ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

03-02 映画ノート

映画『永遠の門』

(写真1 映画館で配布されていたチラシから引用) ゴッホの見た未来 ゴッホの半生を描いている。 弟テオを頼ってパリに出てきたゴッホ。まったく絵の売れない日々が続き、カフェで行った個展では店主に「客が来なくなる。すべての絵を運び出せ」とまで言わ…

映画『少女は夜明けに夢をみる』

(写真1 劇場で配布されていたチラシから引用) イラン映画 ドキュメンタリー映画。 カメラは犯罪更生施設に入り込んでいる。高い塀に囲まれ、中央の高い監視塔には銃を持った男。まるで刑務所といった様相だ。 入所してきた少女は、両手の指に黒墨をべった…

映画『パリに見出されたピアニスト 』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) ご自由に演奏を! パリ北駅。多くの利用者が行き交う雑踏に置かれた駅ピアノ。ご自由に演奏を!と表示されており、一人の青年が力強い演奏を行っている。ほとんど毎日のように弾いているようで、その様子…

映画『レディ・マエストロ』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) 女性指揮者のパイオニア描く 女性指揮者のパイオニアとされるアントニア・ブリコの半生を描いている。 ここのところ、女性指揮者西本智実さんが指揮する演奏会に出掛けたり、ブザンソン国際指揮者コン…

映画『第三夫人と髪飾り』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) ベトナム映画 ベトナム映画とはどういうものか関心があって観た。 19世紀のベトナムが舞台。深い谷間の川を2艘の船が滑るようにやってくる。船には花飾りが施されている。乗っているのは少女。豪農の…

映画『新聞記者』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 黒いサングラスをかけた羊の意味 ある日、東都新聞社会部に大学新設に関わる政権がらみの告発情報がFAXで届く。真偽を確認するよう若手の女性記者吉岡が命じられる。FAXは匿名によるもので、表紙に…

映画『ニューヨーク公共図書館』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) 巨大な知の殿堂 ニューヨーク公共図書館(NYPL)の全貌を描いたドキュメンタリー映画。監督はドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマン。 冒頭、喧噪なニューヨークの五番街に面した列柱が…

映画『女王陛下のお気に入り』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) 俗悪な娯楽性 18世紀初頭のイギリスの宮廷が舞台。アン女王の治世下にあり、ルイ14世統治下のフランスと戦争中という時代。 主要な登場人物は、アン女王(オリヴィア・コールマン)その人と、その…

映画『バイス』

(写真1 映画館に掲示されていたパンフレットから引用) チェイニー副大統領とは何者か アメリカ映画。 題名のバイス(VICE)が意味深長である。接頭語として用いれば、vice presidentのように副~という意味になるが、単独では、悪という意味で使われる。…

映画『記者たち』

(写真1 映画館に掲示されていたパンフレットから引用) 衝撃と畏怖の真実 イラク戦争を仕掛けたブッシュ大統領の嘘を暴いた記者たちの行動を描いている。 9.11テロを契機にイラク政策をエスカレートしていくブッシュ大統領に対し、ニュー・ヨークタイム…

映画『マイ・ブックショップ』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 本好きにとって至福の空間 印象的な結末だった。衝撃の後に救いが現れた。本はいつまでも途絶えない、永遠に伝わっていくということが示されて大変心強いものだった。 1950年代のイギリスが舞台。フ…

映画『斬、』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) これも一つの幕末描く 塚本晋也の監督・脚本・撮影・編集・製作作品。出演は池松壮亮、蒼井優そして塚本晋也自身も。 江戸末期、250年も続いた太平の世が揺らぎ始めた時代。疲弊する農村、困窮し浪人…

映画『バーニング』劇場版

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) 村上春樹原作の韓国映画 2018年製作。監督イ・チャンドン。原作は村上春樹の『納屋を焼く』。 ソウル最大の繁華街南大門とおぼしき街頭でイ・ジョンスは、幼なじみのヘミから声をかけられる。 ジョ…

映画『蜘蛛の巣を払う女』

(写真1 映画館に掲示されていた案内板から引用) ミレニアム4の映画化 ややくどくなるが、原作と映画化双方の歩みを簡単におさらいしておこう。 スウェーデンミステリーの傑作スティーグ・ラーソン作ミレニアムシリーズは、2011年(日本語版刊行)の…

2018年回顧 小説・映画・美術・音楽

(写真1 私が選んだ今年の3冊) 今年のABABA'sノートから② 本好きだし、映画も観るし、美術館にもよく足を運ぶ。音楽会にも時折顔を出す。 ただ、私はどれ一つ取っても好事家というほどはないし、格別の造詣があるわけでもない。 しかも、私は、本にしろ、…

