ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

長良川と長良川鉄道

シリーズ 川は鉄路の友だち

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 (写真1  清流に寄り添って進む長良川鉄道=2012年9月8日)

日本三大清流の一つ

 長良川は、福井、岐阜県境に近い大日ヶ岳に発し、濃尾平野を流れ、途中、揖斐川と合流し伊勢湾に注いでいる。三重県、愛知県を経ている。全長166キロ。木曽三川の一つであり、四万十川、柿田川と並んで日本三大清流の一つである。
 長良川鉄道は、美濃加茂市の美濃太田から郡上市の北濃を結ぶ。路線名は旧国鉄から継承した越美南線。全線岐阜県で、全長は72.1キロ、駅数は38。
 長良川鉄道は、鉄道名に河川名がついていていかにも川は鉄路の友だち。実際、全長のうち約50キロは長良川に沿っている。

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(写真2 起点の美濃太田駅に停車中の北濃行き列車)

 美濃太田駅で高山本線の3番4番線ホームの隣に短いホームが1本あって、ホームの端に駅事務所もある。
 美濃太田を出ると、途中、美濃市あたりまでは田園風景である。刃物で有名な関を経て湯の洞温泉口を過ぎて長良川が車窓に入ってきた。

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(写真3 大勢の鮎釣りの姿が目立つ)

 流れが速い。なるほど清流というにふさわしい。鮎釣りが大勢いる。鮎の数よりも太公望のほうが多いのではないかと思われるほどだ。列車の運転はなかなかな気が利いていて、眺めのいいところにさしかかると減速してくれる。
 1時間半ほどして郡上八幡。ごっそり下車した。沿線中最大の観光地である。街中至るところ清流が流れている。はなはだすがすがしい。お城もあり、夏の盆踊り郡上踊りが有名である。
 郡上大和を過ぎたら長良川が見え隠れするようになった。盆地が狭まり山が深くなったと思ったらそうこうして終点北濃。美濃太田から約2時間。駅前にも長良川が流れていた。構内には転車台があって、いかにも終着駅の風情が残っている。この転車台は現在はすでに使われていなく登録有形文化財だということである。
 無人だが、駅舎には「花まんま」という食堂があって、近所の主婦グループがやっていて、うどんやクルミ弁当などを売っていた。

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(写真4 かつての北濃駅。因縁のラーメン屋の看板=1994年6月18日)

  実はこの店には苦い思い出があって、10数年前に降り立ったときには、ここはラーメン屋だった。この店の親父が横柄な男で、はなはだ不愉快になったのだった。せっかく清流にすがすがしい気持ちで着いた終着駅で、ひどい仕打ちを受け暗澹としたものだった。全国すべての終着駅で降り立ったことがあるが、これほど気まずい終着駅もないものだった。もっとも、二度目で温かいおもてなしがあって帳消しにしてくれたが。

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(写真5 登録有形文化財の転車台)