ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

杉山忠義『テッコツ!』

知られざる鉄骨の世界

 鉄骨とは、ビルやスタジアムから電波塔まで建築物の骨組みとなるもので、鉄骨は、鉄工所で鋼材を加工し、それらの部材を複雑な形に溶接し、検査を経て建設現場に出荷されて組み上げられる、と紹介している。
 世界一の電波塔東京スカイツリーは鉄骨で造られているし、歴史的には、パリのエッフェル塔やニューヨークの摩天楼を生んだ超高層ビルも鉄骨構造だ。
 本書では、鉄骨の種類や鉄骨の仕事、とくに溶接などについは溶接女子の活躍に至るまで詳述していて、鉄骨の仕事は有名な建築物に携わる使命があって、鉄骨加工の魅力をふんだんに紹介している。
 まるで、溶接や鉄骨専門誌の連載講座のおもむきだが、発行は文芸書で知られる幻冬舎。著者は製造業の著作を多数手がけるフリーのライターで、山形県に事業所のあるイタガキという鉄骨加工業者が監修・取材協力を行っている。うがった見方をすれば、本書はこのイタガキが仕掛けたものかも知れないと思わせられたが、いずれにしても、日頃は一般に知られることの少ない鉄骨についてわかりやすく紹介してくれていることはありがたいことだろう。
(幻冬舎刊)