ミューゼシード・イン・ムジカーザ
コロナ下のこと、開催自粛が続いていて今年は4年ぶりの開催。
そもそも「しずくいし夏の音楽祭」とは、岩手県雫石町で毎年8月に開催されている室内楽を中心とした音楽祭で、東京公演はその出演者たちによるもの。主催者によると、日本で最も小さな音楽祭だとのこと。なお、ミューゼシードとは、若手の音楽家集団のことで、また、ムジカーザとは会場の名前で、住宅街に佇みようにある音楽専用の小ホール。
演目は、演奏順にモーツァルト<弦楽四重奏曲第17番変ロ長調「狩」>、ドビュッシー<ピアノ三重奏曲ト長調>、ブラームス<ピアノ四重奏曲第1番ト短調>の3曲。
演奏は、第1バイオリン冨沢由美、第2バイオリン岡田紗弓、ヴィオラ臼木麻弥、チェロ西山健一、ピアノ森知英。
森さんのピアノがよかった。森さんのファンだからというばかりではなく、円熟味が増していた。自身の演奏のことばかりではなく、三重奏曲でも四重奏曲でもアンサンブル全体の調和と進行をリードしていた。
ドビュッシーの三重奏曲は叙情性の高い曲だったし、ブラームスの四重奏曲も出だしが勇壮な曲だったのだが、いずれの曲でもスコアをよく読み込んで完成度の高い曲に仕上げていた。