ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

第85回旺玄展

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(写真1 出品作品を前に戸田泰生さん)

伝統の公募展

 上野公園の東京都美術館で開かれていた。年1回開催され85回目という大変伝統のある公募展。規模も大変大きくて、今回は出品者数が405人、出品数が468点に達した。
 会場に入ると、展示室が28もある広大なもの。そこにびっしりと作品が並んでいる。中には入りきれなかったのか、2段に作品が展示されている展示室もあった。特に今年は85回目という節目にあって、過去の受賞作品なども一堂に展示されていて、公募展としての大変高いレベルを示していた。
 私は知人の戸田泰生さんが出品しているというので出掛けた。駆け出し時代から可愛がってもらってきているからもう50年近い昵懇の間柄だ。
 戸田さんは、70歳で会社を引いたあとから絵筆を握ったという。しかし、美大を狙う生徒が学ぶような教室で教わったというように基礎がしっかりしていて、10年を経た今ではまるで玄人はだしである。
 今回出品された作品は、工場のプラント描いたもので、ダイナミックなプラントと絡まるように広がるパイプ、背景には生命の不思議を感じさせるように枝葉が伸びている。S60号の大きな油彩である。
 私は戸田さんの絵はここ10年来毎年観ているが、この作品はこれまでと題材も違うし画風も変わっていた。
 戸田さんは、旺玄展への出品は今年が二度目で、これまでは秋の公募展純展に毎年出品し続け、ついには最高賞を受賞するまでになっていたが、春に開催される公募展ということで旺玄展に出品するようになったもののようで、この際、作品傾向も少し変えたもののようだ。
 いずれにしても、大作を次々と手がける創作意欲には感心するばかりで、82歳になったという今日においてまったく衰えはないようだった。

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(写真2 S60号という大きな出品作品)