ABABA’s ノート

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送電鉄塔研究会著『送電鉄塔ガイドブック』

鉄塔ワールドへの誘い

 送電鉄塔とは、郊外などで見かけるように長い距離に張り巡らした送電線を中継するための設備。発電所から変電所を経由して送電するために送電線は超高圧となり、送電距離も長いところから送電施設は大型となる。
 本書はこの送電鉄塔について、送電線の役割、鉄塔の形状、送電設備の建設、送電鉄塔の種類などについて詳細をまとめたガイドブック。
 およそ一般人を対象としたものではなさそうだが、これが読んでみると面白くて最後まで読み通した。
 鉄塔にもいろいろと種類があって、四角鉄塔、矩形鉄塔、烏帽子形鉄塔、門形鉄塔、ドナウ形鉄塔、鋼管柱鉄塔などとある。
 鉄塔の高さは送電する電圧によって異なるようで、100万ボルト(1,000kV)なら最大149メートルにもなるという。
 四角鉄塔が最もポピュラーだろうが、このごろ都市部で見かけるのは鋼管柱鉄塔。スマートだし、都市景観にもなじむ。
 なお、鉄塔は、鋼構造物の一種だが、本書では溶接に関する記述が少なかったし、検査についてもあまり言及されていなかった。建設地が山間部などと難しいところが多いから、あまり現地溶接は行わないようにしてるのかも知れない。
 記述は平易に努め、カラー写真も豊富だし、ところどころに遊び心もあって送電鉄塔に携わる技術者たちの情熱が伝わってくるようだった。
(オーム社刊)

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