ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

大・タイガー立石展

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(写真1 展示室の様子)

POP-ARTの魔術師

 千葉市美術館で開催されている。
 タイガー立石こと立石紘一(1941-98)の生誕80年の大回顧展となっていて、POP-ARTの魔術師というキャッチフレーズのもと絵画からイラスト、絵本、マンガ、彫刻などと出品点数は200点を超し、画業の全体像がわかるようだった。
 とくに注目したのは、<明治青雲高雲><大正伍萬浪漫><昭和素敵大敵>の三部作。1990年に描かれた油彩で それぞれの時代を反映した人物や出来事が描かれている。

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(写真2 <明治青雲高雲>の展示の様子)

 いずれも壁画のような大作揃いで、<明治青雲高雲>には西郷隆盛、坂本龍馬、福沢諭吉、明治天皇、鹿鳴館、日本海海戦、東郷平八郎、乃木希典、樋口一葉、正岡子規、石川啄木らが描かれているほか、高橋由一<鮭>や青木繁<海の幸>、赤松麟作<夜汽車>などと当時を代表する絵画の名作が引用されている。

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(写真3 <大正伍萬浪漫>の展示)

 また、<大正伍萬浪漫>には、菊池寛らの人物像のほか、竹久夢二<黒船屋>や中村彝<エロシェンコ氏の像>、岸田劉生<麗子像>などと大正ロマン主義が表現されている。
 さらに、<昭和素敵大敵>には、山本五十六、スターリン、ヒトラー、東条英機、双葉山、マッカーサー、松本清張、三島由紀夫、吉永小百合、田中角栄、松下幸之助、岡本太郎、昭和天皇らに加え、美空ひばりは古賀春江の<海>のポーズで描かれている。また、原爆や新幹線、満員電車、安保デモ、三億円事件などと社会風刺が多く取りあげられている。

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(写真4 <昭和素敵大敵>の展示)

 この三部作。見ていて面白い。吉田茂はちゃんと葉巻を持っている。しかし、春日八郎は歌うときにギターを弾いたっけかと思う。こんな見方読み方をしていると時間の経つのを忘れてしまうほどだ。
 しかし、一方で、この絵は何なんだろうかとも思う。時代絵巻なのか。それにしては、<昭和素敵大敵>に敗戦の日の皇居前広場がないし、70人ほどの人物が描かれ、太宰治もいるし坂本九もいるのに湯川秀樹が見当たらない。あるいは見落としかもしれないが。どの事件どの人物を取りあげるかは作者の自由だが、視点がわかりにくくて俗っぽい。また、風刺にしてはパロディが弱い。ただし、大作ではある。

 

