ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

鹿児島 日本最南端の路面電車

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(写真1 1系統2系統の電車が発着する鹿児島駅前停留所)

九州の路面電車を訪ねて③

 かつては全国80近い都市に四通八達していた日本の路面電車。モータリーゼーションの進展などから次々と廃止されていき、現在残っているのは20に満たない。
 しかし、環境に優しい交通機関であり、バリアフリーであることなどから路面電車を再評価する動きは着実に進んでいて、10ほどの都市で復活や新設が検討されているようだ。ただ、建設費用のみならず採算面などからもハードルは高いようだが、既存路線を環状線化して成功した富山や札幌の例もあり、大きな潮流になる可能性はある。
 こうした中で健全な経営に評価の高いのが鹿児島市電。わずか二つの運転系統に年間1千万人の利用者がある。もちろん鹿児島市電にも廃止した路線もあるが、様々な取り組みで市民に支持される市電の地位を守ってきている。
 日本最南端の路面電車である鹿児島市電。運転系統は二つ。1系統(青)は鹿児島駅前から騎射場を経て谷山に至る。9.4キロの路線で、海沿いを南北に走る。2系統(赤)は鹿児島駅前から高見馬場で1系統と分かれ山際を走り鹿児島中央駅前などを経て郡元に至る5.6キロの路線。郡元で1系統と再び接続している。
 起点は鹿児島駅前。中央駅としての存在は、西鹿児島駅から鹿児島中央駅と名称を変えてなおさら遠くなったが、線区上は現在も鹿児島本線、日豊本線の終点。
 この鹿児島駅前に鹿児島市電のターミナルがあり、4面3線に1系統谷山行き、2系統郡元行きの電車が発着している。鹿児島駅に突き当たる行き止まりの終着駅の風情がある。なお、その鹿児島駅は改築中だった。
 1系統は、鹿児島駅前を出ると桜島桟橋通、市役所前から鹿児島最大の繁華街天文館通となり、この先で左折して高見馬場となり、郡元を過ぎると指宿枕崎線と並行するようになりそのまま谷山に至る。谷山は駅舎のある停留所。まるで電停とは思われない貫禄だ。なお、この付近にはラサール学園があったはず。
 一方、2系統は天文館通までは一緒だが、ここから左折する1系統と離れそのまま直進すると高見馬場の停留所。つまり、同じ停留所名だが1系統2系統とは場所が異なる。この先、鹿児島中駅前などを過ぎて郡元へと至る。
 ただし、ここの停留所もちょっと変わっていて、丁字形になっていて、2系統は左折して1系統と合流したところに停留所がある。
 また、ここには2系統から来ると右折する線路も敷かれているではないか。つまり、2系統から1系統への渡り線となっているのだ。
 ただ、電車の運転上は2系統の電車が谷山方面に直通することはないはずで、鹿児島駅前に停車中の運転士さんにたずねたところ、朝夕稀に鹿児島駅前発2系統電車が谷山行きとなるダイヤが存在するとのこと。それでわざわざその電車を探して乗ってみた。はなはだ物好きなことだが、これが鉄道ファンのこだわり。

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(写真2 運転席後ろから見た市電の様子。軌道敷は緑化され、センターポール化されている)

 鹿児島市電に乗っていて感心すること幾つか。一つは線路が敷かれている軌道が芝生となっていること。また、給電線がセンターポール化されており、はなはだ都市としての景観がいい。また、センターポール化したことによって自動車との折り合いも良くなり、運行がスムーズになったとのこと。
 天文館通などおよそ1分間隔で走っている区間もあり、様々に乗客の利便性が図られていて、鹿児島市電の取り組みは好ましいものだった。電車も3連接車など新型も数多く投入されている様子だった。
 ちなみに、鹿児島市電の運賃は大人170円で、一日乗車券は600円(バス含む)。

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(写真3 3連接の新型車両)