ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

全鉄道全線全二周完乗達成!

信楽高原鉄道信楽駅で

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(写真1 全二周を完乗した信楽高原鉄道信楽駅で)

  このたび11月26日、滋賀県の信楽高原鉄道信楽駅をもって、全鉄道全線全二周完乗を達成した。初めて全線を完乗してから14年、鉄道を趣味とするようになってからでは33年の歳月が流れていた。

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(写真2 貴生川駅信楽線ホーム。左はJR草津線草津方ホーム)

 貴生川駅。信楽線(信楽高原鉄道)の始発駅である。JR草津線、近江鉄道本線の接続駅で、私は近江鉄道で米原から下ってきた。近江鉄道とは別に、2面3線のホームがあり、JRが相対するホームを使い、信楽線は草津方のホームに切り欠きホームを設けている。言わば4番線ということになるが、番線は連番とせず、単に信楽線とのみ表示されている。なお、切符販売はJR線のみで、信楽線は着駅で精算してくれとのこと。
 列車は11時24分の発車。ディーゼル1両のワンマン運転。〝たぬき列車〟のヘッドマークがついており、いかにも信楽らしい。車内にはぼんぼんがしつらえられ、たぬき列車を盛り上げている。平日の日中だが、立っている人はいないものの座席はほぼ満席。

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(写真3 登坂が続く沿線。車窓は紅葉で美しい)

 発車するとまもなく登坂にかかった。33‰の勾配が延々と続いてる。車窓には紅葉が美しい。
 そうこうして終点信楽11時48分到着。わずか14.7キロ、24分の乗車である。全二周最後の路線にしては張り合いがないくらいだ。 乗車時間が短い、つまり、最後へのアプローチが短かったせいもあって、発車する前はこれが最後だという気持ちはあったものの、到着してみればそれほどの感慨もなかった。なにかあっけなさを感じていた。やはり二周目だからであろうか。
 到着したホームで、同じ列車から降り立った40歳くらいの男性にシャッターを押してもらった。面はゆさはあったものの、格別の誇らしさはなかった。

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(写真4 信楽駅前に立つたぬきの巨大な像)

 信楽駅に降り立ったのは二度目で、初めは1994年6月11日だったが、27年も経つと初めの記憶がほとんど薄れかかって、わずかに駅前に立つ巨大なたぬきの像だけがそのままで迎えてくれた。信楽は信楽焼で知られ、特にたぬきが有名なのである。駅の構内などあちこちにたぬきの焼き物が展示してあった。私も記念に信楽焼のマグカップを妻への土産に買った。古信楽というのだそうで、釉薬を使わず、独特の風情があった。信楽焼は日本六古窯の一つである。

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(写真5 信楽で購入した信楽焼のマグカップ)

 

                    

ベートーヴェン全集

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(写真1 ボックスセットの外観)

