ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

半蔵門線・銀座線・新宿線・丸ノ内線・東西線

全鉄道全路線全二周への旅

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(写真1 これは珍しい円形の窓=丸ノ内線で

東京の地下鉄全線に乗る②

 興味のない人には馬鹿馬鹿しくてあきれてしまうだろうが、今日も東京の地下鉄全線に乗りに出かけた。一日目の昨日は、千代田線、副都心線、有楽町線、都営大江戸線、都営浅草線の5路線に乗った。まだ8路線も残っている。二日目はどれほど片付けられるものか。(○数字は乗車順=一日目からの連番)
⑥半蔵門線(渋谷-押上、路線距離16.8キロ、駅数14駅、ラインカラーはパープル、路線記号はZ) 一日目は都営浅草線の押上駅をもって切り上げており、二日目はその続きとして押上からの出発。

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(写真2 半蔵門線押上駅ホーム。行き先表示に準急中央林間の文字)

 押上駅のホームで発着する列車を見ていると、東武は日光線の南栗橋や伊勢崎線の久喜から来て、半蔵門線を経由して東急は田園都市線の中央林間や長津田に向かっている列車が大半で、3社が相互直通運転している。ちなみに計算してみたところ、南栗橋-中央林間を直通すると運行距離は実に98.5キロにも及ぶ。この全線を通しで乗る人は少ないだろうから、100キロも離れていると、南栗橋の人は中央林間が、逆に中央林間の人は南栗橋がどんなところか見当もつかないのではないか。原武史流に表現すれば異文化の直通ということになるのかもしれない。
 押上を出ると、錦糸町、住吉、清澄白河、水天宮前、三越前と続き、大手町から皇居を時計回りと反対に半周して神保町、九段下、半蔵門、永田町、青山一丁目、表参道を経て渋谷に至る。
 ここまで乗ってきて気がついたが、半蔵門線の各駅は必ずどこかの路線と接続している。東から西へ都心を貫いているからだが、接続のないのはそれこそ半蔵門駅だけ。

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(写真3 渋谷駅ホーム。右が半蔵門線、左は半蔵門線から直通する田園都市線)

 これで半蔵門線は終わり。銀座線に次いで短い。ただし、銀座線は線内で運転は完結しているが、半蔵門線は乗り入れている直通部分がやたら長い。なお、駅数は14で、これは東京の地下鉄中最小。
 渋谷では1番線に到着した。押上から所要約35分。朝の通勤時間帯だったのだが、満員だが超満員にではない。乗客の大半はスーツを着たビジネスマン。このごろのはやりか、スーツなのにリュックを背負っているものが少なくない。
⑦銀座線(浅草-渋谷、14.3キロ、駅数19、ラインカラーオレンジ、路線記号G、軌間は標準軌の1435ミリ、第三軌条方式の給電) 同じ渋谷駅構内の乗り継ぎだから便利かと思いきや、半蔵門線のホームから銀座線のホームまで何と12分もかかった。サインが不明朗で、途中で消えたりしたからでもあるが、渋谷駅は大改造したが、利便性はあまり向上していないようだ。
 もとより日本でもっとも古い地下鉄路線で、ここと丸ノ内線だけが東京メトロの中で標準軌であり、給電が第三軌条方式である。だから、他の路線と相互乗り入れができない。開業した1927年当時相互乗り入れなど考えられなかったのであろう。
 第三軌条方式でいえば、かつては駅が近づいてポイントを渡る瞬間照明灯が消えたものだった。このためドア付近に小さなランプがついていた。このごろではこういう風景も見ることがなくなったが、車両が改造されたのであろう。

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(写真4 渋谷駅銀座線ホーム。明るくなり、サインも視認性がよくしっかりしている)

 銀座線渋谷駅は、今年2020年1月に新築移設されたばかり。従来のホームより130メートル移動した。明治通りをまたぐ形になっており、1面2線の明るいホームとなった。車両も新型に置き換えられているようで、ピカピカしている。
 渋谷を出ると、表参道、外苑前、青山一丁目、赤坂見附、溜池山王、虎ノ門、新橋、銀座、京橋、日本橋、三越前、神田、末広町、上野広小路、上野、稲荷町、田原町と続き終点浅草。都心の名だたる繁華街を貫いている。
 赤坂見附では丸ノ内線と同じホームだし、表参道でも半蔵門線と同様で、乗り換えの利便性も高い。溜池山王は平成になって開設された駅。
 とにかく利用者の多い路線。ただ、1両の車両長も短く、車両全体が東京メトロの中では最も小さい。それでも、駅間距離も短いし、各駅に到着するたびに頻繁に乗客は乗降するため、車内の空気は入れ替わっているように思える。乗客も心得ていて、混乱することもないように見受けられる。このあたりが郊外から来た電車とは違うところだろう。
 また、日本で最初の地下鉄とあって地下深度は浅く、路上から改札に降りてすぐホームといった構造もあり、とにかく利便性は高い。

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(写真5 浅草駅ホーム。天井が低く、ホームが狭い)

 浅草は対面する2面2線のホーム。改札内の移動ができないこともあり、到着したホームからどの出口に出るかはよく知っておく必要がある。このため、車両に行き先である浅草の何番線到着か表示されているほどだ。到着駅の番線までもが表示されている列車というのもほかに例は見ないであろう。列車は数分間隔で運転されており、1本待ってでも自分の出たいホームの電車を選ぶ人もいるに違いない。

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(写真6 銀座線地上には東武浅草駅)

⑧都営新宿線(新宿-本八幡、23.5キロ、21駅、ラインカラーは黄緑、路線記号S、軌間は変則で1372ミリ) 都心を東西に結ぶ路線。同じように東西に走る路線では、北からJRの総武・中央線、新宿線、東西線ということになる。

