ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

青森県立美術館

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(写真1 三内丸山遺跡に隣接してある青森県立美術館外観)
「あおもり犬」がいい
 このたびの津軽海峡旅行では旅の最後に青森県立美術館に立ち寄った。時間に余裕があるようであれば、街をぶらぶら散策するのも楽しみだが、正味1時間程度しか時間がないようであれば、美術館を訪れることも少なくない。幸い、日本の県立美術館はコレクションが充実しているところが多く、美術館ではここでしか見られないものがある。
 美術館へは青森駅前からバスが出ている。6番乗り場市営バス三内丸山遺跡行きで約20分。実は青森県立美術館は三内丸山遺跡と隣接しているのである。また、新青森駅と結ぶバス便もある。
 美術館は堂々たる建物。この頃ではどこの県美も立派な建物が多くて、さすがは美術館、すでに建物も作品の一つという位置づけなのだということが認識できるし、建築物として美術館を見るのも楽しみの一つではある。

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(写真2 屋根のない空間に佇む「あおもり犬」。美術館のシンボル的存在だ)
 ここの美術館の特徴の一つは地元出身者の作品を多く扱っていること。棟方志功については当然だが、充実しているのは奈良美智の作品。弘前出身のこの美術家の人気は高くて、多彩な活動が様々な作品で紹介されているが、最大の人気は「あおもり犬」だろう。高さが8.5メートルもある巨大なオブジェで、半屋外という空間に鎮座している。どのように受け止めるかは見る人によって違うだろうが、癒しや包容力を感じる向きもあるだろうし、思索的と受け止める人もあるだろうが、いずれにしてもこの美術館のシンボル的存在だ。
 もう一つこの美術館の目玉はシャガールの巨大な絵画だ。壁画にも思われるが、そもそもは舞台の背景画だということ。4幕あるが、綿布にテンペラで描いたもので、1幕が約9メートル☓15メートルほどもある。これが一つの展示室に収まっているから壮観だ。
 一目でシャガールだとわかるが、バレー「アレコ」の背景画なそうで、プーシキンの詩を原作とし、チャイコフスキーのピアノ三重奏曲を原曲としているものだという。4幕の内、3幕をここ青森県美が収蔵しており、残る1幕はフィラデルフィア美術館から長期借用しているとのことで、4幕を揃って見ることができるのは絶好の機会なようだ。
 実は、この美術館を訪ねるのは3度目で、常設展だから展示替えがあるのでやむをえないが、今回は寺山修司や村上善男の作品がないのが残念だった。

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(写真3 バレー「アレコ」の背景画第1幕マルク・シャガール「月光のアレコとゼンフィラ」=美術館で販売されていた絵はがきから引用)