(写真1 会場の様子)
外部審査の公募展
旺玄展は絵画の公募展。上野の東京都美術館で開催されている。今年で84回目という大変歴史のある展覧会。
旺玄展は初めて見たのだが、会場を訪れて驚いた。出品者数が415人、展示数は503点にも達している。
この展覧会に出かけたのは、かねて昵懇にさせていただいている知人の戸田泰生さんが出品していたからで、戸田さんとは、私が駆け出しの頃からのつきあいで、もう40数年にもなるか、今に至るもかわいがってもらっている。
戸田さんは、会社勤めを終えて70を過ぎてから絵筆を持ったそうで、ちょうど10年になるとのこと。それにしてはしっかりとした絵を描いているが、きちんと基礎から学んだとのことで、なるほどとうなずける。
(写真2 自作(上)を前に戸田泰生さん)
実は、戸田さんは旺玄展への出品は初めてなそうで、これまで出品していた純展が、秋に開催の公募展だったので、春に開催される公募展はないかと探して出品したのだという。
引き続き純展にも出品するそうだから、春秋二つの公募展に出品するというのは並大抵の創作意欲ではないが、旺玄展に出品されていた作品は、純展に出品していたものとはがらっと画風も変わっていて、そのことにも驚いた。
作品は、一輪だけ咲いている蓮の様子。赤い蓮の花がインパクトで、大きな蓮の葉が特徴。小手先のごまかしが利かない描写で、使っている色数は少ないが、奥行きが感じられる。ある種の宗教性も感じられる。これまで純展に出品していた都会の街角を描いた作品とは大きな変化だ。
なお、旺玄展は、外部の審査員によって審査が行われているのだそうで、大方の公募展が内部の審査員によっていることとは大きな違いがあり、しがらみを越えた客観性や透明性の高い審査が行われているとも言えるのかも知れない。
すでに、純展では最高賞を受賞している戸田さんが、新しい公募展で新境地を開くのか楽しみだ。
(写真3 戸田泰生さんの作品)