ABABA’s ノート

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しずくいし夏の音楽祭東京公演2017

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(写真1 演奏が終わって挨拶する演奏者たち)
林智之メモリアルコンサート
 今年もミューゼシードのメンバーによって代々木上原のムジカーザで行われた。7月26日水曜日。
 そもそも「しずくいし夏の音楽祭」とは、岩手県雫石町で毎年8月に開催されている室内楽を中心とした音楽祭で、東京公演はその出演者たちによるもの。なお、今年は主宰者だった林智之氏の逝去に伴いメモリアルコンサートとして行われた。また、ミューゼシードは若手の音楽家集団で、会場のムジカーザは住宅街に佇むような音楽専用の小ホールだが、舞台と客席が同じレベルにあるような小ホールだけに、演奏者と聴衆との距離の近いのが特徴で、室内楽らしくとてもくつろぎながら演奏を楽しめた。なお、舞台袖には林智之氏の肖像写真が飾ってあった。
 演目は、弦楽四重奏曲が2曲あり、初めにモーツアルトの弦楽四重奏曲第13番。昨年のこのコンサートでは12番が演奏されていたが、8番から13番に至る6曲は通称ウィーンセットと呼ばれており、13番はその掉尾を飾るにふさわしい名曲。ずぶの素人の感想ながら、変化に富んだ12番に比べしっとりとした曲想が続き室内楽としての完成度が高いように思われた。
  メンデルスゾーンの第5番と続き、演奏は、ヴァイオリン冨沢由美、ヴィオラ臼木麻弥、チェロ西山健一、ヴァイオリン岡田紗弓。
 3曲目が、シューベルトのピアノ五重奏曲「鱒」。編成が一般の五重奏曲とはちょっと変わっていて、弦楽四重奏のヴァイオリンが一つ抜けて、コントラバスが加わっていた。演奏はヴァイオリンの岡田紗弓が抜けてピアノに森知英、コントラバスに西山真二が加わった。
 著名な曲で、特に第4楽章などはポピュラーな旋律が続いて思わず口ずさみたくなるほど。ただ、ピアノのパートは演奏は難しいのではないかと思われたし、編成のそれぞれに山場が来るような曲風だった。

 クラシック音楽の演奏会になど足を運ぶことの少ない私だが、室内楽は交響曲とは違って、曲自体を楽しむほか、演奏者のパフォーマンスも身近にあってじっくりと楽しめたし、室内楽はいいものだと改めて感じ入ったものだった。

 

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(写真2=会場のムジカーサ外観)