ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

03 読書ときどき映画あるいは美術

杉山忠義『テッコツ!』

知られざる鉄骨の世界 鉄骨とは、ビルやスタジアムから電波塔まで建築物の骨組みとなるもので、鉄骨は、鉄工所で鋼材を加工し、それらの部材を複雑な形に溶接し、検査を経て建設現場に出荷されて組み上げられる、と紹介している。 世界一の電波塔東京スカイ…

文=リウ・スーユエン、絵=リン・シャオペイ『きょうりゅうバスでがっこうへ』

人気シリーズ第2弾 台湾の絵本。『きょうりゅうバスでとしょかんへ』に続く人気シリーズの第2弾。 きょうりゅうバスがこどもたちをのせてがっこうへむかいます。こどもたちはねぼうするこやずるやすみするこはひとりもいません。だって、がっこうのばすは…

ポール・オースター『ガラスの街』

ニューヨーク三部作の第一作 現代アメリカ文学を代表する作家であるポール・オースターの、『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』と続く、これがいわゆるニューヨーク三部作の第一作。 そもそものはじまりは間違い電話だった。真夜中にベルが三度鳴り、向こう側の…

唐嘉邦『台北野球倶楽部の殺人』

台湾のミステリー これは珍しい台湾のミステリーである。ミステリーの醍醐味とともに、戦前の日本統治下の台湾の鉄道や社会事情が描かれていてまことに興味深い。 昭和13年10月31日。台北。 北鉄新店線の終着駅北鉄萬華駅に到着した車内で男が一升瓶を…

駅すぱあと社員『乗り鉄エキスパート』

鉄道ファン初心者への指南書 駅すぱあとは、乗換案内ソフト。著者はここの社員4人。いずれも乗り鉄とのこと。 鉄道ファン初心者あるいはこれから鉄道ファンを目指そうとする人たちへの指南書。 まずは、旅の目的は何かとあり、旅の計画を立てよう、計画の立…

映画『3つの鍵』

(写真1 映画館で配布されていたチラシから引用) それぞれの道 ローマにある同じ高級アパートに3つの家族が住んでいる。 3階に住む夫婦で裁判官という家族の息子が酔っ払い運転で女性をひき殺してしまう。父親は息子がこどもの頃から厳格で、このたびの…

ポール・ペンジャミン『スクイズ・プレー』

ポール・オースターの別名義作品 現代アメリカ文学を代表する作家であるポール・オースターが、オースターとして世に認められる前、別名義で書いた処女作である。1982年の作品で、これが私立探偵を主人公に据えた正統派ハードボイルドというのもオースター…

映画『川っぺり ムコリッタ』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 荻上直子監督作品 荻上直子監督作品。新作が出れば必ずといっていいほど観に行く監督の一人。「かもめ食堂」「めがね」「トイレット」「彼らが本気で編むときは」などと好んで観てきた。このたびの新作は…

デイビッド・T・ジョンソンほか『検察審査会』

日本の刑事司法を変えるか 検察審査会とは、検察官が下した不起訴処分を検証し、事件の再捜査や起訴すべきかを決定する仕組み。11人の市民で構成される組織である。裁判員制度と並んで日本の刑事司法制度のもう一つの市民参加の形態。日本のこの検察審査会…

『三浦千波展』

(写真1 会場で自作の作品をバックに三浦千波さん) 豊かな色彩に感服 2年ごとに開かれている三浦千波さんの個展。会場はいつもの銀座の兜屋画廊。 会場に入ってびっくりした。明るい色彩の作品が多いのである。私は三浦さんのファンで個展は必ず見ている…

こにしけいほか『しまずかん』

こども向けの解説書 日本の離島が紹介されている。イラストが豊富でページをめくるのが楽しくなる。当然、文章もやさしい。全部で50の島がとりあげられており、それぞれの島の成り立ちや概要がわかるようになっている。 一つ引いてみよう。 悪石島(あくせ…

松本清張『松本清張推理評論集』

1957-1988 松本清張(1909-1992)のミステリに関する評論集であり、作家論で構成されており、ある種、清張一流の小説作法であり文章読本でもある。 清張は、推理小説の根幹はトリックと意外性にあるといい、「推理小説を書いてみて、これは…

映画『オフィサー・アンド・スパイ』

(写真1 映画館で配布されていたチラシから引用) ロマン・ポランスキー監督作品 『戦場のピアニスト』や『ローズマリーの赤ちゃん』などで知られる鬼才ロマン・ポランスキー監督作品。89歳という。久しぶりの作品だが、まったく衰えを見せない重厚な映画だ…

川上昌裕『限界を超えるピアノ演奏法』

音楽家を目指すヒント 著者川上昌裕は、世界的天才ピアニスト辻井伸行を育てたことで知られる。 そのエピソードが興味深い。 辻井が小学1年、川上がウィーン留学から帰国して間もないころ、初めて彼の自宅で会った際、優れたバランス感覚、正しく鋭敏な音感…

ドナルド・E・ウェストレイク『ギャンブラーが多すぎる』

巨匠ウェストレイク幻の逸品 いやはや驚いた。今頃になってウェストレイクの新作が読めるなんてびっくりした。もっとも、本作は1969年の作品で、日本ではこのたび初めて訳されたのだけれど。 ドナルド・エドウィン・ウェストレイク(1933-2008)は…

