ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

2016-01-01から1年間の記事一覧

世田谷公園の鉄道車輌展示

(写真1 世田谷公園に連結して展示してあるD51形蒸気機関車とヨ5000形車掌車)シリーズ車掌車を訪ねて 世田谷公園は世田谷区池尻一丁目所在の区立公園。最寄り駅は田園都市線池尻大橋駅だが、歩くと20分近くもかかり、渋谷駅からのバスが便利。東…

流鉄流山線

(写真1 JR駅側から俯瞰した流鉄馬橋駅ホームとオレンジ色の流山線電車。すぐ右隣を通過中は常磐線快速電車)心温まる「市民鉄道」 流鉄とは、旧社名を流山電鉄あるいは総武流山電鉄と称していた鉄道会社。地元の人たちの通称をそのまま社名にしたものら…

ホキ美術館

(写真1 ホキ美術館外観。回廊式ギャラリーをつなぐために独特の形状が面白い) 写実絵画の一大コレクション 外房線の土気駅からあすみが丘という新しく開発された広大な住宅地を歩いて行く。徒歩20分ほど。バス便もある。昭和の森公園に隣接している。 開…

三浦英之『五色の虹』

満州建国大学卒業生たちの戦後 建国大学とは、戦時中、日本の国策により満州国に設立された最高学府で、満州国首都新京にあった。満州国とは、現在の中国東北部を版図に日本が建国した傀儡国家。 1938年の開学で、入学生は9期までを数えたが、1945…

昭和の杜博物館

(写真1 昭和の杜博物館に展示されている車掌車ヨ13712車両)車掌車ヨ13712車両 千葉県松戸市にある。足の便は必ずしもよくはないが、北総鉄道北総線秋山駅あるいは武蔵野線・北総線東松戸駅から徒歩15分ほどか。なお、千葉市にある昭和の森公園…

村田沙耶香『コンビニ人間』

今期の芥川賞受賞作 コンビニエンスストアの表情とそこで働く主人公の内面が詳細に描かれている。とにかくディテールがすごい。 コンビニで大事なのは挨拶。いらっしゃいませ、おはようございます、ありがとうございましたと明るく大きな声で。 次に商品の構…

東武鉄道ヨ101形

(写真1 東武鉄道ヨ111車掌車模型)私鉄車掌車の代表格 友人が贈ってくれた。私の車掌車好きを知ってのことらしい。添えられた手紙には「貨物列車の末尾にポッッと赤いランプが点る風情は失いたくないもの」と記してあって、「もはや絶滅危惧種であり(…

大宮から八王子へ

(写真1 大宮駅3番線ホームで発車を待つむさしの号。行き先表示は「八王子」)むさしの号 大宮駅(埼玉県さいたま市)から八王子駅(東京都八王子市)へ、あなたならどのようなルートを使うだろうか(もちろんその逆でもいい)。同じ首都圏にあって北部か…

笹田昌宏『車掌車』

車掌車へのほとばしる愛情 車掌車の全容が概説されている。いやあ、それにしても素晴らしい。車掌車に関してこれほどまとまった本の刊行はわが国では初めてではないか。それも、オールカラーの写真がふんだんに載っているムックだから読み進むに楽しい。車掌…

ジェフリー・アーチャー『剣より強し』

クリフトン年代記第5部 波瀾万丈に展開されてきたクリフトン年代記。1919年ハリー・クリフトンの誕生前夜から始まった物語は、ほぼ1年に1部ずつのペースで刊行されてきて、第5部では1964年まで進んできた。 ベストセラー連発の人気作家となったハ…

京都鉄道博物館

(写真1 20両ものSLが格納されて壮観の扇形車庫と手前は転車台)日本最大の鉄道博物館 いやあ楽しい。この日は平日だったのだが折からの鉄道ブームも手伝って大変な賑わい。蒸気機関車から新幹線まで53両もが様々な工夫を凝らして展示されている。 今…

映画『ブルックリン』

(写真1=映画館で配布されていたパンフレットから引用) 独特のアイデンティティ ラストシーンがいい。万感の思いが募って幸せになれる。これほど素直に主人公に拍手を送りたくなった映画も珍しい。 アイルランドからアメリカに渡ったエイリシュ。母を残し…

遼東半島の先端老鉄山灯台

(写真1=灯台から黄渤海を望む)渤海と黄海との分界線 このたびの大連滞在中には遼東半島の突端に出かけた。 遼東半島とは、中国遼寧省の南部、渤海と黄海を分かつように突き出ていて、山東半島と対置している。かつて、満州国があった時代、日本が関東州…

大連の鉄道

(写真1=大連の中心に位置する大連駅。貫禄あるたたずまいで、交通の要衝でもある)発達している市内鉄道網 このたびの旅行では大連に3泊4日滞在した。期間中の1日は市内見物を兼ねながら大連の鉄道を一通り乗ってみた。 大連の鉄道は、中国鉄道部すな…

北京から大連へ鉄道旅

(写真1=北京南駅7番線で発車を待つ大連北駅行き高鉄列車和諧号) 高鉄で842キロ5時間 先日の中国旅行では、北京からの帰途は大連に寄った。北京から大連へは高鉄(高速鉄道)を利用した。 高鉄は中国自慢の新幹線鉄道網で、2007年に運行が開始さ…

池澤夏樹『砂浜に座り込んだ船』

哀悼に満ちた短編集 短編8編が収められている。 巻頭にある表題作の「砂浜に座り込んだ船」は、亡くなった友人と語り合う話。砂浜に乗り上げて座礁した貨物船を現地に見に行き、撮ってきた写真を自宅で見ていると、隣に友人がいた。友人は「こういう写真を…

