ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

大宮から八王子へ

 

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(写真1 大宮駅3番線ホームで発車を待つむさしの号。行き先表示は「八王子」)
むさしの号
 大宮駅(埼玉県さいたま市)から八王子駅(東京都八王子市)へ、あなたならどのようなルートを使うだろうか(もちろんその逆でもいい)。同じ首都圏にあって北部から西部へと向かうわけだが、選択肢はいくつもある。
 大宮は、京浜東北線、宇都宮線(東北本線)、上野東京ライン、湘南新宿ライン、高崎線、川越線、埼京線のほか新幹線各線があってJRだけでホームは22番線を数え、これに東武アーバンパークライン、ニューシャトルが加わって路線数は実に14に上る首都圏でも有数の大ターミナルである。
 一方の八王子も中央本線を中心に八高線と、八高線から直通する川越線、横浜線と、横浜線から直通する相模線が発着する。
 さて、これらの路線を使って大宮から八王子に向かうには、すぐに思いつくのは、①大宮(埼京線)武蔵浦和(武蔵野線)西国分寺(中央線)八王子、②大宮(京浜東北線)南浦和(武蔵野線)西国分寺(中央線)八王子、③大宮(湘南新宿ライン)新宿(中央線)八王子、④大宮(川越線)高麗川(八高線)八王子、という4つのルート。さらに付け加えれば⑤大宮(高崎線)倉賀野(八高線)八王子というルートもないわけではない。
 ⑤のルートは乗り換え回数は1回だけと少ないがいかにも遠回り。
 ④のルートも乗り換え回数だけは1回だけで済み、距離数も61.7キロだが、所要時間は列車によっても異なるがおおむね1時間25分(乗り換え時間含む)ほどかかる。
 以下同様に、③のルートも乗り換え回数は1回だが、距離数は65.4キロとなり、所要時間は1時間32分ほど。
 ①のルートは、乗り換え回数は2回となるものの、距離数は47.9キロと少なく、所要時間も約1時間04分。
 ②のルートも同様で、乗り換え階数2回、乗車距離数50.2キロで所要時間は約1時間08分である。
 実際には乗車する列車によっても異なるから一概には言えないところもあるが、①のルートが最も便利ということになる。
 埼京線、京浜東北線と武蔵野線とは武蔵浦和あるいは南浦和で直角に交わっており、さらに武蔵野線と中央線も西国分寺でやはり直角に交わっていて、時刻表地図で見る限り乗り換えは必至の様相。
 ところが、時刻表を詳細に見てみると、何と大宮から八王子へ乗り換えが1回もなしで直通している列車があるのだ。「むさしの号」である。
 これがなぜ可能となっているのか。つまり、大宮を出て埼京線を武蔵浦和の手前から右に大きくカーブしながら武蔵野線へと短絡しているのだ。旧来の貨物線を利用しているためで、このため武蔵浦和は通らない。同様に、新小平からも右にカーブをしながら中央線へと短絡していて、これも旧来の貨物線の応用で、西国分寺は通らないのである。
 JRはこの貨物線の応用が得意で、埼京線や湘南新宿ライン、横須賀線などもそうだし、古くはそもそもこの武蔵野線が貨物線の旅客線への応用だっった。

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(写真2 貨物ターミナルがある新座付近を走行中の武蔵野線車窓)
 8月27日、このむさしの号に乗ってみた。大宮駅3番線。8両編成。電車の行き先表示が「八王子」になっている。この日は土曜日だったのだが、列車の入線を待っている人が結構いる。日に3本の運転だが、やはり便利がいいのだろう、定期利用している人も多いようだった。
 8時53分(平日は8時54分)の発車。大宮を出ると多くの側線を引き連れながらす進む。やがてそれらが少しずつ収斂されていく。
 長いトンネルを抜けたと思ったら左から直進してきた武蔵野線と合流し、西浦和の脇を通過した。いつの間にか武蔵野線内に入っていたのだ。そして荒川の長い鉄橋を渡った。
 北朝霞が最初の停車駅で、新座、東所沢、新秋津と続き、新小平の手前からトンネルに入り、長いトンネルを抜けて地上に出ると左から進んできた中央線と合流した。
 中央線内は国立、立川、日野、豊田と停車し八王子到着が9時45分だった。3番線到着で、そのまま9時52分発大宮行きむさしの号として折り返す。全線50.2キロで、所要時間は56分と1時間を切っている。

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(写真3 八王子駅3番線に到着、9時52分発大宮行きむさしの号として折り返す列車)