ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

二つの世界遺産

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(写真1 原爆ドームの現在の姿)
原爆ドームと厳島神社
 先の広島旅行では、滞在中、二つの世界遺産を訪ねた。原爆ドームと厳島神社である。この二つは、広島電鉄(広電)の宮島線で結ばれている。
 広電を広島駅から出ると、銀山町、胡町、八丁堀などと広島随一の繁華街を通ってほどなく原爆ドーム前となる。ドームは電停の目の前で広島の都心にあたり、爆心地からは300メートルほど離れているが、惨禍のひどかったことは想像される。
 原爆ドームすなわち広島平和記念碑は、太田川畔にある。補強はされているようだが、被爆直後の姿をほぼとどめているという。原爆投下当時は広島産業奨励館の建物だったとのこと。
 大変痛ましい姿で、被爆を象徴する建物であることには間違いない。日本で世界で鎮魂の思いを強くさせる場所はいくつかあるが、ここ原爆ドームがその最たるところではないか。思わず頭を垂れさせる。
 ベルリンにも爆撃で崩壊寸前のような建物が都心に保存されてあるが、決定的に違うところは、広島は原爆による被害だということである。ニューヨークでも、9.11の跡地をグランド・ゼロと呼んでいるが、別に比べてどうと言うことではないが、やはり原爆を投下したという事実は重いのではないか。
 原爆ドーム周辺にはいつでも見学者が絶えない。一様に厳粛な面持ちであり、声高に話している人の姿は少ない。西洋人も多い。というよりも、たまたまだったのかもしれないが、西洋人の姿が最も多かったように思われた。私には、どこの国の人かの区別はつかないが、アメリカ人はどういう気持ちで見ているのかと思う。対岸の平和公園には原爆死没者慰霊碑があって手を合わせる人の姿が絶えない。

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(写真2 二つの世界遺産を結ぶ広電。写真は広電宮島口で)
  原爆ドーム前から広電に乗ると約50分で広電宮島口。ここから連絡船で宮島に渡る。約10分。JRと宮島松大汽船と二つの船が出ているが、JRの船なら大鳥居の前を大きく回ってくれる。この日はあいにくの雨模様で、船上から見た厳島神社の大鳥居はやや霞んでいた。
 船着場から厳島神社までは歩いて10分ほど。途中、土産物屋や食堂が並んでいる。名物の穴子丼を食べさせてくれる店もある。
 日本三景の一つといわれるだけあってとにかく観光客の姿が多い。この賑わいは、昔も今も変わらないのだろうが、変わったのは外国人が増えたということか。
 社殿に上がって順路を進んでいく。しかし、なぜか厳粛さが足りない。開けっぴろげである。鬱蒼とした木立の中にないというせいでもあるのまもしれない。これは、どこの神社にお参りしてもないものだ。世界遺産の貴重さを感じないまま順路が終わった。また、この時間帯は干潮だったせいか、潮が引いていて、歩いて大鳥居のところまで渡っている人が大勢いた。

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(写真3 連絡船の船上から見た厳島神社の大鳥居)