ABABA’s ノート

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ワルターのベートーヴェン

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(写真1 CD全集のパッケージ外装)

三大巨匠の一人

 20世紀を代表する指揮者と称され、トスカニーニ、フルトヴェングラーと並んで三大巨匠の一人とされるワルター。
 ブルーノ・ワルター(1876-1960)は、ドイツの指揮者。ユダヤ系であり、ナチスの迫害によりウィーン、フランス、アメリカへと逃れた。特定のオーケストラの常任の地位には就かなかったようで、特に晩年は、CBSの求めに応じてコロンビア交響楽団を指揮したが、これもCBSがワルターのために臨時編成したオーケストラだったようだ。
 手元にあるベートーヴェンの交響曲全集もコロンビア交響楽団の演奏で、レーベルはCBSレコードを継いだソニークラシカル。録音は1958-1960にかけてロサンジェルスで行われた。
 構成は次の通り。
 CD1:第1番、第2番
 CD2:第3番〝英雄〟、第8番
 CD3:第4番、第6番〝田園〟
 CD4:第5番、第7番
 CD5:第9番〝合唱付き〟
 CD6:ヴァイオリン協奏曲、レオノーレ序曲第2番
 CD7:第4番、第5番、第7番、第9番のリハーサル
 9曲の交響曲全集なのにCD7枚組というのは珍しい。
 CD5の第9番の合唱はウエストミンスター合唱団。CD6のヴァイオリン協奏曲のヴァイオリン独奏はジノ・フランチェスカッティである。また、同じCD6にレオノーレ序曲の第2番が含まれているのも珍しいのではないか。第3番が一般的だから第2番は聴くことは稀で貴重な機会。
 全般的に、豊かな曲想を抱かせるような演奏だ。聴いていて安心感がある。奇をてらったところがないのである。表現が的確かどうか、語尾を伸ばすような傾向が感じられた。
 面白かったのは、CD7のリハーサルの様子。ドキュメンタリー映画でもないとうかがい知るところがないので興味深かった。丹念なリハーサルぶりで、特に第5番は細かなところまで繰り返し指示を出していた。