ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

日本財団 海と灯台プロジェクト『海と灯台学』

貴重な写真を駆使

 灯台学とはやや堅苦しいが、灯台について、その歴史から関わった人物、技術などについて概説されている。
 とにかく貴重な写真を駆使して多彩な視点で書かれており灯台を知る上でちょっと贅沢な一冊だ。
 本書魅力の一つは豊富で美しい写真の数々。
 表紙カバーが遠くまで光を放つ佐田岬灯台(愛媛県)で、ページを開くと、角島灯台(山口県)、鴛泊灯台(北海道)と続き、目次背景が真っ赤な灯塔の玉藻防波堤灯台(香川県)だ。
 1874年(明治7年)初点の犬吠埼灯台(千葉県)を取り上げて日本の灯台の歴史の緒に就いている。ちなみに犬吠埼灯台は六連島灯台、角島灯台、部埼灯台とともに現役の灯台として初めて国の重要文化財にしてされている。
 日本の灯台の歴史に欠かせない〝日本の灯台の父〟ヘンリー・リチャード・ブラントン。〝フレネルレンズ〟にその名を残すオーギュスタン・ジャン・フレネルらが紹介されている。ちなみに、ブラントンは日本で26基もの灯台建設を手がけている。
 また、灯台の維持、管理に常駐して業務を行っていた〝灯台守〟と呼ばれた人々についても取り上げている。家族ごと住み込みで灯台を守っていたのだが、灯台は辺地に多いわけだし、自然環境も厳しく過酷な生活と業務だったようだ。現在は、灯台業務の大半は機械化電子化され、灯台守は廃止された。
(文藝春秋刊)