(写真1 何用か乗客が一人下車した小和田駅)
鉄道のある風景 選
鉄道趣味世界も専門分野が多岐に亘っていて、秘境派もその一つ。一派をなすほどだからそれなりに好き者がいるのだろう。それはまた廃線派とは違っていて、現役の駅を探訪するのを楽しみにしているようだ。
大方は、1日に数本しか列車が停車しない駅とか、周辺に何もないといった駅を訪ね歩いているようだ。
一つには、乗降客が激減して寂れてしまったような駅があるだろうし、駅前に何があるわけでもないが、保線用に駅を構えているような場合もあるようだ。
飯田線の小和田(こわだ)駅もそうした駅の一つで、この駅は静岡、愛知、長野3県の県境となっているのだが、まったく道らしき道が通じていないことで知られている。
ところが、飯田線の列車に乗っていたら、この小和田駅で下車した一人のスーツ姿の男がいた。それで、追いかけて失礼ながら何をしに下車するのかと率直に尋ねたら、「用があるのだ」と言う。当然ながら憮然としていた。
もっとも、当方も何用あって鉄道に乗っているのか、我ながら判然としないところがあるから、お互い様ではあるが。(2016年3月19日撮影)