ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

すみだ北斎美術館

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(写真1 すみだ北斎美術館外観)
葛飾北斎の殿堂
 昨年11月にオープンしたばかり。墨田区の公営美術館で、北斎は現在の墨田区内に生まれ、生涯をほぼ区内で過ごしたといわれている。
 美術館へは、JRの両国駅から徒歩10分ほど、地下鉄大江戸線両国駅からは5分ほど。しゃれたカフェなどが並ぶようになって最近人気が高まっている北斎通りを進むと右手にある。
 ユニークな建物で、アルミパネルの外壁が輝いている。建物には四方にスリットが入っていて、一つの建物なのにゆるやかにいくつかの建物に分割されているように見える。街に開かれた美術館というのがコンセプトのようだ。妹島和世の設計で、そう言えば、同じ妹島の設計になる金沢21世紀美術館にコンセプトは共通しているように思えた。
 建物は地上4階、地下1階建て。3階4階が展示室で、1階には図書室や講義室などがあり、それぞれの施設にはスリットから直接連絡できるようになっている。
 この日は常設展のほか、すみだ北斎美術館を支えるコレクターと題する企画展が行われていて、平日だったのだが、結構な賑わいとなっていた。
 企画展では、ピーター・モースと楢崎宗重の二大コレクションが展示されていた。モースも楢崎も浮世絵の世界的コレクターとして知られ、両者のコレクションはすみだ北斎美術館に寄贈されている。
 二つのコレクションともになるほど分厚い内容で、展示されているものはモースコレクションは60数点、楢崎コレクションもほぼ同数に達していた。
 一通り見て回ったが、錦絵から摺物、版本と展示されていて北斎の画業の全体が概観できる素晴らしい内容だった。富嶽三十六景がもちろん代表作だが、この中では「武州玉川」が印象深かった。摺りの良さがわかる状態というのも感心した。
 また、常設展は北斎の生涯がわかる内容になっていて、デジタル展示を駆使して教育的内容の濃いものとなっていた。

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(写真2 「冨嶽三十六景武州玉川」=会場で販売されていた絵はがきから引用)