キネマ旬報シアター

(写真1 キネマ旬報シアター館内にある図書室) 千葉県柏市でキネ旬直営 キネマ旬報シアターは、千葉県柏市でキネマ旬報社が直営する映画館。JR常磐線/東武アーバンパークライン柏駅西口徒歩1分。柏高島屋S館隣接。 キネマ旬報社は、映画雑誌『キネマ旬…

映画『銃』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 現代の狂気を描く 主人公は大学生西川。雨の荒川河川敷で、男の死体の傍に落ちていた拳銃を拾う。アパートに持ち帰って、ためつすがめつしながら拳銃を持っていると喜びを感じるようになっていく。誰かを…

映画『1987、ある闘いの真実』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 韓国民主化事件描く 1987年。1月14日、ソウル大生パク・ジョンチョル(朴 鍾哲)は、反政府活動により公安警察に連行され、拷問により死亡する。警察は取調中に心臓麻痺で死亡したと発表。 司法解…

映画『顔たち、ところどころ』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 面白い趣向 映画監督アニエス・ヴァルダ88歳と写真家JR33歳が映画を撮ろうと旅に出る。JRが運転する小型トラックには、写真撮影のスタジオがセットされており、畳1枚分もあるような大きな写真を…

映画『野いちご』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) ベルイマン生誕100年映画祭 ベルイマン生誕100年映画祭というのが千葉県柏市のキネマ旬報シアターで開かれている。1ヶ月の期間中4本の作品が上映されるようで、そのトップが『野いちご』だった。…

韓国映画『タクシー運転手』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 光州事件を描く 2017年の韓国映画である。監督チャン・フン。 日本で光州事件として知られる、1980年のいわゆる韓国の「5.18民主化運動」が正面から取り上げられている。 パク・チョンヒ(朴正…

映画『キートンの探偵学入門』

(写真1 映画館に掲示されていたポスター) 活弁士付き無声映画 活弁士による無声映画の上映である。柏のキネマ旬報シアターで開催された。140席ほどの小規模のスクリーンだったが、それにしても満員の盛況ぶりだった。 活弁士(活動弁士)が2名。舞台…

映画『フジコ・ヘミングの時間』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)魂のピアニストの軌跡 フジコ・ヘミングを描いたドキュメンタリーである。80代になった今なお世界各地で演奏活動を続けるフジコを追い、2年間の生活に密着した記録である。 冒頭からいきなり「ラ・カンパ…

映画『終わった人』

(写真1 映画のチラシ)定年は生前葬? 定年を迎えた男が、時にシリアスに、時にコミックに描かれている。内館牧子の同名小説の映画化。監督中田秀夫。 田代壮介(舘ひろし)は63歳で定年を迎えた。東大を出て大手都市銀行に入り、順調な出世コースを歩ん…

映画『立ち去った女』

(写真1 映画館で配布されていたチラシから引用)秀逸な映画言語 フィリピン映画。ラヴ・ディアス監督作品。映写時間3時間48分。大変長い映画で、途中休憩時間もなかったが、これが不思議におよそ飽きるということがなかった。つまり、そういう映画だとい…

古書店街の名画座神保町シアター

(写真1 神保町シアターの外観)『山の音』を見た 神保町にはちょくちょく行く。古書店をのぞきながら思わぬ本を見つけて馴染みの喫茶店でひもとくのは至福の時である。 神保町では映画もよく見る。新作ものでは岩波ホールだが、旧作ものでは神保町シアター…

岩波ホールが創立50周年

(写真1 ロビーに掲示されている上映した映画のパンフレット)独自のコンセプト貫く 岩波ホールが創立50周年を迎えたという。ミニシアターの先駆け的存在で、1968年2月9日の開館である。 白山通りと靖国通りがクロスする神保町交差点の角、岩波神保…

映画『花咲くころ』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)ジョージア映画 ジョージア映画である。どういう映画を作るのか非常なる興味があって初めて見た。 ジョージアは、黒海東岸に位置し、北にロシア、南にトルコと接する。旧ソビエト連邦の構成国だったが…

映画『女の一生』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)映像が紡ぐ物語 モーパッサン原作。日本でも映画化されたように何度も映画になったロングセラーの再びの映画化。今さらという気がしないわけでもないがそれでもまた観に行く。原作は1883年の刊行…

映画『ドリーム』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)感動的な映画 実に感動的な映画だった。いい映画を観たという満足感が強かった。 人種差別が取り上げられているのだが、今さらというところが微塵もないし、エピソードが巧みでまったく陳腐化されていない…