ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

03-02 映画ノート

映画『レディ・マエストロ』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) 女性指揮者のパイオニア描く 女性指揮者のパイオニアとされるアントニア・ブリコの半生を描いている。 ここのところ、女性指揮者西本智実さんが指揮する演奏会に出掛けたり、ブザンソン国際指揮者コン…

映画『ニューヨーク公共図書館』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) 巨大な知の殿堂 ニューヨーク公共図書館(NYPL)の全貌を描いたドキュメンタリー映画。監督はドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマン。 冒頭、喧噪なニューヨークの五番街に面した列柱が…

映画『マイ・ブックショップ』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 本好きにとって至福の空間 印象的な結末だった。衝撃の後に救いが現れた。本はいつまでも途絶えない、永遠に伝わっていくということが示されて大変心強いものだった。 1950年代のイギリスが舞台。フ…

映画『斬、』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) これも一つの幕末描く 塚本晋也の監督・脚本・撮影・編集・製作作品。出演は池松壮亮、蒼井優そして塚本晋也自身も。 江戸末期、250年も続いた太平の世が揺らぎ始めた時代。疲弊する農村、困窮し浪人…

映画『バーニング』劇場版

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用) 村上春樹原作の韓国映画 2018年製作。監督イ・チャンドン。原作は村上春樹の『納屋を焼く』。 ソウル最大の繁華街南大門とおぼしき街頭でイ・ジョンスは、幼なじみのヘミから声をかけられる。 ジョ…

映画『銃』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 現代の狂気を描く 主人公は大学生西川。雨の荒川河川敷で、男の死体の傍に落ちていた拳銃を拾う。アパートに持ち帰って、ためつすがめつしながら拳銃を持っていると喜びを感じるようになっていく。誰かを…

映画『野いちご』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) ベルイマン生誕100年映画祭 ベルイマン生誕100年映画祭というのが千葉県柏市のキネマ旬報シアターで開かれている。1ヶ月の期間中4本の作品が上映されるようで、そのトップが『野いちご』だった。…

韓国映画『タクシー運転手』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 光州事件を描く 2017年の韓国映画である。監督チャン・フン。 日本で光州事件として知られる、1980年のいわゆる韓国の「5.18民主化運動」が正面から取り上げられている。 パク・チョンヒ(朴正…

映画『フジコ・ヘミングの時間』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)魂のピアニストの軌跡 フジコ・ヘミングを描いたドキュメンタリーである。80代になった今なお世界各地で演奏活動を続けるフジコを追い、2年間の生活に密着した記録である。 冒頭からいきなり「ラ・カンパ…

映画『終わった人』

(写真1 映画のチラシ)定年は生前葬? 定年を迎えた男が、時にシリアスに、時にコミックに描かれている。内館牧子の同名小説の映画化。監督中田秀夫。 田代壮介(舘ひろし)は63歳で定年を迎えた。東大を出て大手都市銀行に入り、順調な出世コースを歩ん…

映画『立ち去った女』

(写真1 映画館で配布されていたチラシから引用)秀逸な映画言語 フィリピン映画。ラヴ・ディアス監督作品。映写時間3時間48分。大変長い映画で、途中休憩時間もなかったが、これが不思議におよそ飽きるということがなかった。つまり、そういう映画だとい…

映画『花咲くころ』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)ジョージア映画 ジョージア映画である。どういう映画を作るのか非常なる興味があって初めて見た。 ジョージアは、黒海東岸に位置し、北にロシア、南にトルコと接する。旧ソビエト連邦の構成国だったが…

映画『女の一生』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)映像が紡ぐ物語 モーパッサン原作。日本でも映画化されたように何度も映画になったロングセラーの再びの映画化。今さらという気がしないわけでもないがそれでもまた観に行く。原作は1883年の刊行…

映画『ドリーム』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)感動的な映画 実に感動的な映画だった。いい映画を観たという満足感が強かった。 人種差別が取り上げられているのだが、今さらというところが微塵もないし、エピソードが巧みでまったく陳腐化されていない…

