ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

鉄道車両博物館「ポッポの丘」再訪

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(写真1 ポッポの丘に展示されている車掌車。手前からヨ13959、ヨ14202、ヨ14157、ヨ8818と先頭は気動車)
シリーズ車掌車を訪ねて

 ポッポの丘とは、房総半島の山中にある鉄道車両の博物館。千葉県いすみ市にあり、いすみ鉄道上総中川駅が最寄り駅だが、鉄道ではなかなか行きにくくて、私もこのたびは自動車を利用した。この周辺はゴルフ場が多いが、万木城CCはすぐ隣り。
 高台を切り拓いた敷地には、鉄道車両が20数両も展示されている。
 ここはそもそも地元の鶏卵業者が経営しているもののようで、入場してすぐ左に万葉線デ7052が置かれ、車内では新鮮な鶏卵や鉄道グッズの販売が行われている。
 次ぎに、広場を囲むように、銚子電鉄のデハ701やデハ702、北陸鉄道モハ3752があり、いすみ鉄道204は食堂になっていて、産みたての新鮮な卵による卵かけごはんが人気になっていた。
 また、駐車場側には広場を囲んで地下鉄丸ノ内線400形454号車が赤い塗色そのままに展示されていた。ほかに千葉都市モノレールの車両が2両あった。
 ちょっと離れた一段と高い丘の上には、特急わかしおを牽引したクハ183系特急型電車、横須賀線電車や湘南電車に使用された113系近郊型電車はじめDE1030に牽引されて寝台特急日本海使用されていた寝台車オロネとオハネがあり、大山ケーブルカーが急斜面に展示されているのも面白かった。

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(写真2 ヨ8000形車掌車ヨ8818。

 車掌車については、気動車に牽引されて4両が展示されている。
 気動車の次がヨ8000形のヨ8818。車内には対面ボックスシート、事務用机、石油ストーブ、トイレなどがきちんと装備されており、まるで昨日まで使われていたような状態だ。私は車掌車を貨物列車の最後尾に連結してもらい、全国津々浦々をふらふらと旅をするのが夢だが、その際にはこのヨ8000形を使用したいものだ。これならテーブルやトイレにストーブまでも付いているから長旅にも最適だ。
 続いて3両がいずれもヨ5000形車掌車。全両ヨ3500形からの改造車で、順に車両番号はヨ14157、ヨ14202,ヨ13959。ヨ8000形に比べ倍近い車内スペースで、ヨ14157号車の場合、事務用テーブルに椅子が2脚セットされているほか、長椅子や石油ストーブも装備されている。複数人の乗務を想定したのだろうが、トイレは付いていない。なお、ヨ5000形の場合、窓は4つずつあるが、いずれも開閉が可能な状態だった。ヨ14157には日本國有鉄道高砂工場昭和28年改造のプレートがあり、ヨ14202には日本国有鉄道名古屋工場昭和28年のプレートがついていた。ヨ13959では吹田機関区梅田派出の表示が見られた。なお、車体の塗色はヨ14202が黄緑色であるほかは、青色となっている。また、全両動態保存の状態と思われた。
 塗装もきちんと施されていて保存状態はとてもいい。ただ、新たに塗装した際に消えてしまった情報があった。1年半前に見たときには例えばヨ8818号車には、熊谷(タ)、新座(タ)などの表示が見られたが、このたび訪れると塗りつぶされてしまっていた。
 この博物館は入場無料。鉄道ファンが篤志で行っていることだろうからあまり勝手な注文もしたくはないし、経費をかけてきちんと塗装して保存して下さることはとてもありがたいことだが、新たな塗装の際に貴重な情報までも消し去ってしまうことはいかにも残念。
 なお、車掌車4両を牽引している気動車は10t入換動車で、北陸本線貨物支線である敦賀港線所属だった。昭和57年協三工業の製造。自重は除雪装置装備の状態で14tとあり、最大牽引換算両数は16両とプレートに表示されてあった。

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(写真3 高台に広がるポッポの丘)