堀江敏幸+角田光代『私的読食録』

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食と読書の案内

 食にまつわるエピソードを小説やエッセイなどから拾って紹介している散文集。
 月刊誌に堀江と角田が交互に書いた連載100回分が収録されている。1回分が文庫3ページと短く、どこで栞を挟んでもいいようで読みやすい。拾い読みしてもいいようだが、面白くて結局最後まで読み通した。
 とくに印象に残った箇所に付箋を挟んでいったら6つになった。読み返してみると、食べ物の中身のことよりも、取りあげられた本そのものに興味がわいたし、既読ながら新しい視点が面白かったものなどが残った。
 一つ二つ引いてみよう。
 「湯豆腐、おでん、ビール、熱燗」(川上弘美『センセイの鞄』) 食べものの描写がうまい作家は古今多々いるが、川上弘美もそのひとり。老教師とツキコさんが再会した駅前の一杯飲み屋。二人はそっくりおなじものを注文する。まぐろ納豆、蓮根のきんぴら、塩らっきょう。居酒屋の風情というものが、この注文によって見えてくる。まず、注文すると「よろこんで!」と店員が叫ぶようなチェーン店でないことがわかる。かといって、今どきの、若い男の子たちが活発に働く、メニュウが手書き筆文字の、笊豆腐を塩で食べるような店でもない。まっとうな、理想的な正統的居酒屋であることが、最初の三品から、すでにわかってしまう。
 この小説を読んでいると、ひとり、という孤独は、なんと身軽ですがすがしいことか、と思えてくる。ひとりで生きることはさみしいことでも悪いことでもないと、ツキコさんたちが教えてくれるのだ。<角田>
 「病むためでなく健やかであるために食べる」(池澤夏樹『きみのためのバラ』) 池澤夏樹は失われていくまっとうさの奪回に真剣に向き合っている作家だと私は勝手に思っている。まっとうさというのは、人間らしいまともさである。むずかしい言葉でそれについて論じることもあるし、ひどくわかりやすい言葉で書いてくれることもある。
 この短編集に通底しているのは、人間の健全な体温だ。意味のないマニュアル会話と正反対に位置するもの。意味不明といってもテロや暴動のそれではなく、祖先や生まれ変わりといった人知を超えたもの。人とのあいだの断絶ではなく、一瞬だとしても、つながり、そうして、ひどく無力な人間たちが魔法の力もないのに奇跡を起こす。さりげなく、でも力強い奇跡。
 今、食べものにまっとうさを求めようとすると、マクロビデオティックとかオーガニックとか、ちょっとだけヒステリックな響きが混じり、そのせいかどうかちっともおいしそうに私には感じられないのだけれど、ここに登場する料理はそのどれもとも関係なく、そして真のまっとうさを感じさせる。しかもすべてがおいしそう。こぼれたコーヒー豆で淹れられたコーヒーすら。それで、はたと気づくのである。本来私たちは、病むためではなく健やかであるために食べるのだ、と。わかり合えないと知るためではなくわかり合えると思って他人とかかわるのと、まったくおんなじに。<角田>
 本文の末尾には、各回を担当した執筆者名が三文判のように押してある。堀江、角田両人とも守備範囲は広く、しかも一流の作家。ただ、ざっくりとした感想では、角田に私自身の好みが多かったように思う。堀江は体質的に酒はまったくたしなまないそうで、だから、好みが合わなかったからでもないだろうが。まあ、酒が出てこない食というものも何かわびしい。
 しかし、食を書かせればこの人だろうとページをくくる前から自分なりに想像していた内田百閒と開高健がそれぞれ紹介されていた。しかも、百間先生については2編も取りあげられていた。どちらも堀江の担当だったが、酒豪百間先生の人物像が百間先生の文章を引いて生き生きと紹介されていた。どうやら、酒を飲める飲めないはまったく関係のないことだったようだ。的外れなことを堂々と書いてしまったが。
 最後にもう一つ。太田愛人『辺境の食卓』が取りあげられていたのはうれしかった。「雨期こそ、ジャムの月」と題したエッセイで、北アルプスで伝道活動に携わりながら、地場で採れる果樹や山菜、山鳥や川魚など、土にまみれた本来の匂いに満ちた食材を用いて土地の文化や気候にあわせた食生活を楽しみ、その日々の模様を信者たちへの通信に書き綴ったとあり、聖書の中の荒れ果てた辺境のイメージや、言葉そのものにまつわる負の響きをあっけらかんとくつがえす、ほとんど「豊かな辺境」としかいいようのない世界を提示してくれる名著だと紹介している。<堀江>

都電荒川線トピックス

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(写真1 都電荒川線の前身王子電気軌道の路線図。都電屋に掲示されていた)

都電荒川線つたい歩き プラス③

 都電荒川線のつたい歩き。のんびり歩いていると電車に乗っていては見落としがちなものが見えてきた旅でもあった。
 その中からトピックスをいくつか拾ってみよう。
●都電もなか

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(写真2 都電もなか。箱は左7700形、右9000形)

 梶原停留場のそばにある和菓子屋明美。ここに〝都電もなか〟なるものがあった。都電ファンにとってはうれしくなる一品。もなかが都電の車両の形をしているのである。箱に入っていて、パッケージが7700形とか8500形などと都電の系統別に用意されている。また、購入するに際しては、1個2個などではなく、1両2両と呼ぶのもうれしいところ。
 2両ばかり買って食べてみたが、これが本格的なもなか。もなかは好物だしとてもうまい。当たり前のことだが。人気の和菓子店のようで、客がレジに並んでいる。もっとも、都電もなかを買ったのは私だけだったが。

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(写真3 都電もなかの店)

●おはぎ

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(写真4 いっぷく亭のおはぎ)

 庚申塚停留場三ノ輪橋方ホームに面してある〝いっぷく亭〟。甘味処だが、コロナ下のこと、店自体は休業状態。ただし、主人は店のシャッターを半分だけ開け、店の前に和菓子を並べてサービルをしている。「お裾分け中」と表示してあって、欲しい人に配っている。主人は「材料は仕入れてしまってあるし、日頃の感謝の気持ちを込めてやっている」と気っぷがいい。
 おはぎで有名な店だが、ほかにもあんみつなどというものもあって選ぶのも楽しい。ここは巣鴨地蔵通り商店街であり、常連もいて手に取っていく人が跡を絶たない様子。
 わたしもおはぎをいただいたが、餡の甘さが絶妙だし、ボリューム満点のもので、おいしくいただいた。

