ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

佐藤正午『月の満ち欠け』

「ちょっと死んでみる」 直木賞受賞作である。 面白い。先へ先へと進みたくなりページをめくる手がもどかしくなるほどだ。ただ、文章は練達の小説家を思わせる滑らかさなのだが、物語がややこしくてしばし手が停まる。 単行本300ページを超す長編だが書き…

老描ポムちゃん

(写真1 ソファでくつろぐポム)わがままな癒やし系 我が家の飼い猫。名前をポムという。顔立ちがりんごに似ているというので、娘がフランス語でりんごを意味するポムと名付けた。2001年3月1日生まれで、満16歳、メス。もはや老描である。数代前ま…

富山ライトレール

(写真1 終点岩瀬浜駅に停車中の富山ライトレール列車)LRT時代の幕開け 富山ライトレールとは、富山駅北-岩瀬浜間を結ぶ路面電車。全長7.6キロ。JR西日本の富山港線を継承して2006年に開業した。なお、第三セクターである運営会社名も路線名も…

東急世田谷線漫歩

(写真1 電車が到着し乗降中の三軒茶屋駅。左が乗車側ホーム)東京都内の路面電車 世界的にもライトレールとして復権著しい路面電車だが、東京世田谷線は都電荒川線とともに都内にある路面電車の一つ。東京に路面電車のあること自体がびっくりされるかもし…

都電荒川線に乗る

(写真1 都電荒川線の起点三ノ輪橋停留場)東京都内の路面電車 最盛期には40系統213キロもの路線網を誇っていた都電。それがモータリーゼーションの進展などによってほぼ1972年までに廃止となった。 唯一残ったのが荒川線で、荒川区の三ノ輪橋停留…

豊かな都市景観高崎

(写真1 高崎城址に現存する乾櫓)自転車で巡る楽しさ 漢字三千年展を見に訪れた高崎。このためだけに出かけたのだが、折角の機会だし市街中心を少しぶらぶらしてみた。 高崎は交通の要衝で、現在もJRが上越新幹線、北陸新幹線、高崎線、信越本線、上越線…

根室本線別当賀駅の車掌車

(写真1 奇妙なほどの静けさが漂う別当賀駅の佇まい。)シリーズ車掌車を訪ねて 根室本線を根室から釧路へと向かい、西和田駅に続いて別当賀駅(べっとがえき)を訪ねた。 別当賀駅は、西和田駅から昆布盛駅、落石駅と続き三つ目である。根室駅からなら五つ…

根室本線西和田駅の車掌車

(写真1 改造した車掌車が駅舎となっている。1台の自転車が駐輪されているのが不思議な風景となっていた)シリーズ車掌車を訪ねて 西和田駅は、根室本線のうち愛称花咲線と呼ばれる区間にあり、釧路駅から向かうと昆布盛駅と東根室駅の間にある。終着根室…

暑中お見舞い申し上げます

(写真1=パディントン駅。ロンドンのターミナルの一つで、主に西部に向かう列車が多くて、イギリス最古の鉄道グレート・ウエスタン鉄道の起点駅である。また、空港と結ぶヒースローエクスプレスも発着している。2014年1月19日撮影) 8月18日は夏…

暑中お見舞い申し上げます

(写真1=ニューヨークのペンシルヴァニア駅。マディソン・スクエア・ガーデンにあり、通称は単にペン・ステーションと呼ばれて親しまれている。ボストンやワシントンと結ぶAMTRAKが発着している。2012年8月25日撮影) 8月17日は夏休みのため…

暑中お見舞い申し上げます

(写真1=サンクトペテルブルクのモスクワ駅。モスクワのレニングラード駅との間860キロを4時間45分で結んでいる。終着駅の旅情が漂っている。2010年8月7日撮影) 8月16日は夏休みのため記事の更新は行いません(ページトップの写真は挨拶状…

暑中お見舞い申し上げます

(写真1=ドイツ国鉄デュッセルドルフ中央駅。ノルトライン=ヴェストファーレン州の州都であり、ICEなどの国際列車や国内列車など多数の路線が乗り入れている。2009年9月16日撮影) 8月15日は夏休みのため記事の更新は行いません(ページトッ…

暑中お見舞い申し上げます

(写真1=パリ北駅。パリのターミナル駅は方面別となっていて、北駅はロンドン行きのユーロスターやアムステルダム行きのタレス特急などが発着し極めて国際的。2008年7月12日撮影) 8月14日は夏休みのため記事の更新は行いません(ページトップの…

映画『甘き人生』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)「よい夢を マッシモ」 1969年トリノ。仲のいい親子。しかし、若い母は「よい夢を マッシモ」という言葉を残して急死してしまう。少年は母の死を受け入れられず、幻影にさいなまされる。 1992年ロ…

上野公園に「自由な女神像」

(写真1 上野公園に立つ自由な女像)震災のモニュメント 先日のこと、上野駅から上野公園を突っ切るように藝大に向かって歩いていたら、通称アートロードと呼ばれる林の中の小道に自由の女神像が立っていてびっくりした。 ただ、この像はニューヨークの自由…

藝「大」コレクション

(写真1 原田直次郎「靴屋の親爺」=会場で販売されていた絵はがきから引用)パンドラの箱が開いた! 東京藝術大学が創立130周年記念として開いた特別展である。 藝大のコレクション展というと、これまでの開催では、藝大の卒業生が卒業制作として描いた自…

沼田真佑『影裏』

文学青年の書いた小説 文学青年の書いた小説というのが第一印象。よく出来ているし面白い。この数年来の芥川賞受賞作の中では出色の出来ではないか。いたずらに新しさに走らず落ち着いた文章で淡々としているが、綴られる内容は濃密である。 盛岡に転勤して…

詩情豊かな釧路

(写真1 米町公園に建つ啄木の歌碑)漂う最果ての旅情 このたびの北海道旅行では釧路に1泊した。 釧路は道東経済の中心だし、道東観光の拠点でもあり、道東では最も大きな都市。玄関口が釧路駅だが、駅周辺の街路は大方の北海道の都市同様碁盤の目のように…

根室本線旅情

(写真1 鉄道駅として日本最東端アジア最東端東根室駅。運転される本数も数少ない列車が入ってきた)秘境駅が連続 知床岬を訪ねた後は羅臼に泊まり、翌日は道東の岬めぐりを行ったが、日本最東端の納沙布岬を振り出しに根室を経て釧路に至る太平洋岸には魅…

釧網本線旅情

(写真1 オホーツク海に面し茫漠たる原野を走る釧網本線の単行列車。深い旅情を感じさせる風景だ)オホーツク海と花と 東北旅行から金曜日に帰ってきて、土日こそ家にいたものの、月曜日からまた北海道旅行に出かけたら、出がけに家内から「また次の機会に…

原田マハ『いちまいの絵』

絵とのドラマティックな出会い 26枚の絵が取り上げられている。それも単なる作品紹介ではなくて、著者自身のそれぞれの絵との出会いや印象があたかも肉声で語られているし、加えて画家のこと、美術史における位置などについてコンパクトにまとめられており…