CD80枚のボックスセット

 ベートーヴェンのTHE COMPLETE WORKS(作品全集)である。CD80枚のボックスセットになっていて、レーベルはワーナークラシックス。
 これを9月下旬に購入して、毎日1枚ずつ聴いている。このたびちょうど半分の40枚目まで達した。朝食後、コーヒーを淹れて、書斎にこもり、まずはCDをかける。これがここのところの日課。CD1枚の演奏時間はは約60分。その日の活動に取りかかるにはちょうどいい序奏になっている。
 CD1~CD5が、シンフォニーで、交響曲が第1番から9番まで収録されている。3番の〝英雄〟や5番の〝運命〟6番〝田園〟9番〝合唱〟などは有名で聴く機会も少なくないが、1番や2番などは珍しく貴重な機会だった。なお、楽曲案内で見ると、第5番には取り立てた通称は書かれてなく、どうやら運命というのは日本での愛称のようだ。
 CD6~CD10が、コンチェルトで、ピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲などが収められている。ベートーヴェンにピアノ協奏曲は1番から5番までの5曲かと理解していたが、ほかにナンバリングされないものが2曲あった。
 CD11~CD13が、序曲などで、ただし、レオノーレ2番と3番はCD62とCD63に回されているようだ。また、バレー音楽やダンス、軍楽曲はCD14や15、16にまたがっているが、ベートーヴェンは随分と幅広い分野の作曲を手がけていたものだ。
 ピアノソナタは、CD17からCD25に収められている。ベートーヴェンの最も得意とする分野であり、1番から32番まで続けて聴いていると、いずれの曲も完成度が高く名曲揃いであることがわかる。なお、ナンバーが打たれていないものが4曲含まれている。
 ピアノバガテル(小品)というカテゴリーには、17曲が収録されており、すべてCD26に収まってる。
 ピアノヴァリエーションという項目には、25もの作品がCD27~CD30の4枚のCDに収録されている。
 このあたりの作品には、Op.(オーパス=作品番号)の付されていないものが多く、代わりにWoO(ヴェーオーオー)という記号が付けられているものを見かける。WoOはドイツ語で〝作品番号なしの作品〟の略語で、作品番号がつけられていない楽曲の整理のためにつけられる認識番号を示しているとのこと。
 CD31~CD32には、その他のピアノ曲、その他のキーボード曲というくくりの作品が収められている。
 この先は様々なデュオが登場してきている。フルート二重奏曲、フルート・ピアノ、クラリネット・バスーン、ホルン・ピアノ、マンドリン・ハープシコードとあり、ヴァイオリン・ピアノのデュオにはヴァイオリンソナタが1番から10番まで入っている。ヴィオラ・チェロ、ヴィオラ・ピアノ、チェロ・ピアノなどとCD40番まで続いている。
 このあたり、ヴェートーベンは、ピアノはもちろん様々な楽器を研究していたことが知られるような作品構成だ。
 なお、CDは、紙製のケースに収納されていて、表紙には絵画がプリントされている。19世紀ヨーロッパ絵画が大半で、なかなか趣がある。ただし、1枚1枚調べていると手間はかかる。
 ちなみに、CD1は、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの<マウンテンレイクの風景、朝>(1823)。カスパーはドイツロマン主義絵画を代表する画家とある。
 CD2は、ヨハン・ヴィルヘルム・シルマーの<ウェッターホルン>(1838)。シルマーもドイツの画家。

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(写真2 CDケースの表紙。左CD1、右CD2)

映画『MINAMATA』

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(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用)