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(写真5 お裾分けしている〝いっぷく亭〟)

●都電屋

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(写真6 都電屋の外観)

 その名もずばり〝都電屋〟。都電荒川線の三ノ輪橋停留場のすぐそば、商店街の入口にある。
 店はカフェなのだが、店内の模様がただならない。つまり、鉄道博物館の様子なのだ。鉄道ファンなら垂涎ものが所狭しと陳列してある。
 とくに、「王子電気軌道沿線案内」は珍しい。王子電気軌道とは現在の都電荒川線の前身。タテ1.5メートル、ヨコ2.0メートルもありそうな大判の壁掛け図で、往時の路線図が描かれている。この図で興味深いのは、表示している図の説明で、電車線のほか、バス線、配電区域とあることで、この会社が鉄道事業のみならずバス事業のほか電力事業も行っていたということ。
 電車線では、三ノ輪から出て、王電王子で王電赤羽行きと早稲田行きと2路線に分岐しており、結構大きな企業体だったわけで、王電とは王子電気軌道の愛称だった。
 主人の藤田孝久さんが鉄道ファンのようで、喜寿ということだが、JR全線を踏破したというから筋金入り。私も鉄道ファンの端くれ、話し始めたら盛り上がってとまらないようだった。

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(写真4 都電屋の店内)

都電荒川線の全停留場フォト

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(写真1 都電荒川線唯一の荒川車庫)

都電荒川線つたい歩き プラス②

 都電荒川線は、三ノ輪橋停留場を起点に早稲田停留場を終点とする全長12.2キロの路線。停留場数は30。荒川区から北区、豊島区、新宿区へまたがっている。路面電車である都電の路線数としてはかつては30もの路線があったらしいが、.現在残っているのはこの荒川線が唯一。
 この都電荒川線をこのたび2日がかりでつたい歩きをした。電車には乗らないという旅だから、およそ乗り鉄らしからぬことだが、これはこれで楽しいものだった。
 普段は乗ってばかりの旅だから、各駅下車というわけにも行かず、通り過ぎてしまう駅も多いわけだが、このたびはつたい歩き。すべての停留場を確認しながら歩いたのだった。
 そこでここでは、都電荒川線30の停留場すべてを紹介する。荒川線は、路面電車らしく駅ではなく停留場と呼んでいて、路面電車にしては専用軌道区間が長くて全体の約8割にも達するほどだが、もっともそのために都電で唯一生き残れたわけだが、基本的には路面を走る路線。とくに併用区間では一般道を自動車と並んで走ることになる。
 このため、停留場には島式1面2線というホームのところはなく、相対2面2線というホームも少ない。大半は三ノ輪橋方、早稲田方それぞれのホームがわずかだが離れて設置されている。この場合、交差点を挟んでいる場合も少なくない。
 なお、電車は前乗り後降りだが、乗降車ともにドアは左側。ワンマン運転に対応するためで例外はない。

 また、荒川線は、1両編成ばかりで、2両3両という編成はないから、ホームの長さは1両分少々程度である。長いホームがあるのは、乗降客が多い王子駅前、大塚駅前くらいなもので、起点の三ノ輪橋も終点の早稲田も乗車ホームと降車ホームが分かれている。
 
三ノ輪橋

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・荒川一中前

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・荒川区役所前

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・荒川二丁目

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・荒川七丁目

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・町屋駅前

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・町屋二丁目

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・東尾久三丁目

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・熊野前

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・宮ノ前

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・小台

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・荒川遊園地前

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・荒川車庫前

 

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・梶原

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・栄町

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・王子駅前

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・飛鳥山

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・滝野川一丁目

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・西ヶ原四丁目

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・新庚申塚

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・庚申塚

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・巣鴨新田

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・大塚駅前

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・向原

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・東池袋四丁目

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・都電雑司ヶ谷

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・鬼子母神前

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・学習院下

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・面影橋

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・早稲田

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都電荒川線の全車両フォト

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(写真1 荒川車庫前に停車中の左8808と右8908)

