ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

大連の鉄道

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(写真1=大連の中心に位置する大連駅。貫禄あるたたずまいで、交通の要衝でもある)
発達している市内鉄道網
 このたびの旅行では大連に3泊4日滞在した。期間中の1日は市内見物を兼ねながら大連の鉄道を一通り乗ってみた。
 大連の鉄道は、中国鉄道部すなわち中国国鉄の、一般に「鉄道」と呼ばれている路線のほか、路面電車、地下鉄に加え新設の快軌と呼ばれる郊外電車もあって充実している。
 起点はやはり大連駅。大連の中心にあり、交通の要衝である。正面外観は上野駅に似ているが、戦前に立てられたものらしく日本人の設計らしい。2階が出発、1階は到着フロア。利用者も多いし売店、食堂も多く賑わっている。
 初めに乗ったのは路面電車。大連駅前に大連火車站(中国語で火車は鉄道、站は駅の意)という停留所があり、ここで各路線が発着している。路線数は201路と202路の2系統で、大雑把には大連湾方面の201路と星海湾方面の202路と言えるかもしれない。
 時折新しい車両も見かけるが、おおむね古い車両が多く、古色蒼然としたものも珍しくない。木製の車両もあったりしてとてもレトロである。料金は1元(約18円)。路面電車だが、大半が専用軌道扱いだから走行はスムーズ。
 電車は各方面ともにとても混んでいる。結局、この日は各種鉄道に9回乗降を繰り返したが、すぐに座れた1回を除き8回は席を譲ってもらった。年配の者に席を譲る習慣が行き届いているようで気持ちがいいし、この頃の日本では考えられないことだから感心した。もっとも、年配者に席を譲らないということでは世界中で日本ぐらいなものだが。

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(写真2=大連の路面電車。とても古い車両が多くて驚くほど。しかし、街によく溶け込んでいる)
 次に乗ったのが大連市快速軌道交通というもので、通称快軌あるいは軽軌と呼ばれている鉄道。大連駅の裏側直角な位置関係に真新しい立派な駅舎があった。
 路線図で見ると、今のところ3号線の1路線だけのようで、大連湾に沿って北上している。開発区とか保税区などという駅があったりしていて、開発を進めている地域を目指しているようだ。
 自動券売機で切符を購入し、エスカレータで2回のホームに。片側2面1線のホームで、列車は赤い塗色のしゃれた車両だ。途中の大連湾駅まで乗車券を購入したのだが、料金は3元だった。
 14時00分発魯能号。通勤電車のようだが愛称がついている。電車はエアコンが効いている。昼時の下りだがまずまずの乗車。
 発車してすぐに港沿いに走る。造船所のクレーンが林立しているのが間近に見える。少ししてアパート群が出てきた。埋め立て地も宅地化したようで、これが延々と続く。
 大連湾で下車した。14時45分着。駅前に降り立ってみると、開発途上らしくアパートばかりで商店街は見えなかった。汽笛の音が聞こえたから港は近いのかもしれないと思ったがすぐに折り返した。
 再び大連駅に戻って、次は国鉄に。この大連駅は在来線ばかりと見当をつけていたが、高鉄の発着もあるようだ。中国では在来線も高鉄も線路の軌間(ゲージ)は変わらないからこういうことが簡単にできる。もっとも、ゲージが同じだからといってすぐに高鉄を走らせるというわけにはいかないのだが。
 電光掲示板の行き先表示を見ていたら、吉林、牡丹江、瀋陽、斉斉哈爾、長春、北京などとある。北京はともかく、おおむね東北地方の遼寧省、吉林省、黒竜江省方面が多いようだ。なお、旅順行きの路線は2年前に廃止になって現在新線の建設が進められている。
 どこに行こうという当てもないのだが、一般鉄道に乗りたくて牡丹江行きにした。 列車番号T261、特快とある。それにしても牡丹江といえば、ハルピンにも近いはず。特快とはいえ何時間かかるものやら。
 長いホームに列車はすでに入線していた。数えてみたら18両編成だった。金州まで行くこととし、切符はあらかじめ指定券を買っておいた。ただ、この切符の買い方がわかりにくくて、結局、自動券売機では買えなくて窓口に並んで何とか購入できた。金州まで9元。
 乗ったのは16号車で硬座車だった。硬座、軟座は中国における列車の等級種別だが、硬座といっても固いシートではなく、要するに2等車ということ。
 車内は満席。立っている人もいる。ボックスシートで、3+3と2+2が通路を挟んで並んでいる。長距離を覚悟しているのか、弁当など持参している人も大半。荷物も多い。
 16時14分発車。特快だからあまり停まらない。金州までわずか25分、16時39分の到着だった。

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(写真3=大連駅6番線ホームで発車を待つ牡丹江行きT261列車。長距離列車の情緒)
 すぐに折り返したが、帰りは高鉄にした。17時54分発D7706列車。丹東始発の大連北行き。丹東線は半年前に開通したばかりの新しい路線である。
 ところで、中国の鉄道の列車種別について。高鉄にも数種あって、最速列車が列車番号のの頭にGが付く。ほかにCやDというものがある。日本でいうのぞみ形、ひかり形、こだま形みたいなものか。快速列車は日本でいう特急や急行列車で、特快はTで、これは特急。普通の快速はKで急行に相当する。
  金州からDタイプの高鉄で、大連北へ。ここから都心へは地下鉄に乗った。大連の地下鉄には1号線と2号線の2路線があり、1号線は大連北駅を通って南へ向かう南北線のような路線。2号線は空港駅を通って西から東へ向かう東西線のような路線。西安路でクロスしている。新しい鉄道だが、利用者は多いようだった。
  今気がついたことだが、快軌がいきなり3号線から始まっているのは、同じ大連市営ということで、地下鉄のナンバーに続けて番号を振ったからではないか。