ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

雄大な越前岬灯台

f:id:shashosha70:20171205093311j:plain

(写真1 越前岬灯台全景)
大きなこぶが日本海に張り出した岬
 立石岬からの帰途は、越前岬へ向かった。敦賀半島を南下していったん湾奥の敦賀港まで戻り、敦賀湾を回り込むように北上した。途中、敦賀半島が対岸に見えたが、立石岬灯台ははっきりとは視認できなかった。敦賀湾を一回りするのに約1時間を要した。そこからさらに北上をひたすら続けたが、途中、若狭湾が左にどこまでも広がって美しい風景だった。ただ、小さな集落が連続し狭くくねくねした道が多かったから随分と時間がかかった。
 越前岬は、福井県丹生郡越前町所在。越前海岸の中心に位置するのだが、鋭く突き出ているわけでもなく、大きなこぶが日本海に張り出したような様子だから、岬の形状としての風情にはやや弱い。
 しかし、国道沿いに越前岬灯台への登り口を示す看板があって、海岸から急な坂道を登ると一気に眺望が開けた。越前岬灯台で、実に雄大な風景である。周辺は公園になっていて、水仙ランドが人気である。

f:id:shashosha70:20171205093419j:plain

(写真2 後背地から望んだ越前岬灯台と日本海)
 灯台の後背地まで登ると、灯台と日本海が眼下に一望できた。これほど大きく灯台を見渡せるところも少ない。高さは200メートルにもなるのではないか。海蝕崖のようだが、荒々しくはだけた岩山が海に突き出ている。
 姿のいい灯台だ。白亜の円筒形の灯台がすっくと建っている。灯高が16.27メートルとある。鉄筋コンクリート造だということである。灯火標高が131.46メートルというからやはり高い位置にある。敦賀海上保安部が建てた解説板によると、実効光度が20万カンデラ、光達距離は21.0海里(約38.9キロメートル)とある。また、灯台の位置は北緯35度58分51秒、東経135度57分40秒とある。
 ここ越前岬灯台と、対置する丹後半島の経ヶ岬灯台を結ぶ線が若狭湾の範囲だというから、若狭湾とは随分広いものだ。相模灘、駿河湾に匹敵するのではないか。
  実は、この越前岬灯台を訪れたのはこれが三度目で、前回訪れたときには灯台は移設工事中だった。解説によれば、この灯台は二代目で、2008年11月21日に完成点灯したとある。その時には、灯塔は2本立っていて、工事中のものはシートに覆われていたから、完成の少し前だったのであろう。
 なお、初代は1940年3月29日初点というから、戦前ではあるが比較的新しいもののようだ。あるいは軍事上の必要性が緊迫していたのかも知れない。
 この頃、不動まゆう著『灯台はそそる』などを読んで灯台そのものへの関心も高まっていて、その目で越前岬灯台を見ると、この灯台には遮蔽板がなくて、360度光を発することができるように見えた。知識が乏しいので確信はないが。また、初代のものはフレネルレンズだったらしいが、改築された際に変更されたようで、現在のものはLB-M30型灯器とある。なお、初代のフレネルレンズは灯台の斜め前にある水仙の館という観光施設に展示してあるということだったが、建物が台風被害を受けて閉鎖されていて見ることができなかった。
 私は岬好きの灯台ファン。灯台がなくてもいい岬があれば訪ねてみたくなる。もちろんいい岬にはいい灯台があるものだし、灯台があった方が風情が増す。不動さんは灯台のない岬には足を向けないのだろうか。
 ところで、越前岬からは福井市街を目指したのだが、岬からほど近いところ呼鳥門の付近にあるレストハウスが面白い。土産物屋を兼ねた食堂なのだが、ここのトイレの個室が和風庭園付なのだ。使ったことはないが、のぞいてみる価値はある。

f:id:shashosha70:20171205093513j:plain

 (写真3 越前岬灯台付近の荒々しい風景)