都電荒川線つたい歩き プラス①

 都電荒川線を2日がかりでつたい歩いた。つたい歩くとは、電車には乗らず、ただひたすらに線路に沿ってつたい歩くこと。乗っては気がつかない細かな情景が得られる楽しみがある。5月17日と24日。当初、1日で済む計画だったが、途中、雨が強くてままならなかった。
 都電荒川線は、三ノ輪橋停留場を起点に早稲田停留場を終点とする全長12.2キロの路線。停留場数は30。荒川区から北区、豊島区、新宿区へまたがってる。都電の路線数としてはかつては30もの路線があったらしいが、.現在残っているのはこの荒川線が唯一。
 この2日間、何しろ述べ8時間も都電と付き合っていたから、随分とたくさんの電車と遭遇した。都電はほぼ6分間隔で運転されており、上り下りもあるから頻繁に目撃できる。
  東京都交通局のホームページによると、都電荒川線の保有車両数は33両。このたび気がついたことは随分とカラフルとなったこと。古めかしいチンチン電車のイメージはない。ちんちんと言えば、現在でも発車の合図にチンチンと鐘は鳴る。専門的には伝鐘というらしい。車掌が運転士に出発を知らせる合図だったということだが、ただし、現在はワンマン運転。伝鐘だけは残った。

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(写真2 運転席の様子。8900形8904号車)

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(写真3 車内前方。運転席背中側の右上部に鐘が見える=9000形9002号車)

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(写真4 車内の様子。明るくゆったりしている。電動車椅子の人が介添えなしで乗ってきたが、とてもスムーズだった=8800形8810号車)

 また、車両は広告が施されたラッピング車両ばかり。わずかでも収入増としようとのこと。運転は1両のみで、2両以上の編成はない。軌間は1,372ミリ。前乗り後降り。運賃は全区間均一で170円(ICカード利用時168円)。
 私は撮り鉄ではないし、車両派でもないから、車両の撮影を主眼とはしていなかったのだが、撮影した写真を整理してみるとたくさんの車両が写っている。それで、数えてみると27両にも上った。保有車両数の実に80%にも達する。車庫に留置されている車両もあるだろうから、これは随分と高い割合ではないか。しかし、この際、全車両を撮影しておこうと思い、5月28日改めて不足分を撮影に出かけた。幸い、この日は晴れていた。
 車両番号順に並べてみよう。当初から車両そのものの撮影が目的ではなかったから、ゆがんでいるものなど少なくないが、ともあれ一覧にはなる。東京都交通局のホームページを参考にした。なお、写真はトリミングしてある。

7700形(2016年から2017年にかけて7000形から大規模改修をした車両。在籍8両。3色がある)

7701(みどり色)

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・7702(みどり色)

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・7703(あお色)

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・7704(あお色)

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・7705(あお色)

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・7706(えんじ色)

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・7707(えんじ色)

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・7708(えんじ色)

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8500形(1990年から1993年にかけて製造された車両。在籍5両)
・8501

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・8502

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・8503

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・8504

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・8505

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8800形(2009年にデビュー。車体カラーリングは4種)
・8801(ローズレッド)

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・8802(ローズレッド)

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・8803(ローズレッド)

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・8804(ローズレッド)

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・8805(ローズレッド)

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・8806(バイオレット)

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・8807(バイオレット)

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・8808(オレンジ)

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・8809(オレンジ)

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・8810(イエロー)

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8900形(2015年にデビューした都電荒川線用車両。車体カラーリングは4種類)
・8901(オレンジ)

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・8902(オレンジ)

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・8903(ブルー)

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・8904(ブルー)

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・8905(ローズピンク)

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・8906(ローズピンク)

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・8907(イエロー)

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・8908(イエロー)

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9000形(2007年デビュー。カラーリングは2種で、ともにレトロ調)
・9001

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・9002

 

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庚申塚から終点の早稲田へ

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(写真1 千登世橋上から見た荒川線電車。右が明治通り)

都電荒川線 つたい歩き③

 都電荒川線のつたい歩き。先日は雨のため途中で打ち切っていたため、この日はその続きで庚申塚から再開。5月14日。
 庚申塚へは最寄り駅である山手線巣鴨駅から。徒歩5分ほどか、白山通りから脇へ地蔵通り商店街が伸びている。とげ抜き地蔵で知られる高岩寺の参道で、〝おばあちゃんたちの原宿〟と呼ばれにぎわっている。
 ところで、巣鴨駅。改札を出てから気がついて、これから長い時間を歩くわけだし、トイレを済ませておこうと思ってトイレを借りようと職員に申し出たところ入場するには140円の料金を払ってくれとのこと。ちょっとトイレを使うだけだがと言っても入場料を払えの一点張り。規則はその通りなのだろうが、大きな駅ならともかく、トイレは改札口のすぐ目の前に見えているのにこの態度。よほどあやしげな男とみられたのか、猛烈に腹が立った。身なりはジャケットも着てきちんとしていたのだが。

