ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

藝「大」コレクション

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(写真1 原田直次郎「靴屋の親爺」=会場で販売されていた絵はがきから引用)
パンドラの箱が開いた!
 東京藝術大学が創立130周年記念として開いた特別展である。
 藝大のコレクション展というと、これまでの開催では、藝大の卒業生が卒業制作として描いた自画像展が好きで、機会があれば見てきている。藝大では卒業生に自画像の制作を義務付けているのだそうで、そのコレクションは何しろ5千点にも及ぶということである。
 今回もそういう自画像コレクション展の延長線上かと思って会場に足を運んだら、今回はだいぶ趣きが違っていて、国宝重文を多数含む館蔵の名品に加え、大観、観山らの卒業制作、さらに伝統の自画像に関しては現代作家を中心に展示されていて、さすが藝大と思わせる分厚いコレクション展となっていた。
 近代物だけでも、高橋由一「鮭」、黒田清輝「婦人像」、浅井忠「収穫」、小倉遊亀「径」などとあって枚挙にいとまがないほどだったが、そういう中で長い時間足を停めていたのは鏑木清方「一葉」、原田直次郎「靴屋の親爺」、大内青甫「童子小像」、板谷波山「元禄美人像」などであったか。
 また、卒業生たちの若き日の自画像も20数点が展示されていたが、気に入ったのは松井冬子「自画像」で、すでに多方面で活躍している日本画家だが、この作品は新しさが目立った。
 なお、展覧会は前後半2期構成で、私が見たのは第1期分。