ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

大修館書店編集部編『品格語辞典』

改まった場面で遣う言葉

 品格語とは、「ふだんづかいの言葉に対し、改まった場面で使える言葉」とのこと。
 いつの時代でも年配の者は特にそう感じるのだろうが、それは世の中の変化に追いついていないだけのこと。
 それにしても、この頃の若い人たちの言葉遣いは乱れていて品がないとは感じる。
 本書は、辞典制作で定評のある大修館の発行。見出し語に対し品格語の用例が解説されており、大変丁寧な編集。
 いくつか拾ってみよう。
 びびる→怖じ気づく、たじろぐ、怯む、臆する
 はまる→凝る、のめり込む、
 ばらす→暴く、さらけ出す、暴露
 テンパる→慌てふためく、途惑う、狼狽
 どや顔→得意顔、したり顔
 なので→従って、そこで、そのため、だから、故に、よって
 それにしても、トイレ→お手洗い、化粧室、ご不浄などへ言い換えて品格が上がるものかどうか。せいぜい女言葉にしているだけではないのか。もっとも、この頃は男女の差別は厳に戒めなければならないようだが、言葉遣いで男女の使い方がなくなっては殺伐とするように思うが。うまい→おいしいと男に遣われると丁寧語の乱用に思える。
 全般に、本書は企画の趣旨はよかったが、ほぼ従来の類語辞典に近く、品格語辞典というにはいかがなものだったか。関根健一監修。
(大修館書店刊)