(写真1 大川美術館外観)
充実した松本竣介のコレクション
群馬県桐生市にあり、上毛電鉄西桐生駅から徒歩約10分。JR桐生駅からなら、西桐生との間約5分を足せばいい。いずれにしても西桐生駅を出てすぐに登り坂となる。水道山という小高い山の中腹にあり、見上げればすでに美術館の建物は見えているが、なかなか登り坂と急な階段がきつい。
ここを訪れるのはこれ5度目。松本竣介のコレクションが充実していて、松本竣介が好きな私としては機会があれば何度でも見学したいところ。
美術館は斜面に建っていて、エントランスは最上階で、小さな展示室が続いていて下へ下へと下る順路になっている。こういうのをスキップフロアというらしい。
お目当ては松本竣介。分厚いコレクションがあって定期的に展示替えを行っているようだが、この日は「自画像」(1943)、「少年」(1943-1944頃)があって、いずれも少年のナイーブさが伝わってきてほほえましく竣介の心情が表れているように思える。特に「少年」ははにかみながらも意志の強さを見せていていかにも少年らしさが伝わってくる。
(写真2 松本竣介の代表作「街」=美術館で販売されていた絵はがきから引用)
「街」(1938)は代表作であろう。竣介のブルーと呼びたくなる色彩と、モンタージュ手法は竣介の独創性を示して傑作である。これが見たくて5度も訪れたようなものだが、何度見ても素晴らしい。
この美術館は、竣介に限らず野田英夫など竣介と交友のあった画家たちの作品が充実しているのが特徴で、終戦を前後して日本の洋画界を概観できるのも面白いところ。
この日の展示では、中村彝の「友人の像」が注目された。彝といえば自画像が有名だが、同じような描写方法で、彝の真情が吐露されているようで面白かった。
(写真3 中村彝「友人の像」=美術館で販売されていた絵はがきから引用)