ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

延伸の沖縄都市モノレールに乗る

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(写真1 延伸開業された終点のてだこ浦西駅外観)

沖縄唯一の鉄道

 沖縄都市モノレールとは、沖縄で唯一の鉄道路線。通称〝ゆいレール〟として親しまれており、那覇市の那覇空港駅から浦添市のてだこ浦西駅まで全長17.0キロ、19駅。
 当初の開業は2003年8月10日で、那覇空港駅から首里駅まで12.9キロ15駅だった。開業当初は、〝くるま社会〟が根付いている沖縄で鉄道が定着できるものか、不安の声も聴かれたものの、渋滞の緩和や定時運行性が評価されて順調に発展してきた。
 延伸されたのは、首里駅からてだこ浦西駅まで4.1キロ4駅で、2019年10月1日。当初の開業から16年のことだった。

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(写真2 那覇空港駅外観)

 起点は那覇空港駅。那覇の玄関那覇空港駅に直結しており利便性が高い。ちなみに、このモノレール那覇空港駅は鉄道駅としては日本最西端駅である。なお。普通鉄道では松浦鉄道たびら平戸口駅が最西端。

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(写真3 那覇空港駅改札口)

 改札は、自動改札で、乗車券のほか、スイカなど交通系ICカードにも対応している。なお、乗車券にもQRコードが印刷されている。ちなみに、1日乗車券は800円。

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 (写真4 QRコードで読み取る1日乗車券)

 列車はすべて2両編成。全国の大方のモノレール同様跨座式。ちなみに、東京・羽田空港も大阪・伊丹空港も跨座式モノレールが都心とそれぞれ直結しており、利便性も高く航空が生活と産業に溶け込んでいる。

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(写真5 左窓眼下に見える車両基地)

 発車するとすぐに左窓眼下に車両基地。多数の列車が留置されている。白と紺の車体に赤帯が巻かれた開業当初からの車両のほかに、このごろではラッピングカーも投入されているようだ。

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(写真6 日本最南端駅赤嶺駅)

 続いて赤嶺駅。日本最南端の鉄道駅である。ちなみに普通鉄道ではJR九州指宿枕崎線の西大山駅である。

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(写真7 走行中のモノレール)

 沖縄都市モノレールはカーブが多い。モノレールの構造上の特徴を生かしている。那覇空港駅を出て赤嶺駅の手前で左にカーブしたし、奥武山公園駅を出て川を渡ってすぐに左に曲がったし、古島駅ではほぼ直角にカーブした。

 

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(写真8 車窓に見る那覇の市街)

 また、モノレールは全線高架を走っているから見晴らしがいい。那覇は起伏が多く、住宅も2階建て3階建てのコンクリート構造が多い。強風に対応したものであろう。

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(写真9 おもろまち駅、左はDFSの建物)

 旭橋駅、県庁前駅周辺は都心か。那覇随一の観光地国際通りにも近く、乗降が多かった。次のおもろまち駅も乗降が多く、ここには巨大な免税DFSが直結していて新都心と呼ばれているようだ。また、駅前はバスのロータリーとなっており、パークアンドライドの拠点となっているようだ。

 路線は、大きくは南から北東へと延びていてやがて首里駅。ここまでが当初の開業区間で、ここからが延伸区間。首里駅到着の直前から右手丘の上に首里城の城郭が見えていたが、ここは首里城の最寄り駅。首里城の正殿は火災に遭ったが、復旧はどうなっているか。

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(写真10 車窓に見える墓地)

  やがて経塚駅から浦添市に入ったが、左右に墓地が見えた。小さな石造の家のようにも見えて、沖縄独特の墓地だ。

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(写真11 てだこ浦西駅前。正面に見えるのは駐車場ビル)

 そうこうして終点てだこ浦西駅到着。那覇空港駅から約40分だった。ドームで覆った洒落た駅舎で、駅前広場は広く、バスが発着しているほか、1,000台も収容できるという大きな駐車場もあって、パーク&ライドの機能が整備されていた。ただ、駅前はまだ開けているようには見えなかった。

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(写真12 てだこ浦西駅のアート)

 沖縄都市モノレールでは、各駅にアートが設置されているのだが、このてだこ浦西駅は改札口を入った天井に美しいアートガラスがはめ込んであった。
 沖縄都市モノレールが、首里駅からてだこ浦西駅まで延伸されてすでに1年余も経っていたが、やっとこのたび乗車することができた。
 延伸区間はわずか4.1キロ4駅間のことなのだが、日本の全鉄道全路線を乗った記録を持つ者としてはやはり乗らないではいられない。
 それですぐにでも乗りに出かけたかったのだが、延伸開業した2019年10月1日と同じ月の10月31日にあろうことか首里城が火災に見舞われてしまった。首里城は沖縄のシンボルのようなもの。そんなときに鉄道三昧でもあるまいと自重していて、気分の落ち着くのを待っていたら、次には何とコロナが沖縄を襲ってしまった。
 それで、コロナが落ち着くのを待っていて、初め、2月に予定を立てていたが下火になる様子は見られず、4月に延期していたがここでもコロナは収まらず、5月、6月と再三再四延期を繰り返していて、8月ならばと最終計画を立てていて、この間、そのつど、航空券とホテルのキャンセル、変更を余儀なくされてきた。
 しかし、8月に入って落ち着くとみられたコロナはますます猛威を振るっている始末で、それで、やむなく緊急事態宣言は解除されてはいなかったのだが、感染予防のワクチンも接種を終えたことだし、家族は反対しているし、地元も歓迎しないだろうとは思ったものの、思い切って出かけてきたという次第。

 延伸区間はともかく、私はこの沖縄都市モノレールにはこれまでに4度ほど乗ったことがある。2003年の開業まもなくには乗っていた。あのころ、沖縄に鉄道は初めてとあって、小学生を対象に体験学習が行われていた。これは大人も同じことだったが、自動改札機に切符を投入しても、受け取らずにそのままスルーしてしまう人たちがいたりして悲喜こもごもだったが、開業当初のモノーレルは、景色はいいし、渋滞はなく速いし、繁華街は通るし、大変な話題だった。
 それがこのたび乗ってみると、モノレールが那覇の街に溶け込んでいるようだったし、市民の足として定着しているようだった。また、那覇空港にも直結しているから航空便利用者にとっても利便性は高く、観光客の誘致にも大きな力となっているようだった。(2021年8月3日取材)