ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

銀座で坂本務展

(写真1 会場で作品を背景に坂本務さん)

パステル画の鮮やかさ

 銀座の新井画廊で開かれている。
 会場に入ると、明るい色彩が目に飛び込んできた。実に鮮やか。30点ほど展示されていたが、すべてアクリル画。キラキラと輝いている。
 坂本さんは、1950年生まれ。大学卒業後電機メーカーに就職したが、安定した生活をなげうって画家に転身したという。大胆な決断だったのでは?と話しを向けると「絵が好きだったので」とやさしく強く振り返ってくれた。
 当初からアクリル画に取り組んできたのだそうで、アクリルの色彩に魅せられたのかも知れない。
 色が鮮やかだから、そのことにばかりに目が向くが、じっくりと鑑賞すると、緻密さに感心する。配色もそうだし、枝葉の隅々に至るまできめ細かく描き込まれていることがわかる。

(写真2 「もう一度。夏」=開催案内の絵はがきから引用)

 好き嫌いだけで選ぶと、「もう一度。夏」という作品が良かった。真夏の一瞬を切り取ったような作品だが、大胆な構図にも惹かれる。

(写真3 「ノーゼンカズラ」=会場で撮影)

 また、「ノーゼンカズラ」も気に入った。私の好きな花ということもあるが、夏の青空に向かって強く咲く橙色の花が鮮やかだった。
 坂本さんにお話を伺うと、パステルは考えていた色を出すのが難しいのだそうで、ときには6回などというふうに何層にも塗り重ねていくのだという。とくに、パステルは30分ほどで乾いてしまうから、そのことも難しくしているのだとも。
 独立美術協会会友。日本美術家連盟会員。