伊王島灯台(長崎市)

(写真1=長崎港入港を照らす伊王島灯台) 西洋の佇まいを見せる長崎港への玄関灯 野母崎からの帰途、伊王島に寄った。 伊王島は、長崎から南西に鋭く突き出た長崎半島の中程あたり、長崎港への入港を塞ぐように細く鋭く突き出た先端にあたる。このあたり、…

樺島灯台と野母崎(長崎市)

(写真1=樺島灯台から見た野母埼。本土最西端である) 本土最西端は長崎港への玄関口 九州を鉄道で巡る岬への旅。3日目に宮崎から吉都線、肥薩線、鹿児島本線、長崎本線と乗り継いで長崎に到着した。途中、寄り道をしたからでもあるが、大半が鈍行ばかり…

吉都線と肥薩線

(写真1=日本三大車窓の一つ肥薩線のハイライト) 絶景車窓が続くえびの高原線 九州を鉄道で巡る岬への旅。2日目に大分県の二つの岬を訪ねた後、その日は宮崎に泊まり、さらに翌日は吉都線、肥薩線、鹿児島本線、長崎本線と乗り継いで長崎へと向かった。…

九州最東端鶴御崎(大分県佐伯市)

(写真1=200メートルもの断崖絶壁の上に建つ鶴御埼灯台) 豊後水道を望む要衝の岬 九州を鉄道で巡る岬への旅2日目の続き。初めの佐賀関半島関埼灯台からはそのまま続けて鶴御崎を訪れた。 7月23日。関崎から向かうと、臼杵湾、津久見湾、佐伯湾と跨…

関崎と関埼灯台(大分市佐賀関半島突端)

(写真1=岬の中腹にある展望台から見た関埼灯台と豊予海峡) 豊予海峡を望む絶景の岬 九州を鉄道で巡る岬への旅2日目は、大分県にある二つの岬を巡った。 7月23日、まずは関崎へ。佐賀関半島の突端に位置し、所在は大分市にあたる。由来はわからないが…

部埼灯台(北九州市企救半島突端)

(写真1=周防灘に面し多数の船舶が往来する関門海峡に臨む部崎灯台) 関門海峡の東側入口を照らす 昨日まで4日間にわたって九州を旅行した。期間中、博多、小倉、大分、宮崎、都城、人吉、八代、鳥栖、長崎とほぼ九州を一周し、鉄道による岬への旅を楽し…

岩手県立美術館(盛岡市)

(写真1=岩手県立美術館グランドギャラリーの空間) 魅力の松本竣介・舟越保武コレクション 岩手県盛岡市所在。盛岡駅からは市街中心とは反対の西側にある。バスで10分弱ほど。なかなかしゃれた建物で、とくに2階分が吹き抜けになっているグランドギャラ…

牡鹿半島の突端黒崎と陸前黒埼灯台

(写真1=牡鹿半島の突端に建つ陸前黒埼灯台) 半島が一望にできる御番所展望棟 牡鹿半島は、宮城県の石巻の東、女川からは南に伸びる半島で、太平洋に鋭く突き出ている。三陸リアス式海岸の南端に当たり、周辺には島嶼が多く、牡鹿諸島とも呼ばれる。その…

女川へ

(写真1=復興を象徴するように小洒落た商店街が並ぶ女川駅前) 仙石線と石巻線 このたびの岩手・宮城沿岸部の旅では、宮古からはそれぞれに所要があって盛岡と松島に泊まった後は、仙石線と石巻線を乗り継いで女川へ向かった。 仙石線高城町駅。松島温泉の…

山田線と北リアス線

(写真1=橋桁が架けられた山田線閉伊川鉄橋) 被災鉄道の今 山田線(盛岡-釜石間)のうち、沿岸部を走る宮古-釜石間55.4キロは津波被害が大きく、宮古駅に近い閉伊川鉄橋が崩落したほか、沿線の大半で線路が流出し、陸中山田、織笠、大槌、鵜住居では駅…

本州最東端魹ヶ崎

(写真1=本州最東端に立つ魹ヶ埼灯台) 日本で最も美しい灯台 釜石線を終着駅釜石で下車。乗り継ぐべき山田線が不通のままのためレンタカーで魹ヶ崎を目指した。釜石側からはバス便もないのである。 魹ヶ崎は、岩手県宮古市にある本州最東端の岬。重茂半島…

釜石線 賢治と民話豊かなライン

(写真1=美しい緑が連なる釜石線沿線風景。並走する国道283号線と猿ヶ石川) イーハトーヴの世界 先週末から4日間にわたって岩手県と宮城県の沿岸部を旅行した。重茂半島と牡鹿半島を訪ねるのが楽しみ。併せて被災鉄道の復興状況も知りたい。 まずはJ…

あこがれの車掌車

(写真1=真岡鐵道真岡駅に併設された鉄道博物館SLキューロク館に展示されている車掌車ヨ8000形) 究極の移動する書斎 車掌車とは、貨物列車の最後尾に連結されている車掌が乗務するための業務用車両のこと。なお、貨物は積載しないこととなっていて…

岬と鉄道ぶらり旅

(写真1 日本海に臨む秋田県男鹿半島の突端入道崎) 留萌本線増毛駅 岬が好きでよく訪ね歩いてきた。日本全図程度の大きなスケールの地図に載っているような岬はほとんど踏破したと思う。 ともかく、一般人が自由に到達できるという意味で、最北端宗谷岬(…