(写真1 数千人も集まったコンサートの様子)
コバケンとその仲間たちオーケストラ
3月11日、池袋駅西口の野外劇場グローバルリングシアターで行われた。会場は、全席立見による入場無料で、会場には黄色と青色のウクライナの国旗を持った人々が三々五々集まり、最終的には数千人も集まったか、ウクライナへの大きな連帯の輪が広がっていた。
主催は、豊島区と〝コバケンとその仲間たちオーケストラ〟。コバケンとその仲間たちオーケストラとは、指揮者小林研一郎を中心にプロ・アマ、障害のあるなしを問わない社会貢献を目的としたユニークなオーケストラで、小林の提案からわずか1週間で豊島区が呼応し、仲間が集まった。
コンサートでは、初めに、ウクライナ人のソプラノ歌手オクサーナ・ステパニュックさんがウクライナ国家を歌った。ウクライナ国歌というのも初めてのことだったが、高らかに堂々としたもので、ウクライナの人々の不屈の戦いがうかがい知れるような感動があった。
演目は、初めにシベリウスの交響詩<フィンランディア>。帝政ロシアの抑圧に苦しむフィンランドの人々が独立を目指した曲で、あまりにも愛国的だったためフィンランド人の団結を恐れたロシアが演奏を禁じたといわれるほど。
折から大国ロシアの理不尽な戦争に敢然と立ち向かうウクライナ人の心情が思い浮かんでとても印象的な演奏となっていた。出だしの金管による重苦しいフレーズはその後の爆発を予感させるもので、何度も聴いてきたはずのこのフィンランディアがこれほど力強く響いたことも稀なことだったし、まさに時宜を得た演奏となっていた。
ほかに、ラヴェル<ボレロ>、アイルランド民謡<ダニーボーイ>が演奏された。
私とウクライナとの縁は浅くて、これまで一度も訪れたことがない。ただ、首都キエフにあるパトン溶接研究所は、世界最先端最大級の溶接研究所で、ドクター保有者が300人もいるというほどで、溶接を研究した者なら知らぬ者とていない存在。特に電子ビームの研究で知られる。この研究所とは『宇宙の溶接』という専門書を翻訳出版したことがあった。