ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

由利高原鉄道鳥海山ろく線

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(写真1 車窓には鳥海山が見え隠れしている)
矢島線を継承した第三セクター鉄道
 秋田内陸縦貫鉄道から角館で秋田新幹線に乗り継ぎ、秋田を経てその足で羽後本荘に向かった。
 秋田県の第三セクター鉄道その2
 由利高原鉄道は、旧国鉄の矢島線を継承した第三セクター鉄道で、運営する路線名は鳥海山ろく線と名付けられている。羽越本線に接続する羽後本荘駅から行き止まりの終着駅である矢島駅間23.0キロを結んでいる。駅数は12、全線単線、非電化である。

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(写真2 羽後本荘駅4番線で発車を待つ鳥海山ろく線矢島行き列車=右=と隣はJR線列車)
 6月29日。羽後本荘駅。JR駅に間借りしているという様子。同じホール内だが、一応、小さな出札窓口と改札口があるほかは、同じホームの隣同士にJR線と並んでいる。きっぷは硬券で、矢島まで600円だった。
 改札口で一緒になったおばあさんが、どこまで行くのかと問うので、矢島までと答えると、何用でと続けられ、ただぶらりとと答える。私はこの問いかけが苦手で、いい年をした男が用もないのに鉄道に乗っているのが恥ずかしくて思わず口ごもることもたびたび。さらにこのおばあさん、なかなか放してくれなくて、「おばこ列車」が目的かと聞いてくる。何のことか咄嗟にはわからなくてしどろもどろしていたのだが、この鳥海山ろく線では秋田おばこ姿の女性が乗務してくれるらしい。ただ、1日1列車だけのことのようで、残念ながら乗った列車には乗務していなかった。それにしても、ここは秋田おばこの本場なのであろうか。
 ともあれ羽後本荘駅4番線から15時50分の発車。同じホーム隣3番線にはJR線列車が停まっている。2両が連結されているが、1両は回送のようだ。車体には少女マンガのような絵が施されている。
 出発してすぐに左前方に鳥海山が見えた。すぐに右窓に変わったりしながらこの先も鳥海山を眺めながら列車は進む。なるほど路線名通り鳥海山ろく線で、鳥海山は山容の美しい山。夏だというのに残雪が見られる。裾野が広い。
 往きには気がつかなかったが、帰りの列車では前郷駅で列車の交換が行われ、若い女性駅員が上り列車から下り列車へタブレットを手渡すのが目撃できた。単線の閉塞区間だったのである。なお、この前郷は、旧由利町の中心で、合併して由利本荘市となったものだが、ここから鉄道名がとられたもののようだ。 沿線は豊かな田園地帯である。田んぼを切り裂くように線路が敷かれている。吉沢という駅では青い屋根の小さな駅舎があって、まるでおもちゃのようだった。周囲は一面の田んぼで1軒の家も見当たらなかったが、通学中の小学生が5人下車した。
 そうこうして矢島16時29分着。沿線随一の町とあって高校生の姿も多く、行き止まりの終着駅という情緒ではなかった。なお、駅前からは鳥海山は上部しか見えなかった。

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(写真3 鳥海山ろく線の終着駅矢島)