(写真1 修復後の<窓辺で手紙を読む女>=会場で販売されていた絵はがきから引用)
17世紀オランダ絵画展
東京都立美術館で開かれている。
ドレスデン国立古典絵画館所蔵作品が集められており、目玉は、フェルメール<窓辺で手紙を読む女>。
この<窓辺で手紙を読む女>(1657-59頃)は、フェルメール初期の作品だが、この作品については、かねて、背景の画中画が塗り潰されていることがX線写真でわかっていたが、これは、当初、画家自身によって手を加えられているものと考えられてきた。しかし、その後、画中画の塗りつぶしはフェルメールの死後何者かの手によって行われたことが判明し、ドレスデンでは大規模な修復作業の結果、フェルメールが描いた当初の姿となってよみがえさせることに成功した。
今回公開されているのはこの修復後の作品で、フェルメールの鮮やかな色彩が目の当たりにできた。塗り潰されていたのはキューピットだったことがはっきりしており、フェルメールの持つ緻密な絵画世界が現れていた。
また、この展覧会ではドレスデンが行った修復のプロセスが詳細に報告されていて興味深いものだった。
(写真2 修復前の<窓辺で手紙を読む女>=会場で販売されてた絵はがきから引用)
少し離れたところには並ぶようにして複製画の窓辺で手紙を読む女も展示されていて、これは修復前のフェルメールの原画に基づいたものだけに、比較対象ができて面白いものだった。
私はフェルメールが好きで、個人蔵などを除き一般に見られる30数点あるフェルメール作品のすべてを世界各地の美術館を訪ね歩いて見たことがあるのだが、見た記憶はあるのだが期日場所が明確に特定できない作品がこの<窓辺で手紙を読む女>だった。
このたびやっと念願叶って直接見ることができて特別な感慨を味わったことだった。なお、ドレスデンには<取り持ち女>というフェルメールの作品があるのだが、今回は来ていなかった。私は数年前に上野で見たことがあった。
このたび修復後の作品を見て、おやっと思ったことは、背景の画中画のキューピッドが実は<ヴァージナルの前に立つ若い女>(1632-1675、ロンドンナショナルギャララリー)の背景画のキューピットにそっくりだったことだった。
(写真3 <ヴァージナルの前に立つ女>)