ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

フェルメール全点踏破へ

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(写真1 アムステルダム国立美術館でも「牛乳を注ぐ女」は人気)

残るは1点

 お前もかと言われそうだが、フェルメールが好き。
 そのことだけが目的ではないが、海外旅行などで美術館があればたいがいはいる。それも、フェルメールを展示しているとなればなおさら。もちろん、日本にフェルメールが来ていれば、一度見たことのある絵であろうが必ず駆けつける。
 そういうことで、もう20年以上にもなるか、内外を問わずあちこちの美術館でフェルメールを見てきた。先週も上野の森美術館で開催されていたフェルメール展を見てきたばかり。
 ヨハネス・フェルメールは、17世紀オランダの画家。43歳という短い生涯で遺した現存する作品はわずかに30数点と言われている。それも、世界7カ国14都市、17の美術館に点在している状況。
 また、フェルメール作品は希少価値が高くて、真作の見極めに論争が続いている。内外の主な美術評論家、フェルメール研究者らによると、異論なく一致してフェルメール作品と認められているのが32点で、これにほぼ真作であろうとするもの3点加えても合計35点。とても寡作だったのだ。識者の中には最大で37点、厳しく見て32点という人もいる。また、フェルメール作品には贋作も多いようで、真贋論争も活発。
 私自身は、もとよりフェルメール研究者ではないし美術評論家でもなく、精査したわけでもないが、大方の専門家の意見に同調するとザックリと35点ではないかとみている。乱暴なことだが、いかにもフェルメールらしくないものを外したらこうなった。
 ものの本を参考に調べてみると、オランダに2美術館7作品、ドイツ4美術館6作品、オーストリア1美術館1作品、フランス1美術館2作品、イギリス4美術館5作品、アイルランド1美術館1作品、アメリカは4美術館12作品となっているほか、個人蔵が1作品ある。また、ボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館所蔵の「合奏」は盗難に遭って現在行方不明となっている。
 残念ながら日本には一つもなくて、一時、世界の絵画を買いあさって世のひんしゅくをかった日本だったが、フェルメールには手が出なかったもののようだ。

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(写真2 「真珠の耳飾りの少女」を収蔵しているオランダ・ハーグにあるマウリッツハイツ美術館)

 このような事情にあるフェルメール作品。幸い、私は旅行好き。随分と世界のあちこちを訪ね歩いてきた。オランダのハーグにあるマウリッツハイス美術館、アムステルダム国立美術館にも行く機会があったし、フェルメール作品のおよそ三分の一を収蔵しているアメリカにはたびたび足を運んでいて、ニューヨークのメトロポリタン美術館やフリック美術館、そしてワシントンのナショナル・ギャラリーも訪ねた。
 フェルメールファンが多い日本のこと、フェルメール作品を含む展覧会がたびたび開催されていて、何でもこの50年の間に20回も開かれてきたとのこと。これまでに展示された作品数は実に23にも上るらしい。「真珠の耳飾りの少女」は3度も来日しているし、2012年の時などファンが殺到し長蛇の列だった。
 高い貸出料だろうし、収蔵もとの美術館にしてみれば日本は上得意なのではないか。それに日本の美術館にしても、フェルメールさえ呼べば展覧会は成功なのだからおいしい話だ。
 そういうことで、フェルメール作品をどれほど見ているものか、このたび一覧表をつくって整理してみた。
 フェルメールの真作と定評となっている35作品に限ってみると、私はその全てに見たという記憶がある。ただし、いつどこで見たのか記録を調べて精査してみたところ、期日場所が特定できないものが4点あった。私は美術館で絵を見て気に入ったものがあるとその作品の絵はがきを買う習慣があるのだが、1点を除き絵はがきを保有していた。つまり、見たという記憶は確かなのではないか。
 そうは思われるが、記憶はあやふやなもの、期日場所が特定できないものは見たことにカウントしないようにした。特にフェルメールの場合似たようなモチーフ、同じような構図のものが多いから要注意だ。
 そうしていたところ、このたび上野の森美術館で開催されているフェルメール展に期日場所が特定できない1点が含まれていた。「取り持ち女」がそれで、これで残るは3点ということになった。
 このうち、「合奏」は現在行方不明だし、「音楽の稽古」は英国王室の所蔵であり、いずれも自由に見ることができない。
 結局、一般人が自由に見ることができて記録も絵はがきもないというのは「窓辺で手紙を読む女」1点のみとなった。ドレスデン国立絵画館所蔵によるものだが、日本には2回も来ているし、記憶もしっかりしているのだが、いかんせん記録がない。ただし、ドレスデンには行ったことはないのも確かなこと。
 私は、もとよりフェルメール全点踏破を目指しているわけではないからしいてこだわる必要もないが、ここまで来れば全て見てみたい気は強いわけで、いずれドレスデンに出掛けることもあるかも知れないし、作品が来日することもあるかも知れない。

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(写真3 3点が展示されているワシントン・ナショナル・ギャラリー