ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

日展

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(写真1 洋画部門の展示会場の様子)

世界最大規模の公募展

 第8回日本美術展覧会。国立新美術館で開催されている。
 日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書の5部門から構成される総合美術展で、応募作品数が1万点を超え、厳格な審査を経た出品作品は3千点に達し公募展として世界最大規模だろうといわれる。官展の流れをくみ、文展、帝展と歩んできた110年の歴史を有する。
 洋画部門から見た。広い会場におびただしいほどの作品が展示されている。100号ほどの大作が2段になって展示されている。こうなると、大きな作品でないと注目されないのではないかとも思われた。
 出品者には文化勲章受章者や文化功労者はじめ全国各地から若者から高齢者までいるようだが、日本にはこれほどの絵描きがいるものかとさえ思われた。
  それも非常に質が高い。そうとうに予備審査が厳しいのであろう。はっとする美しい作品が多くて、1点ずつていねいに見ていったら2時間もかかった。
 ただ、オーソドックスな油絵が大半で、モダンな画風のものは目立たなかった。これが日展の特徴なのかも知れない。

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(写真2 小島新太郎<真如の月>)

 気に入った絵を選ぶにも枚挙にいとまがないし、私にはいい絵かどうかを見極める力はないが、好き嫌いで選べば小島新太郎<真如の月>が、若い女性の凜とした美しさと着物の質感が際立っていて素晴らしかった。

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(写真3 彫刻部門会場の模様)

 彫刻会場には、立っている人物造形が中心で、まるで林立しているように感じられた。
 中に、若い女性の立っている裸像(槙野仁一<清晨>=日展会員賞)があってオーソドックスな造形ながら若い女性の清心でおおらかな健康美が感じられた。

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(写真4 槙野仁一<清晨>)