ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

新京成線つたい歩き①

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(写真1 松戸駅を出発した新京成線電車)

楽しい初体験

 久住昌之の『線路つまみ食い散歩』を読んで俄然〝つたい歩き〟に興味を持った。つたい歩きとは、鉄道線路沿いをつたって歩くことだが、乗っていては見えてこないものが見えてくるのだろうか、そう思ってつたい歩き実践に出掛けてみた。
 何しろ初めてのこと、どの路線にするか慎重に検討してみた。乗るということでは、全国の鉄道をそれこそ全線を踏破したことがあるが、つたい歩きにはどこがいいものか。初心者向けのコースはないものか、1日の走行距離はせいぜい10キロ程度、そうすると歩く時間は5時間程度か。あまりアップダウンの少ない路線がいいのではないか。鉄道地図を広げて吟味した。
 それで、首都圏に絞って選定したのが新京成電鉄新京成線。千葉県松戸市の松戸駅から習志野市の京成津田沼駅を結ぶ全線26.5キロの路線。地図で見ると結構曲がりくねった路線で面白そうだ。これを全線一気に踏破するのは難しそうなので、まずは半分ということに。
 11月15日木曜日、快晴。決行日は週間の気象情報を睨みながら決定した。松戸駅。駅ビルもあり大きな駅。乗客も多く駅前もにぎやか。JR常磐線と新京成線の接続駅で、構内改札があり、新京成線にもそのまま乗り継げるようになっている。ホーム番線もJRからの連番で、7、8番線。
 しかし、今日は乗り鉄のレポートではない。あまり詳しく松戸駅の観察もいらないのではないか。
 そう思い、東口つまり下り列車の進行方向右に出て歩き出した。10時20分。繁華街で、その中に聖徳大学の立派なビルがあった。飲食店が軒を並べている通りを突き当たると、左に線路が見えた。角にはホテルがあり、若い男女が入っていった。こんな朝早くから何用かとも思ったが、あるいは従業員だったのかも知れない。それほど堂々としていた。線路際には角海老というソープランドがあり、「営業中」と電光表示があったが、こちらはさすがにこの時間では人の出入りはなかった。コンパニオン募集の広告が壁に貼り付けられていた。今やどの業界も人手不足なのであろう。それにしても、松戸は古くからこういう歓楽街があったものなのであろうか。
 線路に沿って歩きはじめたら間もなく行き止まりになってしまった。角から見ていた時にはそうは見えなかったから元に戻ったが、そうか、つたい歩きにはこの苦労があるなと思ったものだった。
 広い通りに出ると松戸市役所があり、税務署などの役所が並んでいた。住宅街がつづき、立派な塀を巡らした大きな家が多いことに感心した。高級住宅街なのであろう。
 ほどなく水戸街道(国道6号線)に出た。左に立体交差する新京成線の高架が横切っていて、鉄製の箱桁の横腹には「千葉へ直通60分」と大きく書かれていた。新京成線は京成津田沼駅までが線区だが、松戸発の列車の半分ほどは京成線に乗り入れ千葉中央駅まで直通している。

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(写真2 上本郷駅前にあった周辺地図。これが大変参考になった)

 国道を渡ると細い道が増え、線路からも離れたようでつたい歩きも不安になってきたが、ほどなく上本郷駅を見つけた。松戸を出て最初の駅である。ここで11時05分。松戸-上本郷間はわずか1.7キロのところ、ちょっと路上観察が丁寧すぎたのかも知れなく、時間を食いすぎた。小さなロータリーに面し、駅舎は3階建てのビルになっていて、2階が改札口だった。
 駅前には周辺地図の看板があった。これによると、新京成線は上本郷駅の前後でゆるくカーブをしていることがわかったし、どうやら線路沿いに道の続いていることがわかった。
 津田沼に向かって右側、つまり松戸行き上り列車側を歩いている。列車が頻繁に行ったり来たりしている。走行スピードがかなり速い。アップダウンが少ないし路盤もいいのだろう。また、軌間が1435ミリと広いこともスピードの出る要因だ。新幹線と同じゲージ幅だから、JRや大方の鉄道の1067ミリに比べ断然有利だ。
 順調に歩いて来て11時20分松戸新田駅到着。2面2線相対してホームがあった。ここでトイレを借りたが、とても気持ちのいい対応だった。
 続けて歩いていたら、駅舎が見えてきたし、そのまま改札に出るのかと思ったら、これが行き止まり。大きく迂回させられた。11時37分みのり台駅。(つづく)

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(写真3 跨線橋から見たみのり台駅。左は下り京成津田沼行き列車。線路際右に道路が沿っている)