ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

03 読書ときどき映画あるいは美術

原田マハ『常設展示室』

絵画と人生が交差する6つの物語 『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』『デトロイト美術館の奇跡』の系譜につながる、著者得意の絵画をモチーフにした短編集。 6編が収められており、ピカソ<盲人の食事>の「群青」、フェルメール<デルフトの眺望>の「デ…

清水浩史『楽園図鑑』

日本の絶景無人島 楽園は、島にこそあるのではないか。とりわけ日本にあまた存在する無人島は、楽園そのものではないか。 こうして、著者は37の島に渡っている。そこはどういう島だったのか。果たして楽園だったのか。これらの島々は、人口0人はもとより…

銀座で坂本務展

(写真1 会場で作品を背景に坂本務さん) パステル画の鮮やかさ 銀座の新井画廊で開かれている。 会場に入ると、明るい色彩が目に飛び込んできた。実に鮮やか。30点ほど展示されていたが、すべてアクリル画。キラキラと輝いている。 坂本さんは、1950…

金沢の国立工芸館

(写真1 金沢にある国立工芸館の美しい外観。左・旧陸軍第九師団司令部庁舎、右・旧陸軍金沢偕行社) 未来へつなぐ陶芸展 このたびの金沢滞在中見学した。 兼六園に隣接してあり、真弓坂口の脇から広坂をゆっくり登っていくと県立美術館の隣りだった。 大変美…

デイヴィッド・ロス『世界の美しい灯台』

224基の写真集 灯台の魅力とは、灯台そのものが美しい造型を持つなど興味深い特徴を有していることや、灯台のある場所が独特の景観の中にあり美しい風景となっていることなどであろうか。また、灯台の放つ光そのものにも大きな魅力があろう。 本書は写真…

映画『クレッシェンド』

(写真1 映画館で配布されていたチラシから引用) パレスチナとイスラエル 今も紛争の絶えないパレスチナとイスラエル。永遠に和平の道は開けないのか。 この二つの国の若者たちを集めてオーケストラを結成しようとする物語。奇跡のようなプロジェクトだが…

戸田泰生画『往来』

(写真1 戸田泰生画『往来』) 第88回旺玄展出品作 戸田さんの公募展への出品が続いている。10日ほど前に純展に『山麓』を出品していたばかりだったが、このたびは旺玄展へ出品していた。その2枚の絵の画風がまったく異なることにまずは新鮮に驚くとと…

イ・スラ『日刊イ・スラ』

韓国女性のメルマガ イ・スラは、韓国の若い女性。ソウル在住。27歳。日刊・イ・スラとは、イ・スラが発行するメールマガジン。毎週月曜から金曜まで5日間発行していて、購読料は1カ月1万ウォン(約千円)。これで、学費ローンの返済にあてた。 本書は、2…

『火星の歩き方』

火星とは何か科学的考察 〝地球の歩き方〟は、旅行ガイドブックの大シリーズで、私も外国旅行にはよく携えていったから随分と重宝させてもらった。 そのシリーズに〝火星〟が加わったのかと思ったが、それはさすがに早とちりと思ったものの、読んでみると、…

戸田泰生画「山麓」

(写真1 自身の作品を前に戸田泰生さん) 第51回純展出品作品 上野公園の東京都美術館で開かれていた公募展純展。これまでは毎年秋に開催されてきたが、今年は春の開催となった。大変大きな展覧会だが、今年はコロナの影響か例年よりも少なくて、それでも…

鏑木清方展

(写真1 <築地明石町>=会場で販売されていた絵はがきから引用) 没後50年 東京国立近代美術館で開かれていた。大変な人気ぶりで、日時指定制の入場だったのだが、それでも入場には長い列ができていた。 清方は、近代日本画を代表し、しばしば上村松園と並…

送電鉄塔研究会著『送電鉄塔ガイドブック』

鉄塔ワールドへの誘い 送電鉄塔とは、郊外などで見かけるように長い距離に張り巡らした送電線を中継するための設備。発電所から変電所を経由して送電するために送電線は超高圧となり、送電距離も長いところから送電施設は大型となる。 本書はこの送電鉄塔に…

空也上人と六波羅蜜寺展

(写真1 空也上人立像=会場で販売されていた絵はがきから引用) 東京国立博物館で特別展 空也上人立像(重要文化財)は、なかなかユニークな仏像だった。鎌倉中期、運慶の四男康勝の作とされ、遊行中の姿をリアリティたっぷりに表現されている。像高は12…

砂川文次『ブラックボックス』

(写真1 作品所収の文藝春秋3月号表紙) 芥川賞受賞作 現代の若者が描かれている。ただし、そこに社会に対する破壊はない。文章にも若者特有の暴力はない。しかし、ちょっとしたことですぐに切れる。これが現代の若者特有というならその通りだ。 自転車便…

映画『ひまわり』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) ウクライナ支援上映 第二次世界大戦下、愛し合っていたジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)の夫婦。 アントニオは招集されてロシア戦線に出征することになり、ミ…

