ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

旅情誘う銚子電鉄

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(写真1 銚子駅に停車中の銚子電鉄電車。奥がJR銚子駅2、3番線ホーム上の銚子電鉄駅舎。左は3番線に停車中のJR成田線列車)
鉄道で行く岬への旅
 今週は銚子電鉄に乗って犬吠埼を訪ねた。鉄道に乗って楽しく、岬を訪ねて美しく、「鉄道で行く岬への旅」を最上のものとしている私にとっては極上の旅。
 6月5日月曜日。この1週間ほど気象情報をにらみながら間違いのない晴れの日を選んで出かけてきた。
 JR銚子駅で成田線から3番線に降り立つと、銚子電鉄のホームは、同じホームのその先2番線3番線ホームの端に間借りするように設けられてあって、とんがり屋根のようなユニークな建物が銚子電鉄の駅舎となっていた。なお、JR銚子駅は総武本線と成田線の終着駅である。
 銚子電鉄(通称銚電)は、銚子駅と外川駅を結ぶ全線6.4キロのローカル私鉄で、まことに小さな路線。関東最東端の路線で、駅数は起終点を含めて10ある。慢性赤字が続いていて、名物のぬれ煎餅が経営を支えているという具合。
 10時23分の発車。2両編成。茶色の車体にデハ2002とあり、車内の表示を見ると、伊予鉄道そして京王帝都から流れてきたものらしい。皮肉でも何でもなく、古い車両もまことに風情がある。
 平日午前中の下りだから乗客は少ない。運動会の振替休日なのか、小学生の男の子を連れた家族が数組賑やかに乗っている。少年はいつでも鉄道ファンだ。
 すぐに仲ノ町。ここには銚電の本社が置かれている。観音、本銚子と続く。このあたりは銚子漁港に近いはず。太平洋岸屈指の漁港である。ここでタブレットが渡された。

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(写真2 駅員を介して乗務員とタブレットの手渡し。笠上黒生駅でこれは上り列車)
 次の笹上黒生(かさがみくろはえ)で列車交換。ここではタブレットを渡した。また、銚子から乗ってきた女性車掌が降りた。上り列車に乗り移るらしい。この列車はブルーの車体だった。
 沿線の樹木がすれすれだ。ばさばさと音がしており車体に触れているようだ。まるで樹木のトンネルの中を走っているような区間もある。
 この鉄道会社では、駅名にスポンサー名を愛称としてつけるネーミングライツを実施していて、例えば、本銚子駅では「上り調子 本調子 京葉東和薬品」とあるし、笠上黒生駅では何と「髪の毛黒生」とあって唖然とさせられた。
  西海鹿島、海鹿島、君ヶ浜と進み、次が犬吠。犬吠埼への最寄り駅である。大半の乗客が下車した。私は下車せず終点まで行く。
 次が外川終点である。片側1線のホームに古びた木造駅舎があっていかにも終着駅らしい独特の情緒がある。ホームの端には801と銘打たれた初期の車両が留置されていた。私はこの車両に数十年昔の大晦日に乗ったことがあったが、今やモニュメントとなっていた。
 10時43分の到着。わずか乗車時間20分の短い旅だが、濃密な旅情を感じさせらた路線だった。

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(写真3 外川駅。終着駅の旅情を濃密に感じさせる)

 

<おまけ>

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(写真4 笠上黒生駅の様子。風情ある佇まい)

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(写真5 銚子駅と笠上黒生駅間を乗車している若い女性車掌。乗客との間に話が弾み人気者)

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(写真6 少年はいつでも鉄道ファンだ)