写真家ユージン・スミスを描く

 写真集『MINAMATA』で水俣病を世界に告発したアメリカの写真家ユージン・スミスを描いている。また、この映画は、ドキュメンタリーではないが、写真集『MINAMATA』に至る軌跡が丁寧に綴られている。
 1971年ニューヨーク。ユージンは数々の戦争写真を『LIFE』に発表しアメリカを代表する報道写真家と目されていたが、この頃には、酒浸りの日々が続いていた。
 アイリーンと名乗る若い日系女性がユージンを訪ねてきて、日本の熊本県にある水俣に行き、公害に苦しむ人々を写して欲しいと依頼される。アイリーンが参考のために持参した写真には水俣病の衝撃的な断片が映っていた。
 意を決したユージンはアイリーンを伴って日本に出向く。水俣では、家を借り移り住む。立派な暗室も設けた。
 初め、人々は顔は写すなと言い、自分の身体を恥じて取材に非協力的だった。ユージンは遅々として進まない取材に隔靴掻痒としていた。
 しかし、取材が進むにつれて、ユージンの写真が水俣病闘争を行っている人々にとって後押しするものとする理解が広まる。他方、チッソは、アメリカの著名な写真家による写真が世界に流布されることを恐れて、チッソはユージンに5万ドルを渡しアメリカに帰るよう買収する。
 この買収に応じないユージンの態度を見たチッソ派の人間はユージンの家に放火し、ネガフィルムの抹殺を実行する。
 この一連の妨害を受けて、報道写真家としてのユージンの心に火がつく。ここでユージンは、被害者の人々に対し、私の取材に協力してくれと呼びかける。そうすると、被害者たちは恐る恐る一人ひとり承諾の手を挙げる。ユージンの写真によって自分たちの惨状を世界に知ってもらおうとしたのだった。結局、ユージンは、MINAMATAの取材のために、3年間も現地に滞在し続けたのだった。
 ユージンの写真が、LIFEに掲載されるや世界に衝撃が走る。水俣病の惨状が世界の知るところとなったのだった。
 それまで、チッソは因果関係を認めず、賠償にも応じる姿勢を見せていなかったのだが、チッソは一転妥協に動いたのだった。
 LIFEの誌面でセンセーションを巻き起こした写真がいくつか重要なエピソードともに採り上げられていた。
 1枚は、チッソの公害垂れ流しの象徴である、チッソ工場の配水管が直接海に排水されている様子を写したもの。もう一枚は、母親が脳性麻痺の娘を抱いて入浴している写真。
 私はユージン・スミスを知らないが、このユージンを演じたジョニー・デップが素晴らしかった。まるで本人かと見まごうリアリティだった。
 なお、アイリーンはユージンと結婚し、アイリーン・美緒子・スミスとなった。アイリーン役は美波が演じた。
 写真集『MINAMATA』は世界に衝撃を与え、公害問題の一里塚となったが、この映画『MINAMATA 』が世界に何をもたらしたのか、その評価はつまびらかではないが、劇中で一つ看過できない言葉があった。國村隼演ずるチッソの高位の人物が「たかが被害者は数人だろう」とうそぶいていたことだった。
 水俣の後にも福島原発事故などと公害や災害が発生し、地球環境が汚染される一方であることをこの映画は改めて知らしめている。
 2020年アメリカ映画。監督・脚本アンドリュー・レヴィタス。

日展

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(写真1 洋画部門の展示会場の様子)

世界最大規模の公募展

 第8回日本美術展覧会。国立新美術館で開催されている。
 日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書の5部門から構成される総合美術展で、応募作品数が1万点を超え、厳格な審査を経た出品作品は3千点に達し公募展として世界最大規模だろうといわれる。官展の流れをくみ、文展、帝展と歩んできた110年の歴史を有する。
 洋画部門から見た。広い会場におびただしいほどの作品が展示されている。100号ほどの大作が2段になって展示されている。こうなると、大きな作品でないと注目されないのではないかとも思われた。
 出品者には文化勲章受章者や文化功労者はじめ全国各地から若者から高齢者までいるようだが、日本にはこれほどの絵描きがいるものかとさえ思われた。
  それも非常に質が高い。そうとうに予備審査が厳しいのであろう。はっとする美しい作品が多くて、1点ずつていねいに見ていったら2時間もかかった。
 ただ、オーソドックスな油絵が大半で、モダンな画風のものは目立たなかった。これが日展の特徴なのかも知れない。

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(写真2 小島新太郎<真如の月>)

 気に入った絵を選ぶにも枚挙にいとまがないし、私にはいい絵かどうかを見極める力はないが、好き嫌いで選べば小島新太郎<真如の月>が、若い女性の凜とした美しさと着物の質感が際立っていて素晴らしかった。

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(写真3 彫刻部門会場の模様)

 彫刻会場には、立っている人物造形が中心で、まるで林立しているように感じられた。
 中に、若い女性の立っている裸像(槙野仁一<清晨>=日展会員賞)があってオーソドックスな造形ながら若い女性の清心でおおらかな健康美が感じられた。

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(写真4 槙野仁一<清晨>)