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(写真7 都営新宿線本八幡駅ホーム。行き先表示に急行笹塚行きの文字)

 新宿線には本八幡から乗った。本八幡はこの駅だけが千葉県。JR総武線と接続しており、地下駅。
 本八幡を出ると江戸川をくぐり東京都に入る。篠崎、瑞江と続き船堀で地上に出て荒川を渡った。次の東大島からまた地下に入り、大島、西大島、住吉、菊川、森下、浜町、馬喰横山、岩本町、小川町、神保町、九段下、曙橋、新宿三丁目と進み新宿に至る。
 各駅停車と急行二つの列車種別がある。地下鉄線内で急行は珍しく、ほかに東西線がある。この日乗った列車は岩本町で待避していた各駅停車を追い抜いた。
 新宿はこの路線の起点だが、多くの列車が京王新線を経て京王線へ直通する。軌間が1372ミリと変則なのは京王線に直通するため。1372ミリは日本で唯一のゲージである。京王線に入ると、京王八王子や橋本まで足を伸ばしている列車もある。
⑨丸ノ内線(本線池袋-荻窪24.2キロ25駅、支線中野坂上-方南町3.2キロ3駅、ラインカラーはスカーレット、路線記号M) 都営新宿線を新宿で乗り終えて、その足で丸ノ内線の新宿駅へ移動した。しかし、これは広大な新宿駅の端から端まで歩くようなもの。
 何しろ新宿駅は、乗降者数が世界最大だし、乗り入れ路線も多数で、地下鉄が丸ノ内線、都営新宿線、都営大江戸線とあるし、JRから京王、小田急とある。なお、丸ノ内線と都営新宿線とは同じ駅なのにあまりにも離れているので乗り換えの接続駅の扱いはない。

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(写真8 丸ノ内線荻窪駅ホーム。島式1面2線)

 何はともあれ丸ノ内線には荻窪から乗った。荻窪はJRと改札が並んでいる。昔から大きい街だったが、久しぶりに降り立ってみたら駅前は意外にもこぢんまりとしていた。
 荻窪から南阿佐ヶ谷、新高円寺、東高円寺、新中野、中野坂上、西新宿と進み新宿へ。ここまでは放射状の部分で、新宿からはU字形を横にしたように楕円を描いて東京を経て池袋に至る。
 新宿を出ると新宿御苑前、四谷三丁目、四ッ谷、赤坂見附、国会議事堂前、霞ヶ関、銀座を経て東京、大手町、淡路町、御茶ノ水、本郷三丁目、後楽園、茗荷谷、新大塚から池袋へと至る。
 銀座線もだが、丸ノ内線も古い路線だけに都心でもいいところだけ通る。
 四ッ谷は地上駅で、赤坂見附では同じホームで銀座線と乗り換えができるし、東京は地下鉄で唯一の駅。もとよりJRに直結しているのだが、東京駅に接続する地下鉄路線がほかにないというのも不思議なくらい。淡路町を出て御茶ノ水の手前では神田川を渡るため地上に出た後、本郷三丁目で地下に入っているものの、後楽園の手前で再び地上に出る。茗荷谷のあたりで左窓に車両基地が見えた。荻窪-池袋間は所要約50分である。

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(写真9 方南町駅地上の交差点)

 なお、丸ノ内線には分岐線があり、通称方南町支線と呼ばれている。中野坂上と方南町の間を結んでおり、途中に中野新橋と中野富士見町。中野坂上には中線があり、列車は両側の扉が開き、荻窪方、新宿方いずれからも乗降できる。中野坂上と方南町間の支線内運転が中心だが、池袋からの列車も入ってくる。中野坂上-方南町間は所要約7分。方南町駅は、環七と方南通りの交差点付近の地下にホームがある。中野富士見町から別れて中野検車区がある。この検車区への引き込みとして支線はできたものと思われる。
⑩東西線(中野-西船橋30.8キロ、23駅、ラインカラーはスカイブルー、路線記号T) 東京を東西に横断する路線で、同じように東西を結ぶ路線としてある総武・中央線や都営新宿線に対して最も南側を走っている。東西線を介し、中野方では中央線で三鷹へ伸び、西船橋からはさらに総武線で津田沼、東葉高速線へと直通している。

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(写真10 中野駅東西線ホーム。左の列車は各停で、右には快速東葉勝田台の表示)

 東西線には中野から乗った。つまり、西から東へと進む。中野駅はJRとの共同使用駅で、地上駅。中野を出るとすぐに地下に入り、落合、高田馬場、早稲田、神楽坂、飯田橋、九段下、竹橋と皇居をすれすれに走り、大手町、日本橋、茅場町、門前仲町、木場、東陽町と進み、南砂町を出ると地上となる。荒川を渡り西葛西、葛西までが東京都で、次の浦安から千葉県となり、南行徳、妙典、原木中山を経て西船橋へと至る。地上区間の長い路線で、都心以外の区間は地上と言える。
 地上区間で車窓を見ていると、びっしりとアパート・マンションが建て込んでいる。つまり、郊外住宅地から都心への通勤路線となっており、このため、東京の地下鉄の中では最も輸送人員が多いし、ラッシュアワーの混雑率もひどい。
 終着西船橋はJRとの接続駅で、東西線とJR線とのあいだに中間改札がある。これは中野駅にはないものだった。

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(写真11 西船橋駅東西線・東葉高速線改札口)

 二日目はここまで。この日も朝8時03分に押上を出発し、15時09分に西船橋に到着したから約7時間も列車に揺られたことになり、まだ明るかったが少々疲れてしまって残りは翌日に持ち越した。(2020年10月29日取材)