映画『復讐は私にまかせて』

(写真1 映画館で配布されていたチラシから引用) インドネシア映画 インドネシア映画とは珍しいが、渋谷のイメージフォーラムで観た。監督エドウィン、撮影芦澤明子。エドウィンはインドネシア気鋭の監督、芦澤は黒澤清作品で知られる。 暴力映画、恋愛映…

辻良樹『日本の鉄道150年史』

写真と図解が豊富 1872(明治5)年10月14日、日本で初めて鉄道が新橋-横浜間に走ってから今年はちょうど開業150年となる。 日本の鉄道の歴史についてはおびただしいほどの類書があるが、本書の特徴はそのとき折々のエピソードをつなげて綴ったこ…

桐山智子『タカラヅカ百年の芸名』

タカラジェンヌ4426人 宝塚歌劇団団員タカラジェンヌの芸名の研究である。 タカラヅカでは、1期生から100期生までの生徒が4426人。この総数について詳細な探求が行われていて、本書は、A5判332ページに上り、タカラヅカに限ったこととはい…

浦賀水道に面した横須賀美術館

(写真1 前庭越しに見た美術館全景) 素晴らしいロケーション 京浜急行浦賀駅からバス約15分終点観音崎下車。周囲は全体が観音崎公園で、右に海伝いに進めば観音埼灯台。美術館へは左に約5分。神奈川県横須賀市鴨井所在。 広大な芝生の前庭の奥に白い翼…

上岡直見『自動車の社会的費用・再考』

クルマ強制社会に 1974年に岩波新書で上梓された宇沢弘文の『自動車の社会的費用』は、相当な物議を醸したものだった。社会的費用という新しい概念が新鮮だったし、増大するクルマ社会への警鐘とも受け止められた。そして何よりも、自動車の所有者・使用…

荒木博行『世界失敗製品図鑑』

攻めた失敗20例 世界的にも名だたる企業の名が並んでいるが、失敗と烙印を押された製品とサービスの20例を羅列するだけでも面白い。 アマゾン=ファイアフォン(自社が描いた将来像を重視しすぎて失敗) フォード=エドセル(社内的な正しさを追求して失敗…

映画『戦争と女の顔』

(写真1 映画館で配布されていたチラシから引用) 女ならではの悲惨さ 第二次世界大戦終戦直後のレニングラード。壮烈なレニングラード包囲戦を戦い抜いた町は荒廃と化し、病院には帰還兵の姿が増えていた。前線から戻り看護師として働いていたイーヤの回り…

高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』

芥川賞受賞作 埼玉の奥にある、食品や飲料のラベルパッケージ製作会社の支店。全国に13ある支店の一つ。ここを舞台にこの頃のサラリーマンの生態が描かれている。 登場人物は、支店長、二谷、藤、芦川さん、押尾さん、パートの原田さん。ホールケーキを八…

映画『死刑にいたる病』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 阿部サダヲ好演 主人公榛村を演じた阿部サダヲなくしてこの映画の成功はなかったと言えるほどの絶妙の配役だった。 24人の若い男女を殺した連続殺人事件の犯人榛村は、このうち9件で立件され、死刑判…

沢木耕太郎『飛び立つ季節』

旅のエッセイ集 情感たっぷりで心温まるエッセイだ。ちょっとしたエピソードを一編の作品に仕立て上げて秀逸だ。一編ずつは短いから読むにちょうどよい。 旅の行き先は全国に及ぶが東北が多いようだ。会津若松、金沢、修善寺、黒石、男鹿、松江、柳川、臼杵…

文=リウ・スーユエン、絵=リン・シャオペイ『きょうりゅうバスでとしょかんへ』

台湾の絵本 ミミとココとフェイフェイは、おはなしがだいすき。 水曜日の午後は、町の図書館のおはなしのじかん。でも、図書館はちょっと遠くて、学校が終わってからだと遅刻しちゃう! でも 大丈夫!きょうりゅうバスがたすけてくれる。三人はきょうりゅう…

近藤健児/久保健『クラシック偽作・疑作大全』

名曲は名曲だが 偽作とは、真の作曲者が別人と判明している作品のこと。疑作とは、真の作曲者が他人かもしれないと疑われている作品のこと。 18世紀までは売らんがために勝手に有名作曲家の名前をつけて別人の楽譜を出版するなど、ずさんなことが平気でな…

しずくいし夏の音楽祭東京公演2022

ミューゼシード・イン・ムジカーザ コロナ下のこと、開催自粛が続いていて今年は4年ぶりの開催。 そもそも「しずくいし夏の音楽祭」とは、岩手県雫石町で毎年8月に開催されている室内楽を中心とした音楽祭で、東京公演はその出演者たちによるもの。主催者に…

マリリン・スコット『アクリル画バイブル』

画材・色・表現技法のすべてがわかる ここのところアクリル画作品を見る機会が多くて、アクリル画とはどういうものなのかその基礎が知りたかった。もっとも、アクリル画を描いてみたいというようなことではなかったのだが。 アクリル絵の具は、化学製品の副産…

村上春樹『古くて素敵なクラシック・レコードたち』

LPの膨大なコレクション 村上春樹といえば、LPの膨大なコレクションで知られ、ジャズやクラシックに造詣が深い。 高校時代からLPの蒐集が始まったようで、そのコレクションは1万5千枚というから驚く。コレクションは1960年代半ばから。 村上のコ…