベル賞を受賞したというので再び書棚から引っ張り出してきた。土屋政雄訳のハヤカワ文庫版で、およそ15年…

グループ窓の展覧会

(写真1 会場で呉炳学氏の作品を前に左から成川雄一、呉炳学、三浦千波の皆さん)情熱がぶつかり合う グループ窓の展覧会が神田神保町の檜画廊で開かれている。 構成メンバーは、戸田忠祐、呉炳学、西條紀子、成川雄一、三浦千波の5氏。 私は、かねて知己…

京都五重塔巡り④東寺

(写真1 美しい姿を見せる東寺五重塔)日本一の高さの五重塔 四つある京都の五重塔巡り。四つ目の最後はいよいよ東寺。京都を、というよりも日本を代表する五重塔であり、京都のシンボルでもある。 東寺(とうじ、教王護国寺とも呼ばれる)は真言宗全体の総…

京都五重塔巡り③法観寺

(写真1 街の賑わいの中に佇む五重塔)通称〝八坂の塔〟 四つある京都の五重塔巡り。三つ目は、いわゆる八坂界隈にあるところから通称八坂の塔と呼ばれ親しまれている法観寺の五重塔(重文)である。東山区所在。清水寺から東山の西麓沿いに北へ坂を下って…

京都五重塔巡り②仁和寺

(写真1 美しい佇まいを見せる仁和寺五重塔)名刹の美しい五重塔 四つある京都の五重塔巡り。二つ目は仁和寺。右京区所在。京都の北西に位置し、嵐電北野線の御室仁和寺駅で下車すると、正面にいかにも立派なお寺が見える。徒歩数分。 仁和寺は、真言宗御室…

京都五重塔巡り①醍醐寺

(写真1 歴史を感じさせる佇まいの国宝醍醐寺五重塔全景)京都最古の五重塔 このたびの京都旅行では、京都にある四つの五重塔のすべてを巡った。これらの五重塔はこれまでにも一再ならず訪れたところが多いのだが、滞在中に四箇所すべてを回ったのは初めて…

妹島和世 SANAA×北斎

(写真1 展覧会の様子)すみだ北斎美術館の企画展 ちょっと変わった展覧会だった。 すみだ北斎美術館は墨田区亀沢にあり、ここは葛飾北斎生誕の地でもある。美術館は昨年開館しており、設計が妹島和世だった。SANAAは、妹島が西沢立衛と組んでいる建築設計…

三浦千波展

(写真1 作品を前に三浦千波さんと展覧会の様子)明るくなった画風 三浦千波は、ベテランの域に入ってきた実力派の洋画家。力強いタッチに豊かな色彩で知られ人気が高い。 この三浦千波の個展が銀座の兜屋画廊で昨日1日から開かれている。 会場に足を踏み…

特別展覧会「国宝」

(写真1 国宝展が開催されていた京都国立博物館平成知新館)京都国立博物館開館120周年記念 先週は京都に旅行したが、この国宝展を見るのも大きな楽しみだった。 実に200件を超す国宝が展示されていていかにも豪華。美術工芸品で国宝に指定されている…

不動まゆう『灯台はそそる』

灯台に寄せるほとばしる愛情 著者は灯台女子であり灯台マニアだと自ら名乗っているが、いやはや灯台に寄せるほとばしるほどの愛情が素晴らしい。灯台に関する知識も深くて、ちょっと古い表現になるがまるで灯台博士だ。 内容的には、灯台マニア養成講座であ…

特別展「運慶」

(写真1 特別展「運慶」の会場入口の様子)傑作が揃い圧巻 興福寺中金堂再建記念特別展として東京国立博物館で開催されている。 東大寺南大門の入口で睨みを利かせている金剛力士立像吽形・阿形2躯で親しまれ日本でもっとも著名な仏師であろう運慶の傑作が…

映画『ドリーム』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)感動的な映画 実に感動的な映画だった。いい映画を観たという満足感が強かった。 人種差別が取り上げられているのだが、今さらというところが微塵もないし、エピソードが巧みでまったく陳腐化されていない…