ショーン・バイセル『ブックセラーズ・ダイアリー』

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スコットランドの古書店主の日記

 スコットランドの古書店主の日記である。
 毎日のネット注文数やら売上高、顧客数が記録され、従業員のこと来店した顧客のことなどが書かれているだけで、元々は備忘録として書かれたものなのだが、これが実に面白い。スコットランドのこととは言え、古書店経営の実態がつまびらかにされていて興味深いし、そして何よりも、店主は当然ながら本好きであり、本の話題が充満していて楽しい。
 店の名は、その名も簡潔にザ・ブックショップ。ウィグタウン所在。ウィグタウンは、スコットランド南西部に位置する。ウキペディアによれば、人口わずか1千人の小さな町。この町は、スコットランド政府が打ち出した地方都市再生プロジェクトに選ばれ、ナショナル・ブックタウンとなった。ブックフェスティバルも開かれ、14もの書店があると言う。全国的にもブックタウンとして知られ、多くの観光客が訪れるようだ。
 ザ・ブックショップは、在庫総数10万冊。スコットランド最大の古書店となっている。
 本書は日記になっていて、月ごとに日々の動きが綴られている。
 多い日、少ない日があるが、6月7日土曜日の項には、ネット注文数2、在庫確認数2、本日の売上額128ポンド(1ポンドは約150円)、顧客数20とある。在庫確認数とは在庫の問い合わせのあった数のことだろうか。また、顧客数とは来店者数のことだろうか。総じて厳しいやりくりのようだが、売上額989.30ポンド、顧客数95などという日もある。
 ネット売上は意識的に抑えているようだ。店頭を上回ることはないと言っている。在庫10万冊のうち1万冊分だけをネットにあげている。アマゾンとエイブックスが取引先で、アマゾンの巨大さに脅威を感じている。しかし、ネットの注文はベルギーやドイツなどと世界中から届く。
 本の買い取りは、たいてい見知らぬ人からの電話で始まる。夫が亡くなったので蔵書を整理したいなどということが少なくない。専門分野でまとまっていることが好ましい。航空関係の本600冊のうち300冊を750ポンドで購入などとある。
 客層は幅広い。常連客もいるし、観光客がバスで乗り付けることもある。ある日の家族連れはママパパこども4人の6人家族で、175ポンドの購入だった。4人の娘にクリスマスプレゼントを選ぶのを手伝って欲しいと頼まれたこともあった。
 ところで、この日記には、毎月の冒頭に、ジョージ・オーウェルの『本屋の思い出』(1936年、ロンドン)からの引用が出ている。なかなか含蓄のある文章だが、オーウェルが古書店主をやってたなどと言うことは寡聞にして知らなかった。50年前に読んだ『カタロニア讃歌』については本書でも言及しているが、アーネスト・ヘミングウェイの本だと思い込んだ客がいたというエピソードも愉快だ。
(白水社刊)

ディズニーリゾートライン

 全国全鉄道全線全二周への旅

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(写真1 ディズニーを周回しているモノレール)

ディズニーリゾート周回のモノレール路線

 ディズニーリゾートラインとは、東京ディズニーランドや東京ディズニーシーなどディズニーリゾートを周回するモノレール路線。舞浜リゾートラインの運営。開業は2001年(平成13年)7月27日。
 JR京葉線の舞浜駅で下車すると、もう目の前がディズニーリゾート。モノレールの高架が横切っていて、ディズニーのキャラクターが描かれた車両が走っていて、すでに気分が高揚してくる。

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(写真2 リゾートゲートウエイ・ステーション)

 左斜め前方にリゾートゲートウエイ・ステーション。路線は環状線だが、位置づけとしてはこの駅が始発駅で、ホームは4階。2面1線で、乗車ホームと降車ホームと使い分けられている。跨座式のモノレール6両編成で、車両はリゾートライナーと呼ばれている。自動運転だが、最後尾の車両に、ドア扱い・安全監視・案内などを担当するガイドキャストが乗務している。

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(写真3 ディズニーのキャラクターがデザインされた車両外観)

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(写真4 車両内部の様子)

