ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

03 読書ときどき映画あるいは美術

展覧会『ガンダーラ』

(写真1 展示されていた「菩薩半跏像」) 仏教美術のふるさと 千葉県松戸市の松戸市立博物館で開催されている。市制施行75周年、開館25周年記念特別展とある。博物館へは新京成電鉄八柱駅・JR武蔵野線新八柱駅から徒歩約15分。美しい桜並木の通りを…

森知英ピアノリサイタル

(写真1 演奏終了直後の森知英さん) 難曲の多い構成 11月6日東京オペラシティリサイタルホールで開催された。 森さんのファンである私としては毎年楽しみにして駆けつけているのだが、今年は、私のようなレベルの低いファンにはちょっと難しい内容だっ…

ジェフリー・アーチャー『嘘ばっかり』

最新短編集 全14冊に及ぶ空前の大河小説『クリフトン年代記』が完結したばかりで早くも次ぎに短編集。アーチャーといえば、長編のストーリーテラーと思いきや短篇もいける。短編集としては7冊目で、本作には15本の短篇が収められている。 短篇の妙味は…

久住昌之『線路つまみ食い散歩』

〝つたい歩き〟鉄道紀行 つたい歩きとは、鉄道線路沿いをつたって歩くこと。 鉄道趣味世界も、撮り鉄、乗り鉄や車両派、時刻表派などと幅広いが、〝つたい歩き派〟もその一つか。新しい流派だろうが、乗っていては見えてこないものが見えてくるのだろうか。 …

展覧会『仏像の姿』

(写真1 会場で配布されていたパンフレットから引用=中央の仏像は「不動明王立像」) 仏師がーティストになる瞬間 仏像の姿(かたち)と題する特別展が日本橋の三井記念美術館で開催されている。 仏師がアーティストになる瞬間というキャッチフレーズのもと、…

映画『1987、ある闘いの真実』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 韓国民主化事件描く 1987年。1月14日、ソウル大生パク・ジョンチョル(朴 鍾哲)は、反政府活動により公安警察に連行され、拷問により死亡する。警察は取調中に心臓麻痺で死亡したと発表。 司法解…

映画『顔たち、ところどころ』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 面白い趣向 映画監督アニエス・ヴァルダ88歳と写真家JR33歳が映画を撮ろうと旅に出る。JRが運転する小型トラックには、写真撮影のスタジオがセットされており、畳1枚分もあるような大きな写真を…

村田靖子『エルサレムの悲哀』

エルサレムを舞台にした物語 これは珍しい、エルサレムを舞台に日本人によって書かれた物語である。著者は、イスラエルのキブツ(農業共同体)で暮らした経験を持ち、現代ヘブライ文学の研究や翻訳活動を行っている。 書き下ろしの9本の短篇で構成されてい…

映画『野いちご』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) ベルイマン生誕100年映画祭 ベルイマン生誕100年映画祭というのが千葉県柏市のキネマ旬報シアターで開かれている。1ヶ月の期間中4本の作品が上映されるようで、そのトップが『野いちご』だった。…

韓国映画『タクシー運転手』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 光州事件を描く 2017年の韓国映画である。監督チャン・フン。 日本で光州事件として知られる、1980年のいわゆる韓国の「5.18民主化運動」が正面から取り上げられている。 パク・チョンヒ(朴正…

戸田泰生画「往来」

(写真1 自身の作品「往来」と並んで戸田泰生さん) 遊び心も加わって 上野の東京都美術館で開催された絵画の公募展第48回純展に出品されていた。100号の大作である。 戸田さんとは仕事上の関わりがあってもう40数年来も昵懇にさせていただいている…

内田洋子『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』

「本が本を連れてくる」 モンテレッジォは、イタリア北部、トスカーナ州の山深い寒村。ここの村人たちは、かつて、貧しさから逃れ現金収入を得るために村を出て本を担いで行商して歩いたという。それはどういうことだったのか、非常なる興味を抱いて本書の物語…

映画『キートンの探偵学入門』

(写真1 映画館に掲示されていたポスター) 活弁士付き無声映画 活弁士による無声映画の上映である。柏のキネマ旬報シアターで開催された。140席ほどの小規模のスクリーンだったが、それにしても満員の盛況ぶりだった。 活弁士(活動弁士)が2名。舞台…

68年前の『サンデー毎日』

(写真1 『サンデー毎日』昭和25年2月12日号の表紙) 表紙絵は小磯良平画 昭和25年2月12日発行の『サンデー毎日』である。68年前の発行ということになる。 ある探したい本があって書棚を漁っていたところ思わぬことで見つけた。 記憶をたどって…

高橋弘希『送り火』

芥川賞受賞作 後味の悪い小説だ。面白くないとは言わないが、読んで楽しくもない。芥川賞受賞作だから読んだけれども、そうでなかったら手に取らなかっただろう。 ただ、文章はうまい。濃密な描写できちんとしている。ただし、やや硬質だ。とても三十代の作…

池澤夏樹『終わりと始まり2.0』

率直な時評で人気のコラム 朝日新聞に連載されてきた時評を中心としたコラム集の第二集。2017年末までの4年分が収録されている。 連載が一か月に1度という頻度がいいようで、世の動きを一か月ごとに区切り、その中からテーマを選び、それに関わる情報…

