ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

佐伯祐三展

(写真1 会場で配布されていたチラシから引用=画中の絵は<郵便配達夫>)
自画像としての風景

 東京ステーションギャラリーで開催されている。代表作100余点が展示されており、大回顧展となっている。
 1年前に開館した大阪中之島美術館のこけら落としで展示された作品を中心に全国各地の美術館のコレクションを一堂に集めて素晴らしい展覧会となっていた。
 会場は、日時指定券をあらかじめ持ってないと当日券では長い列ができており、佐伯の人気ぶりがうかがえるようだった。
 佐伯祐三(1898-1928)は大阪の出身。東京美術学校を卒業しパリに渡る。ヴラマンクから痛烈な批評を受けて覚醒する。一時帰国するが再び渡仏、しかし、肺結核によりパリに客死してしまう。30歳だった。
 展示は、自画像から始まっていた。芸大の卒業制作がある、中村彝の<エロシェンコの肖像>を彷彿とさせる。佐伯に自画像は多いが、これほど魅力ある自画像も珍しいほど。
 続いて大阪と東京の風景。中では<下落合風景>がよかった。佐伯は、東京では下落合に住んでいたのだ。佐伯の風景画は今ひとつピンとこないが、佐伯らしい筆遣い色遣いが感じられて面白かった。
 しかし、佐伯は、パリの街角を描いてこそ真骨頂だろう。煉瓦壁などパリの街を描いて独特の世界を生み出していた。<コルドネリ>や<街角の広告>などとあり、背景に広告を描いたものが多く、佐伯はよほど広告が好きだったようだ。
 晩年の<郵便配達夫>は代表作か。