 単線の環状運転で、反時計回りに運行されている。リゾートゲートウエイを出ると、次がすぐに東京ディズニーランドステーション。ディズニーランドのメインゲート前である。続いてベイサイドステーション。オフィシャルホテルがある。ここからしばらくして東京ディズニーシーステーション。やがて元に戻ってリゾートゲイトウエイ・ステーション。運賃は均一で260円。

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(写真5 車窓にはリゾートの園内)

 一周が5.0キロ、所要13分。どうやらディズニーシーの利用者が多いようだ。高架だからとても見晴らしがいい。リゾート内のパビリオンが見える。
 なお、各駅と高架の路線はともにリゾート外にあり、いわゆる園内鉄道ではなくて、れっきとした鉄道事業法に基づく公共交通機関である。だから、ディズニーリゾートが閉まっていても列車は運行されているらしい。ただ、公道には直接は接していないので、ディズニーリゾート来園者以外の利用者があるとも思われない。(2021年9月25日)

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(写真6 ディズニーリゾートラインの接続駅JR舞浜駅)

神戸市営地下鉄全線に乗る!

全国全鉄道全路線全二周への旅

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(写真1 神戸市営地下鉄路線図=ホームページから引用)

3路線38.1キロ

 名古屋、京都、大阪と乗って地下鉄踏破も4日目は神戸市営地下鉄全線。
 神戸の地下鉄は、路線構成がややこしい。線区の区分上は山手線、西神線、西神延伸線、北神線、海岸線の5路線なのだが、運行の実体上は2路線に集約できる。
 西神・山手線は、山手線=新神戸-新長田間、西神線=新長田-名谷間、西神延伸線=名谷-西神中央間から構成されており、全長22.7キロ、これに北神線=新神戸-谷上間7.5キロを加えて谷上-西神中央間4路線が一体運行されている。路線記号もSに統一されており、駅番号も谷上のS1から西神中央のS17まで連続している。
 これは、路線の発展過程が違うからで、特に北神線はかつての北神急行電鉄北神線を神戸市営に吸収したものだし、西神延伸線も西神・山手線とは利用した補助金制度の違いから独立した路線名を持っている。よそから訪れた利用者からしてみれば〝山手線〟なりに統一してみてはどうか思う。、
 なお、海岸線はまったく独立した系統で、他の路線との直通運転はされていない。これは、鉄輪リニアを採用しており、乗り入れが出来ないのである。

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(写真2 谷上駅。有馬温泉へ15分、新神戸へ8分と案内されている)

 西神・山手線、北神線(谷上-西神中央30.2キロ) S01谷上から乗ってみよう。地上駅で、神戸電鉄有馬線と接続しており共同使用駅。北神線が北神急行から神戸市営地下鉄に組み込まれたことによって、仙台市地下鉄東西線八木山動物公園駅を抜いて地下鉄駅として日本最高地点となった。標高は244メートル。

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(写真3 谷川駅4番線に停車中の神戸市営地下鉄西神中央行き)

 いかにも山間の駅という様相で、有馬温泉へ15分、新神戸へ8分と駅舎の外壁に大きく書かれている。6番線までホームがあり、1-3番線が神戸電鉄で、北神線は4-6番線。4番線の9時41分西神中央行きに乗車。三田方面から3番線に到着した乗客が多数乗り換えた。3番線と4番線は同じホーム。
 谷上を出るとすぐにトンネル。六甲山を貫いており、8分で新神戸。新神戸は新幹線のみで、在来線はない。ここから西神・山手線の区間。

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(写真4 三宮駅改札口。自動改札機がずらり並んでいる)

