ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

市民の足として富山市内軌道線

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(写真1 富山駅ビル。左の部分が路面電車の富山駅停留場)
大きく発展する路面電車
 福井、金沢と続いてきたこのたびの北陸紀行は、高岡に着いたところでしばし休んでいた。単純に先に載せたい記事があったからにほかならないが、やっぱり富山まではたどり着いておきたい。
 富山駅に降り立つと、駅ビルが新しくなり駅前がきれいに整備されていた。新幹線開業効果である。
 何よりも変わったのは市内電車の停留場で、かつては駅前の通りに停留場があって左右に電車が往来していた。それが新築された駅ビルの懐に引き込まれるように停留場が設置されていた。これなら雨にもぬれないで新幹線など鉄道から乗り換えるのも随分とスムーズになった。実際、大きなトランクを引きずりながら乗って来る乗客も多かった。

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(写真2 市内電車のターミナル的存在の富山駅停留場。3面4線のホームがある)
 富山地方鉄道(通称地鉄)は、鉄道線(いわゆる一般の鉄道)と軌道線(いわゆる路面電車)を運行する鉄道会社で、富山県下に数多くの路線を有する。
 このうち市内電車である富山市内軌道線は、1系統富山駅-南富山駅間と2系統富山駅-大学前間の二つの系統のほか環状線の系統が加わる。
 なお、2系統は大学前を出発する際に南富山駅行きと行き先表示されている場合が多く、大学前を出て富山駅に至り反転して南富山駅行きに向かっていく運行だった。また、環状線は富山駅を発車して2系統を進み丸の内で分岐して左折し、大手モールを経て荒町で左折して1系統に合流し富山駅に帰ってくる運行。反時計回りの一方通行運転である。
 つまり、全系統全便が富山駅経由となっているわけで、富山駅停留場は言わば富山市内電車のターミナルである。また、環状線は、富山駅でスイッチバックするから、かつてのようにぐるぐる回っているわけではないが環状運転ではある。
 1系統の南富山駅行きは、富山駅を出て桜橋、荒町などと富山の繁華街を走り終点南富山駅に至る。南富山駅は地鉄不二越線の駅で、鉄道線のホームと軌道線のホームが並んでいるほか、駅舎待合室も共用である。ただし、鉄道線には改札口がある。
 2系統の大学前行きは富山駅を出て右折し県庁前、丸の内などを経て神通川を渡り終点大学前に至る。停留場は一般道路に島のように設けてある。乗ったのは夕方だったから、下校中の高校生がホームから溢れていた。
 一方、富山駅の反対側つまり北口には、富山ライトレールという路面電車が走っているのだが、富山ライトレールは富山駅構内を横切り地鉄の富山市内軌道線に乗り入れる計画のようだ。富山駅停留場もその構想で設けられたもののようで、実現すれば富山の市内は北口と南口が路面電車で結ばれることとなり画期的なことだ。開業は2019年度の予定。
 電車には様々な時間帯に乗ったのだが、いつでもほどよく混んでいた。通勤通学客ばかりではなく、一般市民の利用も多い。路面電車が市民に支持されていることばかりか、発展を続けているというのは素晴らしいことで、富山ライトレールも含めて富山の進め方は他の都市でも大いに参考としていいのではないか、電車に揺られながらそのように思ったものだった。

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(写真3 南富山駅停留場。左端が鉄道線の列車である)