ABABA’s ノート

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ベートーヴェン交響曲第8番

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(写真1 ベートーヴェンの第8番が収録されている6人の演奏家のベートーヴェン交響曲全集)

再発見の魅力

 再発見などというと、ずぶの素人が生意気だが、実際、なかなかいいのだった。
 ここ数ヶ月、毎日、ベートーヴェンのシンフォニーばかり聴いてきた。
 ベートーヴェンにシンフォニーは9番まで9曲。それを1番から9番まで演奏者を変えなから繰り返し聴いてきた。演奏者による違いなども探ってきた。
 もとより、音楽に造詣があるわけでもなし、音楽についての格別の耳を持っているわけでもないが、1番から9番まで繰り返し聴いていて、それなりの感想を持った。
 ベートーヴェンのシンフォニーといえば、3番、6番、9番あたりが名曲として評判が高いが、私のようなレベルの低い鑑賞者としてはいささか難しくて、いい曲だとは思っても好んで聴くにはやや荷が重かった。
 これに対し、5番や7番はわかりやすくていいのだが、名曲とするにはどうか。
 ただ、私にとっては、好きな曲といえば7番なのだが、これについては、好きな曲というよりも思い出深い大事な曲で、ベートーヴェンのというよりも、全交響曲のなかでもまずは7番ということは変わらない。
 ここまで、毎日9曲を繰り返し聴いていて、あまり評判にもならないが、第8番がいいのではないかと思うようになった。第1楽章はベートーヴェンらしい重厚さがあり、第2楽章になって軽快となり、緻密な変化が続く。緻密さということでは、9曲中、最高ではないか。なお、演奏時間ということでは、8番は約25分と短い。カラヤンは24分28秒であり、ワルターでさえ26分36秒なのだ。
 実は、8番は7番と同じ演奏会で初演されたのだが、圧倒的に評判が良かった7番に対し、やや劣った8番ついてベートーヴェン自身は「聴衆がこの曲を理解できないのはこの曲があまりに優れているからだ」と語ったというエピソードがあるらしい。また、ベートーヴェンのシンフォニーはすべて貴族らに献呈されたのだが、この8番に限ってどこにも献呈されなかったらしい。まさか、オファーのないことに悔しさがあったわけでもないだろうが。