ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

映画『ひまわり』

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(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)

ウクライナ支援上映

 第二次世界大戦下、愛し合っていたジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)の夫婦。
 アントニオは招集されてロシア戦線に出征することになり、ミラノ駅のホームでアントニオは「すぐ帰ってくるよ」とジョバンナに別れを告げる。
 戦争が終わり、続々と復員してくる兵士を出迎える家族でミラノ駅のホームはごった返していた。ジョバンナも1枚の写真を手に懸命に夫を探していた。
 しかし、いつまで待っても帰ってこないアントニオ。必ず生きているはずだという信念のジョバンナは、役所で復員者名簿を調べてもらっても該当者になく、年老いたアントニオの母も「手紙1通こないし、もう生きていないよ」と言い出す。
 諦めきれないジョバンナは、スターリンも死んだことだしロシアも外国人の入国を認めているだろうとしてロシアに向かう。スターリンが死んだということは1953年ごろか。終戦から9年も経っていたということになる。
 わずかな消息を手がかりに、ジョバンナはイタリア兵が多く死んだという村へ行く。村は地平線までも広がっている一面のひまわり畑だった。
 そこでジョバンナが見たものは、若い女と暮らしているアントニオだった。生きていたのである。
 何と哀愁に満ちた映画か。ジョバンナのひたむきさが伝わってきて切ない。大ヒットしたヘンリー・マンシーニのテーマ音楽がいっそうやるせない。
 ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニという二人の名優が出演し、巨匠ヴィットリオ・デ・シーカが監督した。
 1970年の制作。もう50年にもなるのかという感慨と同時に、折から、ロシアの侵攻にさらされているウクライナ。このひまわり畑はロシアの支配下だったウクライナである。ちなみに、ひまわりはウクライナの国花なそうである。
 この映画の復活上映は、ウクライナ支援を企図して行われた。私は千葉県柏市のキネマ旬報シアターで見たのだが、映画の収益金の一部はウクライナ支援に充てられるということである。館内では、多数の『ひまわり』関連資料が展示されていた。