映画『静かなる情熱』

(写真1 映画館に掲示してあった看板から引用)エミリ・ディキンスンの生涯 アメリカの詩人エミリ・ディキンスンの生涯が描かれている。 マサチューセッツ州のアマストが舞台。南北戦争のころだから19世紀なかば。ラヴィニアが膨大な詩篇を発見する。姉のエ…

映画『三度目の殺人』封切り日に観る

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)一級のサスペンス 弁護士の重盛は、殺人及び死体損壊事件の被告三隅の弁護を依頼される。三隅は勤めていた食品加工会社の社長を多摩川河川敷に呼び出しスパナで殴打し殺した上、ガソリンをかけて焼いた罪…

映画『パターソン』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)詩のある生活 舞台はニュージャージー州パターソン市。バスの運転士パターソンが主人公。たまたま同名のようだ。妻のローラとブルドッグのマーヴィンが家族。 映画はこのパターソンの7日間を淡々と描いて…

映画『甘き人生』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)「よい夢を マッシモ」 1969年トリノ。仲のいい親子。しかし、若い母は「よい夢を マッシモ」という言葉を残して急死してしまう。少年は母の死を受け入れられず、幻影にさいなまされる。 1992年ロ…

映画『セールスマン』

(写真1 映画館に掲示されていたパンフレットから引用)息詰まるサスペンスの傑作 イラン映画。アスガー・ファルハディ監督作品。 小さな劇団で俳優をしている仲のいい夫婦。ある日、妻が先に帰宅しシャワーを浴びようとしているところ呼び鈴が鳴る。てっき…

映画『残像』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)アンジェイ・ワイダ監督遺作 1948年12月のワルシャワとおぼしきポーランドの都市。スターリンの巨大な赤い肖像幕がビルを覆い、「インターナショナル」の歌が街に大音響をまき散らしている。やっ…

映画『ジュリエッタ』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)上質のスペイン映画 上質の映画だ。切れのある映像という言い方があるのかどうか、映像にメリハリがあって、サスペンス風の物語がいっそう際立っている。 舞台はマドリード。中年女性のジュリエッタ。男の…

映画『娘よ』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)パキスタン映画 これは何とも珍しいパキスタン映画である。日本初公開とある。各地の国際映画祭で数々の賞を獲得している。アフィア・ナサニエル監督作品。 カラコルム山脈の懐に抱かれた村。多くの部…

映画『家族の肖像』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)ルキーノ・ヴィスコンティ監督作品 1974年に公開されたイタリア映画のデジタルリメーク版である。 1950年代とおぼしきローマ。高級なアパルトマンに一人暮らす老教授。壁一面に飾られている絵…

映画『彼らが本気で編むときは、』

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)荻上直子 第二章 荻上直子の脚本・監督作品。 『かもめ食堂』や『めがね』などと楽しんできたこれまでの荻上作品とはまったく作風が違っていた。それに、荻上作品に常連の小林聡美や、もたいまさこなど…

映画『マイルス・アヘッド』

(写真1 映画館に掲示されていたポスター)マイルス・デイヴィス空白の5年間 マイルス・デイヴィス(1926-1991)とは、アメリカのジャズトランペット奏者。ファンの間ではジャズの帝王などと呼ばれている。たびたび来日しており日本でも今なおファ…

映画『われらが背きし者』

(写真1 映画のパンフレット)原作ジョン・ル・カレ モロッコに休暇で来ていたロンドンの大学教授のペリーと弁護士のゲイル夫妻に家族とバカンスに来ていたロシア人のディマが接触してくる。 ペリーはディマからUSBメモリースティックを渡されロンドンに帰…

映画『ブルックリン』

(写真1=映画館で配布されていたパンフレットから引用) 独特のアイデンティティ ラストシーンがいい。万感の思いが募って幸せになれる。これほど素直に主人公に拍手を送りたくなった映画も珍しい。 アイルランドからアメリカに渡ったエイリシュ。母を残し…

ブログ開設の挨拶

(写真は北海道恵山岬。大海原を前に両手を広げて余る240度もの眺望だ) 旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。 出版社勤務をリタイアし今日も旅枕に夢を見る古希男が勤務時代のブログ「秋葉原日記」、「AKIBAノー…