ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

金沢の国立工芸館

(写真1 金沢にある国立工芸館の美しい外観。左・旧陸軍第九師団司令部庁舎、右・旧陸軍金沢偕行社)

未来へつなぐ陶芸展

 このたびの金沢滞在中見学した。
 兼六園に隣接してあり、真弓坂口の脇から広坂をゆっくり登っていくと県立美術館の隣りだった。
 大変美しい建物が迎えてくれて、2棟並んでいて、左が旧陸軍第九師団司令部庁舎、右が旧陸軍金沢偕行社で、移築復元したものだとのこと。
 そもそも、国立工芸館は、北の丸公園にあった東京国立近代美術館の分館だった工芸館を1年半前に金沢に移転させたもの。近美分館だった当時も旧近衛師団司令部庁舎だったから、伝統を引き継ぐようなうまい建物があったものだ。国立の美術館としては北陸で初めてのもの。

(写真2 展示室の様子)

 この日は、企画展として、「未来へつなぐ陶芸-伝統工芸のチカラ」展が開催中だった。人間国宝など137名139点が展示され、近現代の陶芸の技と美が一堂に展開されていて圧巻だった。
 門外漢の私ですら聞いたことのある錚々たる顔ぶれが並んでいて、人間国宝では荒川豊蔵、石黒宗麿、富本憲吉、濱田庄司の作品が展示されていた。

(写真3 松井康成『練上嘨裂文大壺』)

 ずぶの素人が生意気だが好き嫌いだけで挙げれば、松井康成の『練上嘨裂文大壺』(1979)が素晴らしいように思われた。どのようにしてつくったものか見当もつかないが、とても精微なものだった。

(写真4 田島正仁『彩柚器』)

 もう一つ拾えば、田島正仁の『彩柚器』(2016)が造型が見事でグラデーションが素晴らしかった。

 地方へ行けば、その地の美術館へ寄るのを楽しみにしている。美術館にはそこでしか見られない作品があるのである。なお、県美は、この日は日展をやっていたが、これはすでに東京で見ていたからパスした。