ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

中谷一郎『JAXAの先生!宇宙のきほんを教えてください!』

f:id:shashosha70:20220215144825j:plain

あなたの常識は宇宙の非常識

 民間人ですら宇宙旅行を楽しむ時代になってきたが、宇宙はまだまだ深淵。謎だらけと言えるほどで、宇宙への疑問は増すばかり。
 本書ではその宇宙とは何か解きほどいてくれている。ただ、タイトルだけ見ると、こども向けのやさしい解説書かと思うが、中身は必ずしもやさしくはない。宇宙はやはり難しいのである。
 いくつかのQ&Aを拾ってみよう。
 Q 宇宙ってどこまで広がっているの?
 A 宇宙の大きさは日常的なスケールをはるかに超えているので、縮小して考えてみましょう。私たちの住む地球の直径を1ミリメートルとすると、宇宙空間の大きさはなんと直径70兆キロメートル! 単位を揃えてゼロを並べる形で表現すると、宇宙の直径は70,000,000,000,000,000,000にもなる広大な空間なのです。この表現は控えめで、宇宙論の研究者の間では、宇宙は無限に大きいという説も有力です。
 Q 宇宙は実は1つではなく、たくさんあるって本当ですか?
 A 「多元宇宙」はちょっと前まではSFの世界の架空の話しでしたが、さまざまな種類の宇宙が科学のまな板の上で、現実味を持って議論されるようになりました。その一つはインフレーション宇宙論が示す「多元宇宙」です。私たちの宇宙とは情報も物質もやり取りできない別の宇宙が無数にあるというのがこの理論の帰結です。しかも、それらの宇宙は、物理法則そのものが我々の宇宙とは異なるという、不思議な世界なのです。
 Q 広大な宇宙論と、極微の素粒子論が密接に関係するのはどうして?
 A 宇宙が無から生まれてまだごく小さかった頃、そしてその後の進化の過程を調べるには、極微の世界を理解する必要があります。また、ブラックホールのように小さな領域にとてつもなく高い密度で粒子が集まった状態を調べるにも、素粒子論が活躍します。もともと素粒子の研究者が宇宙論に興味を抱いて研究領域を広げる例も多く、最近注目されている「超弦理論」は素粒子の研究の最前線にあり、かつ宇宙論の強力な推進力としても期待されてます。 
(ポプラ新書)