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(写真2 巣鴨地蔵通り商店街。とげ抜き地蔵の参道)

 さて、庚申塚停留場。先日、おはぎを振る舞ってくれた甘味処いっぷく亭はこの日は閉まっていた。時間が早かったのかもしれない。
 庚申塚からは線路づたいに道はなくて、いったん離れたところを歩き出し、途中から戻った。私のやり方は、可能な限り線路づたいに歩くということ。並行してそうでも、どんどん離れていくということもある。
 巣鴨新田。東京電力の施設があった。下校中なのか、大勢の高校生と行き違う。それにしても、下校中ならなぜ大塚駅へ向かわないのか。そう言えば、巣鴨新田の停留場で電車を待っている生徒はいなかった。ひょっとすると、停留場の向こうにある高校の生徒たちだったのかもしれない。

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(写真3 大塚駅前停留場。左手前が定期券販売の窓口)

 そうこうして山手線大塚駅。北口はしゃれたロータリーになっている。大塚駅前停留場は、山手線の高架下に直角に配置してある。対面する2面2線のホームがあり、早稲田方面ホームの端には窓口があり、都電と都バス定期券を扱っているといい、乗車券は車内で販売しているとのこと。王子駅前もそうだったが、乗降者数の多い停留場。
 南口には駅ビルもできて随分と大きくなった。このあたりは高校や大学も多いからにぎわっていた。

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(写真4 南大塚バラロードを登ってきた電車)

 大塚駅前を出ると電車はすぐにほぼ直角に右折し、続いて左折しながら坂道を登っていく。バラが沿線を飾っている。南大塚バラロードといい、一区間だけのことらしい。

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(写真5 線路の向こう奥に高くそびえるサンシャインビル。いかにも都心の谷間を走る電車だ)

 春日通りを横切って向原の停留場を過ぎると、IKE SUNという広い公園があり、その向こうにサンシャインビルが望めた。

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(写真6 雑司が谷霊園)

 東池袋四丁目停留場からは線路沿いに道はなく、坂道を登っていったら、雑司が谷霊園にぶつかった。都立の墓地で夏目漱石や永井荷風、島村抱月らの墓がある。霊園の外周を回り込んでいくと都電雑司ヶ谷霊園という停留場。霊園に面している。

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(写真8 鬼子母神への参道、大門ケヤキ並木)

 この停留場からは長い下り坂。下りきったところが大鳥神社。東京音楽大学が近い。続いて鬼子母神前停留場。地下鉄副都心線雑司が谷駅に隣接している。鬱蒼とした古木が並ぶ大門ケヤキ並木は鬼子母神への参道。このあたりは4月に来たばかりで、この日は参詣しなかった。
 やがて目白通りと明治通りが交差する千登世橋。立体交差になっていて、電車は明治通りに沿って走っている。

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(写真9 学習院下停留場。雨のためしばし雨宿り)

 続いて学習院下。このあたりに来たら雨が降ってきた。それも猛烈に激しい雨。出かけるに際しては、慎重に気象情報をチェックして雨のない日を選んだのだが、当たらなかった。1日目も雨で中断したが、2日目も雨にたたられるとは、晴れ男の面目がない。横殴りの強い雨だし、停留場で雨宿りをしていたがやみそうにもなくそばにある中華屋で昼食をとりながら雨の上がるのを待った。

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(写真10 神田川を渡る電車。奥が学習院下)

 30分ほどもしたら雨が小降りになってきた。つたい歩き再開。学習院下から坂を下りきると神田川を渡った。高戸橋の交差点で、ほど直角に左折して新目白通りに出た。
 神田川と並行して走っている通りで、面影橋を経てやがて早稲田停留場。都電荒川線の終点。これで全長12.2キロ、30停留場のつたい歩きを完了した。停留場は、降車ホームと乗車ホームを備えた2面1線の立派なもの。
 3度目の鉄道つたい歩き。初めての都内、初めての路面電車だった。雨のせいばかりではなく、寄りたいところが多くて時間がかかった。それだけに楽しくもあって、印象深い旅となったのだった。

