ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

ホキ美術館

f:id:shashosha70:20160904172741j:plain

(写真1 ホキ美術館外観。回廊式ギャラリーをつなぐために独特の形状が面白い)

写実絵画の一大コレクション
 外房線の土気駅からあすみが丘という新しく開発された広大な住宅地を歩いて行く。徒歩20分ほど。バス便もある。昭和の森公園に隣接している。
 開館から6年。私は3度目だが、この日も平日だったのにそれなりにほどほどに賑わっている。足の便はそれほどよくはないのにリピーターも多いのか定着したようだ。

f:id:shashosha70:20160904172917j:plain

(写真2 エントランスホールの様子。ミュージアムショップではほとんどの作品の絵はがきを販売しているのもうれしい)
 それにしてもいつ見ても何度見ても感心する。超精密である。毛の1本1本までもがリアルで、どうやって描いたのだろうかと思わせられる。素晴らしいテクニックだ。
 同行のものが「写真みたいだ」と語っていたが、実際その通りだ。
 しかし、そもそも写真と比べる必要があるのだろうか。絵画はリアルである。光と影が絶妙である。そして質感が見る者にさらに訴えてくる。
 風景画と人物画とあるが、私は断然人物画が好きだ。とくに美しい女性の絵がいい。これは写実絵画の特徴と言えるかもしれない。
 美術館は回廊式になっている。細長いギャラリーがつながっていて、3階建て9つのギャラリーをゆったり回れるように配置されている。
 展示の仕方にも工夫があるようで、自然光も採り入れられているし、ライトはすべてLEDなそうである。
 館内にいると気がつきにくいが、外観をみるととてもユニークで、まるで橋桁が飛び出したような格好をしている。この中がギャラリーになっていたとは想像しにくいほどだ。
 初めに原雅幸「光る海」。風景画の極致という印象だ。森本草介「横になるポーズ」もいい。とにかくヌードが美しい。この画家は背中が好きなようだ。中山忠彦「楽興」堂々たる肖像画。豪華な衣装が美しくまるでヨーロッパの絵画を見ているようだ。
 島村信之、五味文彦、野田弘志、諏訪敦、などとあって写実絵画の実力者が揃っていて見応えがある。
 その中で1点絵はがきも購入したのが生島浩「5:55」という作品。この画家の作品は「card」などとどれも女性のさりげない表情が美しいのだが、今回はこれが印象深かった。手紙でも書いていたのか、あるいは占いか、ちょっと思案げな表情が面白い。左から光が差し込んでいるが、タイトルからすると夕日であろうか。そばで誰かがフェルメールかなと言っていたが、果たしてそれはどうか。

f:id:shashosha70:20160904173015j:plain

(写真3 生島浩「5:55」=会場で販売されていた絵はがきから引用)