映画『ドライブ・マイ・カー』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 難解な映画 西島秀俊演ずる演出家兼俳優家福悠介。ウラジオストックに出張のため成田空港に着いたところ欠航とのこと。やむを得ずいったん帰宅すると、妻は男を連れ込んで浮気の様子。仕方なく静かに家を…

ピアノ教室のコンサート

(写真1 コンサートの模様) 練習の成果披露 ピアノ教室のコンサート(発表会)が練馬文化センターで行われた。毎年この時期の恒例で、1年の練習の成果が披露された。 34人が出演していて、我が家からは4人の孫が出た。6年生(女)、4年生(男)、3…

開館した大阪中之島美術館

(写真1 大阪中之島美術館外観) 超コレクション展 大阪中之島美術館が2月2日開館し、開館記念として超コレクション展が3月21日まで開かれていた。 美術館は、中之島にあり、国立国際美術館の隣り。四角いキューブ状の黒い建物が特徴。京阪渡辺橋から…

ベートーヴェン交響曲第8番

(写真1 ベートーヴェンの第8番が収録されている6人の演奏家のベートーヴェン交響曲全集) 再発見の魅力 再発見などというと、ずぶの素人が生意気だが、実際、なかなかいいのだった。 ここ数ヶ月、毎日、ベートーヴェンのシンフォニーばかり聴いてきた。 …

映画『CODAあいのうた』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 心温まる家族の物語 漁師の一家。父と母と兄はろうあ者で、妹のルビーだけが健聴者という家族。毎日船を出して漁を営んでいる。ユーモアの絶えない家族で、ルビーは、耳の聴こえない家族のための手話によ…

ベートーヴェン聴き比べ

(写真1 聞き比べを行ったCD全集。手前がバレンボイム) 第5を7人の指揮者で ここのところ毎日ひたすらベートーヴェンのシンフォニーだけをCDで聴いてきた。ベートーヴェンに交響曲は9曲。それを著名な指揮者ごとに聴き通してきた。 選んだ指揮者は…

フェルメール<窓辺で手紙を読む女>

(写真1 修復後の<窓辺で手紙を読む女>=会場で販売されていた絵はがきから引用) 17世紀オランダ絵画展 東京都立美術館で開かれている。 ドレスデン国立古典絵画館所蔵作品が集められており、目玉は、フェルメール<窓辺で手紙を読む女>。 この<窓辺で手紙…

ウクライナ応援コンサート

(写真1 数千人も集まったコンサートの様子) コバケンとその仲間たちオーケストラ 3月11日、池袋駅西口の野外劇場グローバルリングシアターで行われた。会場は、全席立見による入場無料で、会場には黄色と青色のウクライナの国旗を持った人々が三々五々…

アーノンクールのベートーヴェン

(写真1 交響曲全9曲を収録した5枚のCD。奥は80枚のCDボックス) ベートーヴェンを熟知 ニコラウス・アーノンクール(1929-2016)は、オーストリアの指揮者,チェロ奏者。古楽器の研究、演奏でも知られる。ベルリン・フィルやウィーン・フィル…

伊藤博康『日本珍景踏切』

魅惑の踏切ワールド 全国の踏切のユニークな写真が載っている。 珍景あり、絶景あり、花畑の踏切、都会の踏切、不思議な踏切もある。よくぞここまで踏切を集めたものだと感心した。全国各地130ほどもの踏切が紹介されていてすべてカラー写真である。この…

バレンボイムのベートーヴェン

(写真1 CD全集のパッケージ外装) ベートーヴェンを熟知 トスカニーニ、フルトヴェングラー、カラヤン、ワルターと続いてきたベートーヴェンの交響曲。いずれも巨匠揃い。特にベートーヴェンを振らせて名だたる評価の持ち主ばかり。そして5人目はバレン…

ワルターのベートーヴェン

(写真1 CD全集のパッケージ外装) 三大巨匠の一人 20世紀を代表する指揮者と称され、トスカニーニ、フルトヴェングラーと並んで三大巨匠の一人とされるワルター。 ブルーノ・ワルター(1876-1960)は、ドイツの指揮者。ユダヤ系であり、ナチス…

中谷一郎『JAXAの先生!宇宙のきほんを教えてください!』

あなたの常識は宇宙の非常識 民間人ですら宇宙旅行を楽しむ時代になってきたが、宇宙はまだまだ深淵。謎だらけと言えるほどで、宇宙への疑問は増すばかり。 本書ではその宇宙とは何か解きほどいてくれている。ただ、タイトルだけ見ると、こども向けのやさし…

カラヤンのベートーヴェン

(写真1 CD全集のパッケージ外装) 〝帝王〟とベルリンフィル トスカニーニ、フルトヴェングラーと続いてきたベートーヴェンの交響曲。ついにカラヤンの登場である。 ベートーヴェンのシンフォニーをカラヤン指揮のベルリンフィルハーモニー管弦楽団が演…

『教科書名短編科学随筆集』

科学者の名エッセイ 中学校の国語教科書に載った科学者のエッセイを集めた。 エッセイは、寺田寅彦、中谷宇吉郎、湯川秀樹、岡潔、矢野健太郎、福井謙一、日髙敏隆の6人。科学者として一流であるばかりか、いずれも名文家としても知られる錚々たるメンバー…