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(写真11 都電荒川線の終点早稲田停留場)

 

荒川車庫前から庚申塚へ

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(写真1 王子駅付近の併用軌道を走る都電荒川線電車)

都電荒川線 つたい歩き②

 荒川車庫前を出ると、まもなく北区に入った。電柱の町名表示によると、北区堀船三丁目とある。梶原の停留場には、早稲田方面のホームに面して本屋があった。また、そばに都電もなか本舗という和菓子屋があったが、この日はあいにくと定休日だった。都電の車両の形をしたもなからしい。

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(写真2 梶原停留場に面して本屋があった)

 

 

 

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(写真3 明治通りを渡る都電。手前が三ノ輪橋行き、奥が早稲田行き)

 やがて明治通りの交差点。明治通りは、関東大震災復興のため東京で初めての環状道路として整備されたもので、このためあちこちで明治通りに遭遇する。

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(写真4 アジサイが咲いている踏切)

 北区に入ったら沿線にバラが消えた。荒川区と同じようにバラを植えてくれたらいいのにと思った。かろうじてアジサイが咲いている踏切があった。
 次の栄町にはコーセーの建物。化粧品会社らしくしゃれた外壁。

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(写真5 新幹線の高架に突き当たった電車)

 やがて新幹線の高架に突き当たった。ここで大きく右折し、高架下を王子駅へと入っていく。

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(写真6 改札機が置かれ職員が配置されている王子駅前停留場)

 王子駅前停留場では改札機が置かれ、職員が対応していた。定期券の販売が目的で、平日日中だけのことらしいが、王子駅前停留場は路線中で乗降客の多い停留場。

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(写真7 王子駅前付近を走る電車。右は京浜東北線、東北新幹線の高架=飛鳥山の上から撮影した。雨で煙っている)

 雨が降り出した。王子駅前停留場を出るとすぐにほぼ直角に右折し、新幹線や京浜東北線のガードをくぐり、併用軌道へと入っていく。飛鳥山の麓を大きく迂回するように路線は組まれている。飛鳥山は江戸時代以来のサクラの名所。麓から山上へ自走式ケーブルカーが運行されている。

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(写真8 車列の最後尾に見えるのが、自動車と一緒になって併用軌道を走る電車)

 全線で二カ所目の併用区間。自動車と一緒になって走行しており、当然、渋滞等の影響も受ける。

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(写真9 明治通りと本郷通りの交差点付近を走る電車) 

 続いて明治通りと本郷通りの交差点。ちょっとややこしい交差点で、明治通りは直角に右折し、本郷通りが直線方向に伸びている。
 飛鳥山の停留場からは再び専用軌道区間に入る。

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(写真10 北区内に入ると線路に並行する道がなくなりつたい歩きも難しく苦労した)

 滝野川一丁目、西ヶ原四丁目と続き、この付近は並行する道路もなく、道に迷ってしまった。路地裏のような通りが広がっていて、あげくには坂が多い。途中で会った若い女性に尋ねたら、この辺は道が入り組んでいてわかりにくいから案内してくれるという。それでは申し訳ないので大きな方向だけ教えてもらった。しかし、これは失敗で、ご厚意に甘えれば良かった。やっぱり線路に行き当たらない。それで、今度はおばあさんに尋ねたら、道を三度も曲がってやっと線路が見えてきた。

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(写真11 旧中山道、白山通りの国道17号を渡る都電)

 やがて新庚申塚。豊島区内に入っており、国道17号旧中山道の白山通りを渡った。ここは都営三田線の西巣鴨駅が近い。

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(写真12 庚申塚停留場。右手前にトイレ、ホームに面して和菓子店)

 新庚申塚からは庚申塚がすぐ。停留所間距離はわずかに200メートル。路線中、最も短いのではないか。公衆トイレが付属しており、ホームに面して和菓子店〝いっぷく亭〟がある。いっぷく亭は店は営業していなかったのだが、店主が商品を客にサービスしていた。無料だというので、評判のおはぎをもらってベンチで食べた。
 雨が強くなってきて横殴りになっている。ここまで約8キロ5時間ほど歩いてきていて疲れていたわけではなかったが、この日のつたい歩きはここまでで中止。この先まだ4キロほど残っているが、それはいずれまた別の機会に。