ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

小さな終着駅の旅情

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(写真1 夜のとばりが降りた外川駅の佇まい)

銚子電鉄外川駅と外川漁港

 外川駅は銚子電鉄の終着駅。
 関東最東端は一つ手前の犬吠駅だが、ここが銚子半島の行き止まりという様相。こういうことはままある。根室半島の行き止まり、つまり根室本線の終着駅は根室駅だが、日本最東端は一つ手前の東根室駅である。
 銚子電鉄自体は全線わずか6.4キロしかないまことに小さなローカル私鉄だが、外川は終着駅として実に味わい深い駅である。ちょっと間があいてしまったが、先頃、この駅に昼に朝と晩と三度も降り立ってみたことがあった。そうすると、映画のロケにでも使いたいような古い小さな木造駅舎があって、終着駅として独特の情緒が感じられたのだった。駅には片側1面1線のホームがあり、ここのトイレを使わせてもらったが、とてもきれいで感心した。駅では年配の女性が制服制帽姿で勤務していた。
 そう言えば、この鉄道会社では、起点を除き9駅中実に6つの駅に駅員を配置しているし、一定区間だけだが車掌も乗務している。慢性赤字の鉄道会社でこのサービスはけなげである。

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(写真2 駅から坂道を下って突き当たった外川漁港の様子)
 駅の改札口から通りに出てそのまま坂道を下っていけば外川の漁港があった。小さな集落だが、街路は碁盤の目のようになっていて情緒がある。坂道の途中に観光案内所があった。
 突き当たると漁港で、魚市場があった。この地域には銚子漁港という全国でも名だたる魚市場があるのだが、漁協ということでは、この外川魚市場はその支所のような感じ。この日は休漁だったのか、あるいは昼頃だったからすでに帰港していたせいか、数多くの漁船が港に入っていた。
 ぶらぶらしていたら食堂があったので昼食に入ってみた。定食になっていて、刺身の4点盛りにシラスのかき揚げがついていた。刺身はヒラメ、カツオ、タコ、シラスで、かき揚げは直径10数センチもある大きなものが2枚もついていた。また、汁もシラスで、まるでシラスづくしだったが、聞けば、この外川漁港はシラスの水揚げで知られたところらしい。
 満腹になってからの帰途は坂道がきつかった。坂の途中で喘いでいたらおばあちゃんが「きついだろう」と励ましてくれた。

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(写真3 駅から漁港に向けて坂道になっている外川の街並み)