 乗っていてもわかるほどに下りっぱなしでやがて三宮。もとより神戸の中心で、JR、阪急、阪神が乗り入れている。なお、JRの駅名は三ノ宮。歴史的な理由があるのだろうが、どうも関西では、大阪駅を梅田駅といったりJRとの違いを強調したいように思われてならない。ちなみに、阪急と阪神は神戸三宮駅である。
 三宮を出ると、西へと向かい、長田を経て新長田で右折し再び北上する。新長田では山陽本線と接続し、次の板宿では山陽電鉄と接続している。なお、地図で見ると、山陽電鉄に直通する高速神戸線は神戸三宮から長田まで西神・山手線とほぼ並行していることがわかる。神戸高速線も地下を走っている路線だが、こちらは阪神から山陽へと直通運転列車が運行されている。

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(写真5 名谷車両基地付近)

 名谷(みょうだに)からが西神延伸線で、地上区間が続く。谷をいくつも渡っている様子で、地下鉄とは思われないような沿線風景だ。名谷を出ると車両基地が左に見えた。このあたり、地下鉄なのに山陽新幹線の上をまたいで走っているらしい。

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(写真6 西神中央駅改札前通路。駅ビルになっている)

 そうこうして西神中央。10時22分着。谷上から41分だった。西神ニュータウンの中心で、駅前にはいかにもニュータウン風の街路が広がっていた。

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(写真7 改札内に置かれていたピアノ)

 なお、改札内のコンコースはとても広いもので、改札口からは最も離れた奥まったところにピアノが置かれていた。いわゆる〝駅ピアノ〟というもので、ご自由にお弾きくださいとあった。それで、周囲には誰もいないようだったし1曲弾いてみた。もっとも、楽譜なしでは1曲しか弾けないのだが。

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(写真8 新長田駅地上出入口)

 海岸線(新長田-三宮・花時計前7.9キロ) 西神中央で折り返し、新長田で海岸線に乗り換え。新長田はJRと接続している。その名の通り海岸寄りを走る路線で、他の路線とは系統がまったく異なり、鉄輪式リニアを採用している。車両はやや小さい。4両編成。

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(写真9 新長田に停車中の海岸線三宮・花時計前行き列車)

 西神・山手線から海岸線に乗り換える通路の途中には、〝鉄人、原寸大〟という大きなパネルが掲示してあった。

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(写真10 〝鉄人、原寸大〟のパネル)

 11時10分発。新長田を出ると、和田岬などを経て三宮・花時計前11時25分着。わずか15分の短い路線である。地上に出ると、100メートルほど先に三ノ宮の高架が見え、地下街が続いていた。反対方向には市役所の建物が見えた。

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(写真11 三宮・花時計前から三ノ宮駅の高架を望む)

 なお、終点まで乗った後、途中の和田岬までとって返してみた。地上に出るとJR和田岬線の和田岬駅が隣にあった。駅舎はなくホームがあるだけだった。周辺は三菱重工神戸造船所などの工場群で、和田岬線は朝夕の通勤時間帯のみに運行されている路線。久しぶりに乗ってみたいと思ったのだが、日中のこととてやはり列車の運行はなかった。かつて2度乗ったことがあるのだが、初めて乗った平成6年3月1日の折には、車両に座席は一つもなく、満員の乗客は黙々と立っていた。2度目に乗ったときには座席は付いていた。わずか一駅2.7キロの区間。

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(写真12 駅舎はなくホームがあるだけのJR和田岬駅)

 結局、神戸市営地下鉄の乗車は、3路線合計して1時間44分となった。当初計画では1時間49分だったから、ここでもほぼ計画通りの進行となった。多数の乗換がありながらこの精度の高さは誇れるのではないか。まあ、年中、時刻表を広げ、鉄道に乗っているからではあるが。ただし、この計算式は私が開発したノウハウではある。

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(写真13 神戸市営地下鉄1日乗車券)

 以上で、4日間に渡った名古屋、京都、大阪、神戸4市地下鉄全線全2周が完了した。
 なお、札幌、仙台、東京メトロ、都営、横浜、福岡の各地下鉄はすでに全線全2周乗車を完了しており、これによって日本の地下鉄は全線全2周乗車を達成したことになる。(2021年10月15日)