ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

山下澄人『しんせかい』

芥川賞受賞作 今期の芥川賞受賞作である。 倉本聰が主宰する富良野塾とおぼしきところが舞台で、【谷】と表現されている。主人公は著者自身とおぼしく、【谷】ではスミトと呼ばれている。 スミトは去年高校を出たばかり。ふと手にした新聞に二期生募集とあり…

文旦届く

(写真1 香りがいっぱいに広がる文旦)高知から春の便り 今年も高知から文旦(ぶんたん、あるいはざぼん、ぼんたんとも)が届いた。わが家では文旦の便りは春が来たと感じる。 この文旦は、清流四万十川の畔で栽培されたもので、わが家には紹介してくれる人…

「時刻表2万キロ」の終着駅

(写真1 間藤駅待合室に掲示されている宮脇俊三さんを記念する資料)鉄道のある風景 間藤(まとう)駅はわたらせ渓谷鉄道の終着駅。わたらせ渓谷鉄道は、群馬県桐生市の桐生駅から栃木県日光市を結ぶ路線で、旧国鉄の足尾線である。全線44.1キロ、駅数は…

戸井線遺構のアーチ橋

(写真1 未成線である戸井線の遺構であるアーチ橋)鉄道のある風景 函館から恵山岬へと向かって国道278号線通称恵山国道を走っていると、右に津軽海峡があり、戸井の集落付近では、左の丘の斜面にコンクリート製のアーチが目撃できる。 それが数キロにも…

竹筋コンクリート福井川橋梁

(写真1 福井川に架かる松浦鉄道福井川橋梁)鉄道のある風景 選 非常に珍しいが、この橋は鉄筋ならぬ何と竹筋コンクリートでできている。 松浦鉄道の潜竜ヶ滝駅-吉井駅間にあり、福井川に架かるれっきとした鉄道橋。潜竜ヶ滝駅から徒歩5分ほど。 コンクリー…

橋梁の多い日本の鉄道

(写真1 山形新幹線車窓からとなりの橋梁を写す)鉄道のある風景 選 日本は鉄道橋の多い国。膨大な数の川が山から海へと注いでいるからで、日本の鉄道営業キロ数は約2万8千キロだが、その数倍のキロ数を誇るロシアとも匹敵するのではないかと、指摘する向…

春一番

(写真1 これぞ春一番か紅梅の花)春の到来告げる 関東地方は先週末17日が今年の春一番だった。生温かい強い風が吹いていて気温は20度近くまで上がった。翌日には一気に10度も気温が下がって寒の戻りとなったから、いかにも春一番らしかった。 暖かい…

日本最西端の岬与那国島西崎

(写真1 与那国島西崎に建つ西埼灯台)岬と灯台のある風景 選 与那国島には、前夜泊まった波照間島からいったん石垣島に戻り、飛行機を乗り継いで向かった。八重山列島は石垣島が中心となっている。 与那国島は周囲27.5キロと波照間島に比べはるかに大き…

日本最南端の岬波照間島高那崎

(写真1 波照間島に建つ「日本最南端の碑」)岬と灯台のある風景 選 波照間島へは、那覇から石垣島を経由して向かった。石垣島からは双発のプロペラ機で20分だった。 波照間島は(一般の日本人が住んでいるという意味で)日本最南端の島で、東西6キロ、…

折尾駅の駅弁立ち売り

(写真1 折尾駅で見られる駅弁の立ち売り)鉄道のある風景 選 最近めっきり少なくなった駅弁の立ち売り。駅弁そのものは種類も増えているくらいなのだが、ホームでの立ち売りは珍しくなった。列車の停車時間が短くなったし、車両の窓も開かないから買うチャ…

函館駅駅弁「鰊みがき弁当」

(写真1函館駅の駅弁「鰊みがき弁当」)鉄道のある風景 選 鉄道旅行の楽しみは駅弁もその一つ。鉄道は随分と乗っているから駅弁もあちこちのものを食べた。 私が大好きなのは、函館駅の「鰊みがき弁当」。ニシンそのものが好きだからでもあるがとにかくうま…

秘境駅飯田線小和田駅

(写真1 何用か乗客が一人下車した小和田駅)鉄道のある風景 選 鉄道趣味世界も専門分野が多岐に亘っていて、秘境派もその一つ。一派をなすほどだからそれなりに好き者がいるのだろう。それはまた廃線派とは違っていて、現役の駅を探訪するのを楽しみにして…

最南端の駅指宿枕崎線西大山駅

(写真1 開聞岳を背景に最南端の駅指宿枕崎線西大山駅)鉄道のある風景 選 日本最南端の駅である。ただし、沖縄都市モノレールの赤嶺駅を除けばということで。もっとも、鉄道会社では現在はJR駅最南端と断っている。日本最南端の駅を示す標柱には北緯31…

最西端の駅松浦鉄道たびら平戸口駅

(写真1 最西端の駅松浦鉄道たびら平戸口駅)鉄道のある風景 選 日本最西端の駅である。ただし、沖縄都市モノレールの那覇空港駅を除けばということで。もっとも、鉄道会社では今でも最西端を大きく表示している。 行き止まりの終着駅でもなく、松浦鉄道の…

断崖に建ち太平洋を照らす御前埼灯台

(写真1 朝日が昇り始めた御前埼灯台)岬と灯台のある風景 選 地図を眺めていてここには灯台が必要だろうなと誰しもが思うのが御前埼灯台だろう。駿河湾と遠州灘を分かつように太平洋に鋭く突き出ている御前崎の突端に建っている。 急峻な断崖の上にあり、…

風が強く豪快な風景の襟裳岬

(写真1 灯台から見た襟裳岬の突端。岩礁が沖合に連なっている)岬と灯台のある風景 選 日高山脈が太平洋に鋭く突き出た襟裳岬。海岸段丘が絶壁となっており、岬の突端は岩礁が沖合数十メートルにまで点々と連なっている。座標は北緯41度55分33秒、東…

雪の米坂線

(写真1 しんしんと雪が降り積む米坂線車窓)鉄道車窓風景 選 冬に鉄道に乗るなら、根室本線も宗谷本線もいい。中国山地を越えていく木次線も風情がある。ストーブ列車がある津軽列道も捨てがたい。 しかし、絶景があるわけでも、何があるわけでもない、た…

早暁の飯山線北飯山駅

(写真1 飯山線北飯山駅に停車中の越後川口行き列車)鉄道のある風景 選 冬の早暁6時04分頃、飯山線北飯山駅に停車中の越後川口行き列車である。使用しているのは特急車両だが、普通列車である。飯山線は長野県の長野駅と新潟県の越後川口駅を結ぶ全線9…

川は友だち:宗谷本線と天塩川

(写真1 宗谷本線車窓から見た天塩川)鉄道車窓風景 選 川は鉄道の友だちである。川と鉄道はとても相性がよくて、全国の鉄道は川と寄り添って走っている。それは川が谷を拓き、町を開いているからで、鉄道に乗っていて川の流れを見ることは鉄道車窓の楽しみ…

池澤夏樹『知の仕事術』

現代版知的生産の技術 「情報」、「知識」、「思想」について、これらをいかにして獲得し、日々更新していくか、かつて学んで得た知識をいかにアップデートしていくか、現代を知力で生きていくスキルを整理してみたというのが本書。 かつて、梅棹忠夫の『知…