ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

海峡を渡る

f:id:shashosha70:20220327152349j:plain

(写真1 龍飛崎から津軽海峡越しに北海道を望む)

日本海峡紀行 序文

 海峡――何と詩的な響きか。海峡の向こうには何があるというのか。渡らずにはいられない。
 日本は、主要4島をはじめ数多くの島々が連なる列島であり、当然、海峡も多くて独特の景観を生み出しており、生活の身近なところに海峡がある。
海峡の魅力
 海峡の魅力とは何だろうか。渡ってみなければわからない憧憬があるのではないか。同時に、現在地と隔てる慄然とした様がある。
 海峡には演歌が似合うようだ。どこかしらもの悲しさが漂うからだろうか。石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」は別れを歌って秀逸だった。海峡という風景が歌心と合うのであろう。
海峡とは何か
 海峡とは何か。辞書的には、両側から陸地にはさまれ、二つの海をつなぐせまい海域のことで、瀬戸、あるいは水道とも。
 ただ、海峡も瀬戸も水道もほぼ同じ意味で遣われていて、明確な定義は見当たらない。少し古い文献になるが、1963年に『地図』に発表された海上保安庁水路部図誌課中西良太著「海峡地形の呼称について」には、日本古来の使われ方の変遷のほか、明治になって英国式呼称法の翻訳が広まったとしている。ここでは、Straitを海峡に、Channelを水道に、Passageを瀬戸に当てたもののようだ。
 一方、瀬戸内海で活動している神原タグマリンサービスという会社のホームページに、海峡、水道、瀬戸の用語が整理されて述べられている。
 海峡:陸地に挟まれた狭い幅の水路となってて二つの海域をつなぐ海
 水道:陸地に両側から挟まれて狭くなっている海
 瀬戸:相対した陸地の間の、特に幅の狭い海峡
 しかし、本文中でも指摘している通り、はっきりした定義はなく、その違いは明確ではないようだ。
 しかも、紀淡海峡と友ヶ島水道、豊予海峡と豊後水道と速吸瀬戸などのように複数の呼び方が混在してる場合が少なくないようだ。
日本の海峡・水道・瀬戸
 日本の主な海峡、水道、瀬戸を拾い出してみよう。
[海峡]
宗谷海峡
択捉海峡
根室海峡
津軽海峡
平舘海峡
明石海峡
関門海峡
紀淡海峡
鳴門海峡
来島海峡
土渕海峡
釣島海峡
豊予海峡
対馬海峡
朝鮮海峡
大隅海峡
種子島海峡
吐噶喇海峡
大島海峡
宮古海峡
[水道]
択捉水道
国後水道
野付水道
浦賀水道
伊良湖水道
紀伊水道
尾道水道
豊後水道
壱岐水道
ヨナラ水道
[瀬戸]
備讃瀬戸
針尾瀬戸
早岐瀬戸
黒之瀬戸
本渡瀬戸
大畠瀬戸
音戸瀬戸
平戸瀬戸
 なんと魅惑的な名前の多いことか。海峡の名前を読み上げただけで旅に出たくなる。そうだ海峡に行こう。