ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

室蘭線-千歳線-函館線

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(写真1 室蘭本線が発着する岩見沢駅)

最長片道切符の旅 北海道版第3日

 岩見沢に泊まったのは6年ぶり二度目。当地には申し訳ないが、格別の観光スポットがあるわけでもないのにまさか岩見沢に再び泊まろうとは思いもよらなかった。
 その理由は、初めてのときもこのたびも同じで、室蘭本線に乗るため。
 室蘭本線は、長万部と岩見沢を結ぶ本線211.0キロと東室蘭-室蘭間7.0キロの支線で構成されているのだが、本線は苫小牧-岩見沢間で運転系統ががらりと変わる。
 長万部あるいは室蘭-苫小牧間は、千歳線を介して道南と札幌を結ぶ幹線として電化され、多数の特急列車が運転されている。
 これに対して、苫小牧-岩見沢間は全線非電化であり、本線上乗り入れてくる列車は区間運転を含めても1本のみ。運転本数も少なくて、苫小牧から岩見沢に直通する列車は普通列車だけ日に6本のみ。私はこの区間に乗るのはこれで3度目だが、苫小牧からであれ、岩見沢からであれ、その先の連絡を考えるといつでも苦労する。
 岩見沢発の列車は5時57分発が始発で、旭川に宿を取ったのではこの列車に接続できないのである。また、その次が9時03分発で、さらにその次が12時52分発といった具合で、運転間隔はとても緩慢。隅っこの盲腸線のような路線ならともかく、曲がりなりにも大都市圏の幹線でこれは冷遇といわざるを得ない。JR北海道の将来計画によると、苫小牧-岩見沢間は自力での経営維持は困難だということである。
 ともあれ、8月7日水曜日、最長片道切符の旅北海道版第3日。曇り。蒸し暑い。岩見沢駅は、石炭輸送の中心として栄え、幌内線の起点だったこともありかつて鉄道の要衝だった歴史を踏まえ立派な駅舎。赤煉瓦の外壁が美しく、全国のJRで初めてという公募型コンペでデザインを選定しており、グッドデザイン賞を受賞している。複合施設で、駅業務のほか市民交流のセンターともなっている。

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(写真2 列車は右窓に広大な石狩平野を見ながら進む)

 片側1線と島式2面4線のホームがあり、室蘭本線は1番線からの発車。5時57分発糸井行き。ディーゼルカー2両の編成。
 発車するとすぐに広大な石狩平野が開ける。平野部の東の縁に位置する。沿線は田んぼが中心。近年の北海道産米の評判はよく、稲穂が青々と茂っていた。
 岩見沢を出ると函館本線と左に離れていき間もなく志文。ここはかつて国鉄有数の赤字路線だった万字線の起点でもあった。
 栗山では60代の女性が二人手を取り合っていたが、このうち一人が列車に乗り込んできてしきりにお辞儀をしている。ホームの女性は涙ぐみながらハンカチを振っている。どういう関係で、どういういきさつなのかはわからないが、この頃では見かけることが少なくなった鉄道ならではの別離の風景である。
 追分では石勝線とクロスしており、千歳・札幌方面と、新夕張・新得方面に乗り換えることができる。

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(写真3 沼ノ端駅。ここが下り線ホームで、右奥に見えるのが上り線ホーム)

 やがて沼ノ端。7時16分着。ここで千歳線に乗り換える。駅舎が新しくなっており、線路を跨ぐ立派な自由通路ができていた。沼ノ端開基120年を記念して今年の2月に完成したものらしい。またその開基を記念して若い女性のブロンズ像と安全の鐘もあった。ここから眺めると、片側1線と島式1面2線のホームがあり、今降り立ったのは2番線で、3番線が千歳線、1番線が千歳線と室蘭本線の下りとなっている。
 1番線ホームは朝の通勤時間帯に入って混み出している。千歳までなら15分ほど、札幌まででも1時間である。7時34分発の到着した列車は6両で、なるほど大都市圏の編成である。また、室蘭発の特急はここ沼ノ端にも停車するようだ。
 南千歳が近づいて新千歳空港が左窓に見えてきた。ここからは室蘭本線に加え釧路方面からの石勝線や新千歳空港発の列車も加わって大幹線の様相で、運転密度が一挙に高くなった。
 線区上は白石で函館本線に入っているが、札幌8時34分着。乗り換えはないがここで途中下車。市内散策。

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(写真4 右窓に石狩湾が見えてきた)。右奥に見えるのは小樽の高島岬か)

 札幌13時43分発の快速エアポートで再び函館本線。銭函に至って石狩湾に出た。右奥に小樽の高島岬が遠望できる。
 小樽築港、南小樽と続き、そうこうして小樽14時15分5番線到着。ちょっと早いが今日はここまで。第1日第2日が強行軍だったからまあいいだろう。
 結局、最長片道切符の旅北海道版第3日は、岩見沢から小樽まで3線区163.2キロ、実質約3時間の乗車だった。

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(写真5 名駅舎の風格が漂う小樽駅)