「新釈漢文体系」全120巻完結

(写真1 新釈漢文体系第7巻『老子・荘子(上)』) 明治書院が58年かけ偉業 「新釈漢文大系」は、明治書院が出版している漢文の大系で、思想や歴史から文芸まで中国古典を網羅している。1960年(昭和35年)の第1巻『論語』から刊行が開始され、今年…

池内紀・松本典久編『読鉄全書』

鉄道ものアンソロジー タイトルが断然いい。読鉄(よみてつ)とはふるっている。鉄道趣味世界も幅は広くて、鉄道の写真撮影を趣味とする撮鉄(撮り鉄)、鉄道に乗っていることが楽しい乗鉄(乗り鉄)から車両派や廃線派などとあってそれぞれに一派一家を構え…

スティーヴン・キング『刑務所のリタ・ヘイワース』

(写真1 『刑務所のリタ・ヘイワース』所収の「ゴールデンボーイ」) 映画『ショーシャンクの空』原作 アメリカ映画『ショーシャンクの空』をテレビで見たところとてもいい映画で味わい深かったので原作を手に取った。すでに原作を読んでいた映画を観ることは…

ベルンハルト・シュリンク『階段を下りる女』

不思議な味わい深い魅力 傑作『朗読者』の著者による近作。またまた魅力的な作品を手に取ることができた。 フランクフルトの弁護士である語り部の「ぼく」は出張先のシドニーで、業務を終えてふと入ったアートギャラリーで1枚の絵と出会う。 絵には「階段を下…

ジョン・ハート『終わりなき道』

評価が分かれる大作 誤解を恐れずに書けば、これは心温まる物語である。ただし、誤解されないために書き加えれば、暴力シーンの連続で、殺された人間が20人近くにもなる。 1ページ2段組のポケミスで600ページ近い長編で、大作ではあるがこれを途中で…

『没後50年 藤田嗣治展』

(写真1 展覧会案内のチラシ。中央の絵は藤田嗣治「カフェ」) 過去最大級の回顧展 上野公園の東京都美術館で開催されている『没後50年 藤田嗣治展』を見た。史上最大級の大回顧展と宣伝されているように、藤田の画業の全体像がわかるような内容だった。 …

東御市梅野記念絵画館を訪ねて

(写真1 カフェから眺望した風景。奥は浅間山) 開館記念20周年記念展開催中 別所温泉に泊まった翌日は、東御市(とうみし)梅野記念絵画館を訪ねた。この美術館を見学することは、当初からこのたびの旅行の大きな目的の一つだった。 美術館は、上田から…

ひっそりとたたずむ「無言館」

(写真1 林の中にひっそりとたたずむ無言館) 戦没画学生慰霊美術館 美術館へは、上田電鉄別所線の塩田町駅から〝信州の鎌倉シャトルバス〟が出ていた。バスなら10分もかからないが、丘の上にあり、道もわかりにくそうで歩いては難儀そうだった。しかし、…

東洋文庫のオリエント・カフェ

(写真1 ミュージアムからカフェへと誘う通路) シリーズ:ミュージアムカフェ オリエント・カフェは、文京区本駒込にある東洋文庫のカフェ。 東洋文庫は、蔵書数約100万冊を誇る東洋学に関する専門図書館。研究機能も有し、アジア最大の東洋学センターで…

演奏会「N響 夏2018」

(写真1 演奏者が舞台に集まり始めたころの様子) コンサートつづき 二日続けてのコンサート。先週木曜日19日にしずくいし夏の音楽祭2018東京公演を代々木上原のこぢんまりとしたホールで楽しみ、翌20日金曜日にはやはり代々木のNHKホールでNH…

林智之メモリアルコンサートVol.2

(写真1 ミュージックキャンプ受講生も加わった演奏直前の様子) しずくいし夏の音楽祭東京公演2018 すっかり定着したしずくいし夏の音楽祭東京公演。今年も7月19日代々木上原のムジカーザで行われた。昨年に引き続き、2016年に逝去された林智之…

特別展『縄文』

(写真1 会場の外壁に掲示されていた展覧会の看板) 1万年の美の鼓動 東京国立博物館で開催されている。 土偶が好きで機会があれば見ている。特に今回は国宝に指定されている5件の土偶がすべて出展されているというので期待していた。 (写真2 国宝「縄…

コンテンポラリー・アートのワタリウム美術館

(写真1 ワタリウム美術館のカフェ) シリーズ:ミュージアムカフェ ワタリウム美術館は、コンテンポラリー・アートを専門とする私設の美術館で、渋谷区神宮前所在。地下鉄銀座線外苑前駅から外苑西通りを千駄ヶ谷方向に徒歩5分ほど。通りを進むと左側にマ…

展覧会『理由なき反抗展』

(写真1 アンディ・ウォーホル「理由なき反抗」I LOVE ART 14 神宮前のワタリウム美術館で開催されている。 映画『理由なき反抗』は、主役のジェームズ・ディーンにばかり目がいきがちだったが、危うい青年の姿と一つの時代を描いていた。 そして私は、アンデ…